海外スタートアップの広報を行う上で意識したこと

画像1

Smartech/ Spectacles3の日本上陸イベント広報を行いました

2019年12月5日、有楽町にある阪急メンズ館1Fイベントスペースにて、イギリスのスタートアップ小売ブランド"Smartech"のPOPイベントが開催された。

Smartechはいわば、世界中の"イケてる"ガジェットを集めたセレクトショップであり、今回の上陸における目玉商品はSnapchat社の新商品であるメガネ型カメラである"Spectacles3"だった。

結論から言えば、イベントの様子/商品についての記事は、Yahooニュース、livedoorニュースなどにも転載され、リーチ数は予想を遥かに超えた。実際の来場者数も多く、満足してくれるような仕事を行うことが出来たのだが、それに至るまでには、いくつか工夫したことがある。それを備忘録もかねて書いていこうと思う。

画像2

依頼が来るまで

「海外では大人気のSnapchat社が展開する 新商品Spectacles3をお披露目するイベントを開催したいから協力してくれないか」という依頼をいただいたのは、イベント一週間ほど前だった。

その時点では、商品の詳細情報はもちろん、Spectacles3の他にどんな商品が販売されるのか、どのようなイベントを開催したいのか、などという情報は一切なく、「とにかく盛り上げたい」というふわっとした要望のみ共有された。(後々、「Snapchatは世界的に有名なサービスだから若い層を集めることは簡単だろう」と思っていたことが判明する)

「一週間前・・・」スケジュール的にかなり厳しい。しかも情報がない。
しかし、10月にイギリスに長期出張に行き、イギリスという国が大好きになっていたこと、相当に先方が困っていたことと、挑戦意欲が掻き立てられたことの3つの理由から引き受けることにした←

仕事を行うにあたり、意識したことを以下、備忘録的に残していく。

①スタートさせる前に市場の違いをしっかりと理解してもらう

海外クライアントの仕事で大切なことの一つが、「海外と日本の違い」を理解してもらうことだ。例えば、家電・ガジェットで行くと、日本では購入の際にスペックが重視される。家電量販店などに行くとわかると思うが、商品のブランドごとにスペックが比較されていたり、比較雑誌や記事がたくさんあることから見てもわかるだろう。

一方で、イギリス/ヨーロッパでは少し違うらしい。(これに関してはしっかりと自分自身で調査したわけではないので確実な情報ではないことを伝えておく) あちらでは、ビジョンやデザインが重視され、購入されるそうだ。実際に、Smartechの販売店員も商品の使い方や買いたくなるような説明・デモンストレーションは得意だが、細かいことを説明されると答えられないということがあるようだった。

そもそも、「家電・ガジェット」を購入する際に必要とされる条件がヨーロッパと日本では異なるので、望んでいるようなインフルエンサーは今回の件にマッチするのか?という問いを投げかけた。 化粧品やおしゃれな食事の様子はネタになるが、ガジェットを無料で、投稿してくれるファッション系インフルエンサーを集めることが難しかったという個人的な理由もある。

実際、日本では、広報といえども、報酬を何らかの形でお支払いしているケースも増えて来ており、無料集客のハードルはどんどん上がって来ている。

②期待値を調整することで満足してもらう

依頼を受けた時点では、最初に提示された条件を満たすことが難しかった。というか、個人的に、広報というのは、ただ露出数を増やせばいいというものではないと考えている。インフルエンサーやYOUTUBERの方々もプロであり、彼らの為になる案件にしか声はかけられない。

そういったこともあり、「この期間では、これだけのことは出来ない」「その代わり報酬は下げてもらっても構わない」「この報酬で、達成できることは〜〜だ」という代替案を提案した。 時差もあり、相手側も忙しいので、いかに少ないやり取りで、合意できるかという点にこだわった。自分なりに、分析を行った結果、日本語での詳しい情報が一切なかったので、今回は、商品の深掘り記事や、店舗に関する詳しい記事を増やすことを提案した。それに加えて、"いけてる""おシャレ"ブランディングが出来るようなメディアさんやインフルエンサーさんにも声はかけたが、あくまでも主軸をガジェット系とした。

どちらが正解かはわからないが、この時点で、自分が考えるベストな計画だそれだった。

③あらかじめ、メディア情報を共有し、どのような情報を共有して欲しいのかをしっかりと伝える

方向性が決まると、早速、企画書を作り、メディアさんに情報を共有するのだが、困ったことが「情報が少ない(というかほぼない)」ということだった。これには参った。記者さんも参っていた。情報がないけど時間もないので、とりあえず、情報がないことを前提に声をかけたり説明するしかなかった。その中でも興味を持ってくれた媒体の方々が当日は来てくれることになった。

事前に、どのようなメディアが来るのかを整理し、インタビュー取材が発生する場合は、想定質問・回答を作っておくという行為は、広報業務の基本である。特に、日本の市場は、海外とは異なるので、事前に想定回答を作っておくことが必要だ。しかし、今回は準備期間がかなり短かったこともあり、想定回答を期限内に得ることができなかった。結果的にメディアの皆さんには大変な迷惑をかけてしまって申し訳なさでいっぱいだ。そんな中、辛抱強く回答を待ってくださったことに感謝しかない。記事が出た時は感動した。

④フィードバックをまとめて即共有

沢山のメディアの方々とお話しする中で、今回の広報に関する(沢山すぎる)課題が見つかった。「こんな風にして欲しかった」「こんな情報が事前に欲しかった」「もっと早く情報が欲しかった」などなど。このようにはっきりと意見をいただけることに、まず感謝したい。

レポーティングは仕事の範囲ではなかったのだが、レポーティングと共に次回以降に活かせる改善点もレポートにして提出した。日本での広報戦略を立てる上で少しでも参考にしてもらえるのならば有難い。

自分自身もスタートアップで長く働いていたこともあり、大きなイベントが終わった後は、感傷に浸りがちだ。「最高だったね!」とエモく締めがちだった気がする。でも、それってよくない。フリーランスで広報をしている今、イベントやキャンペーンが終わった時こそ、反省点をしっかりと洗い出すべきなのだ。

最後に

こんな風に仕事をすることは初めてだったが、終わってみれば楽しかった。
フリーランスの良さを活かして、これからも色々なお仕事にチャレンジして行きたい。


実績

・Engadget https://japanese.engadget.com/2019/12/05/spectacles3-5-600/

https://japanese.engadget.com/…/…/06/50-spectacles3-flexpai/

・Apptopi
https://apptopi.jp/2019/12/09/spectacles/

・Tabippo
https://tabippo.net/travelitems-spectacles3/

・Popap
https://www.popap.biz

・mawari https://mawari.com/blog/2019/12/06/smartech-popup-store/…

・Yajiuma PC Watch https://pc.watch.impress.co.jp/do…/news/yajiuma/1222987.html

・Desital Life in Tokyo https://digitallife.tokyo/…/smartech-hankyu-mens-tokyo-snap…

・Kaden Biz
https://kadenbiz.com/2019/…/09/digital-gadget-shop-smartech/

・Munesada
https://munesada.com/2019/12/06/blog-16191

・ImpressWatch https://pc.watch.impress.co.jp/do…/news/yajiuma/1222987.html

・livedoor news https://news.livedoor.com/article/detail/17489622/

・Yahoo! news
https://headlines.yahoo.co.jp/hl…

・Gunosy
https://gunosy.com/articles/aldwX



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?