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居心地の良い職場は危険?チャレンジ精神を失わないために

▶居心地の良さと成長のジレンマ

「居心地が良い職場」をポジティブに捉える人が多いでしょう。

あなたにとって「居心地が良い職場」ってどんな職場ですか?

  • 上司は優しく、怒られることがない

  • 気心が知れたメンバーは仲良く、職場の雰囲気は良い

  • 残業が少ない。休暇が取りやすい

  • 自分の担当範囲が明確で自分のペースで仕事ができる

  • 給与が良い。福利厚生も充実している

理想的な職場ですね。そんな職場だったら定年までずーっと働いていたいと思うでしょう。

しかし、「上司は優しく、怒られることがない」。これは一概に好ましい状態とは言えません。上司が自分の仕事に興味がなく、何も言わない。自分の成長には関係ないと思っているからかもしれないからです。裏を返して見ると、居心地の良さが成長の妨げになっている可能性があるのです。

今回は、居心地の良い職場が人や組織の成長を阻害することがあるという問題提起と、その対策として越境学習やチャレンジ精神の重要性について書いてみました。



▶居心地の良さに甘える若手社員の事例

一見よさそうな「居心地の良い職場」ですが、逆に人や組織の成長を阻んでしまうことがあります。

情シス 入社4年目 A君(28歳)の場合

中途採用で入社して以来、情シスでパッケージの導入やインフラ、ヘルプデスクなどの幅広い業務を担当しているA君。充分な体制がない情シスの中でトラブルや部門からの面倒な依頼にも積極的に対応していたが、いまいち自分のポジションややりたいことが見つからないまま、便利屋的なポジションに甘んじていました。そんな「小さなモヤモヤ」を抱えた状態で、結婚→子供と言う人生の転換期を迎えた時、彼は上司にこう相談しました。

「このまま会社にいても将来が不安です。家族を養うための充分な給与は貰えないし、出世にも時間がかかるので、もっと良い環境と給与の会社に転職します」

この話を聞いて、自分はこう感じたのです。

彼の決断は尊重すべきだが、転職の前に自分の成長のために何をしたか、今の会社でどんなチャンスがあったか、自分で探したか、ということを考えるべきだったのではないか。ITの世界では、常に技術や市場が変化しており、居心地の良さに甘えていると、自分の価値が下がってしまう。だから、自分のスキルや知識を磨き、競争力を高めるために、自分から積極的に学びやチャレンジを求める姿勢が必要だったのではないか、と。

単に給料が良いという理由だけで転職しても良い結果にはつながらない、そう感じた事例でした。


▶居心地の良さにチャレンジ精神を失う中堅社員の事例

経理部のサブリーダー Bさん(33歳)の場合

「居心地の良い職場」にいる経理部サブリーダーBさんの場合を見てみましょう。Bさんは、新卒入社以来、経理のスペシャリストとして業務を任されてきましたが、ある日、組織横断の大きなプロジェクトのリーダーに抜擢された時に、突然「モヤモヤ」が頭をよぎり、上司にこう相談しました。

「自分はリーダーの後ろから支えるタイプです。どうやって引っ張っていけばいいか分からない。できれば他の人にリーダーを代わって欲しい」

Bさんについては、確かに彼の性格や適性を尊重したキャリアプランは必要ですが、この会社では、チャレンジする人に対して応援や支援がなく、失敗を許さない文化があり、そのため彼はリスクを避けて、居心地の良さに安住してしまったのではないでしょうか。組織や個人の成長のためには、心理的安全性を高め、チャレンジする精神を育てる組織文化の変革が必要なのではないか、と感じたのでした。

例えばそんな組織の中で、チャレンジする人が現れたとします。その人は最初は勇者扱いされますが、やがて孤立し、そして最後は「失敗=あいつはダメだ」のレッテルを張られてしまうのです。

こんな心理的安全性の低い職場で、あなたはチャレンジしようと思いますか?


▶居心地の良さの裏に潜む問題点

居心地の良い職場では、リーダーシップとは何か、どうやって育てるか、どうやって評価するかなど、明確な基準や支援がないことが多くなります。ですから、リーダーになると、自分の能力や責任に不安を感じたり、メンバーや上司とのコミュニケーションに苦労したりします。その結果、プロジェクトの成果や品質が低下したり、メンバーのモチベーションや信頼が失われたることがあるのです。このような問題を防ぐためには、リーダーになる前に、リーダーシップに関する知識やスキルを学ぶ機会を提供したり、リーダーになった後に、メンターやコーチなどのサポートを受けられるようにしたりする必要があるのではないでしょうか?

次は、このような「居心地の良さが抱える問題」に対して、組織や個人が具体的にどう解決したら良いのかを考えていきたいと思います。


▶越境学習でチャレンジ精神を磨く方法

チャレンジ精神を根付かせるには、越境学習をして外から刺激を受けるのが有効だと思います。例えば、社外のワークショップに参加する、同職種のコミュニティに参加する、SNSなどで情報発信する…何でもいいと思います。

初めての人は、あまり堅く考えない方がよいです。因みに自分の1番最初の越境学習は、軽いノリで参加した「ダム際ワーキング体験ツアー」でした。


また越境学習は、必ずしも社外への越境に限りません。異動希望で違う部署に行く、職場研修で現場業務を体験するなど、社内やグループ会社であっても新しい価値観や刺激を受けることができるのは全て越境学習と言えるのです。

そして、会社が越境学習を後押ししてあげれば、社員は自然に学び直し(リスキリング)をするはずです。



▶オジサンこそチャレンジ&ダイブすべき理由

最後に、この居心地の良さに浸っていて「越境」「チャレンジ」「リスキリング」を怠っているのは、40代後半から50代半ばの「オジサン連中」だと言うことを伝えておきたいのです。

管理職のポジションにいるオジサンの中には、残念なことに、長年の奉公を終えてやっとつかんだ「管理職」という称号を確保しようと必死になる人が一定数います。その人の部下のメンバーは、上司の手柄やアピールの材料にしかならない「ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)」を押し付けられて疲弊しています。

また、「定年前の非管理職オジサン」についても勿体ないことに、定年までのカウントダウン(と言ってもまだ5年や10年残ってる)をどうやり過ごすか、どう逃げ切るかだけを考える「リスク取らない逃げ切り戦略」を邁進している人が一部存在します。高度な専門知識を持ち、長年会社に対して貢献したにもかかわらず、この人達に対する会社の評価は残念ながら低いことが多いのです。

この世代の人も、越境学習を通じて新しいことに挑戦することができます。それは、自分のスキルや知識を更新するだけでなく、後輩達にも刺激やモチベーションを与えることにもなります。チャレンジすることは、時には失敗や苦労を伴うかもしれませんが、それも成長の一部です。自分の価値を高めるために、勇気を持ってチャレンジしてみてはどうでしょうか?

今すぐにでも今までの価値観を捨てて、外の世界に勇気を持ってダイブしましょう!


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