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「定年前と定年後の働き方」を読んで定年後の準備をはじめた話①

サードエイジを生きる思考
石山 恒貴さん 著 (光文社新書)

1.何故今、定年後の働き方なのか?

法政大学の石山教授とお会いしたのは、今年の2月。佐久間ダムと言うちょっと変わった場所だった。組織変革に関する活動をされている沢渡あまねさん主催の【ダム際ワーキング越境学習体験ツアー in 佐久間ダム】に参加した時のゲストが石山教授だった。石山教授は越境学習やキャリア形成の第一人者であり、このダム際ワーキングツアーも、企業や世の中の変革を推進したい人が集まり越境学習するプログラムであった。

自分は今56歳のマネージャー職(※敢えて管理職とは言わない)。あと4年で定年を迎える予定です。会社に「お前なんか要らん」と言われない限りはね。で、漠然と以下のような事を考えてました。

  • 定年後も絶対働く

  • 効率良く働かないと身体がもたない

  • 働く場所は制約されたくない

  • 自信のある分野で勝負したい

ここで思考が止まった。自分がどう言う働き方がしたいのか、全く決めていなかったのです。

  • フル稼働でサラリーマン続ける?

  • 思い切って独立起業する?

  • フリーランスで自由な時間で好きな仕事をする?

  • ゆったりと趣味をしながら週1ペースで仕事する?

実はどれもしっくり来なかった。どれも自分らしい働き方のイメージではなかったのです。ところが、ダム際ワーキングツアーでその答えがはっきり見えた。複業、パラレルキャリア、リスキリング、そしてジョブ・クラフティング。これらのパワーワードと出会い考えるきっかけとなったこのツアーと石山教授。自分のサードエイジの働き方を導いてくれただけでなく、今の会社や組織が抱えている課題の解決策をも提示してくれた本書、このツアーの2か月後に発売されたと言う事で感想文を書かせて頂きました。

2.定年前後のオジさんの幸福感は?


前置きが長くなりましたが早速本書の感想を。まず、本書の対象である定年前後のオジさんの一般的なイメージはこんな感じですね。

  1. 働かない(給料も下がりモチベ最低)

  2. 過去の栄光で悠々自適も周りは困惑

  3. 最前線で働くが心も身体もボロボロ

  4. やたら元気だが何やってるか全く不明

  5. 脱サラして独立したけど何か無理してるっぽい。人が変わってしまった

ネガティブなイメージばかりですね。ところが本書には「仕事に対する幸福感は20-30歳代は高く48歳が底辺となる。だがその後は年齢と共に上昇カーブを描き続ける」と書かれています。
幸福感のU字カーブを図にするとこんなイメージです。

幸福感のU字カーブ(独自に作成)

身体の衰えややる気の低下が起こる50代以上の年代を「サードエイジ」と言います。一般的に幸福感が低いと思われがちなサードエイジ、実は幸福感が高いという研究結果があります。この矛盾を「エイジング・パラドックス」と呼ぶそうです。サードエイジが感じる幸福感は、金銭的な満足感や地位や名誉を得る事による幸福感ではなく、自分が働く意義や目的が明確にあり、その上で世の中に貢献していると感じる事が幸福感なのだ、と本書は述べています。

なるほど、まだ全貌が明らかにはなっていませんが、なんとなくサードエイジの幸福感がイメージ出来て来ましたね。


3.定年前後のオジさんは使えない?

では、サードエイジを迎える人がこの高い幸福感を実現するためには、どんな思考で、何をすれば良いのでしょうか?さらに読み進めていきましょう。

幹部社員など一部を除いて多くのシニアは、定年前後にビジネスマンとしての時間があと僅かである事や数年後には組織上の責任から解放される事を理解します。その事実を悲観的に考えるのではなく、これからは会社からのプレッシャーから解放されて自分の価値観をとことん追求出来る!とポジティブに捉える事で精神的なストレスから解放されると言うのです(※SSL理論)。

まさに発想の転換ですね。会社のお荷物だの、使えないだのと言った周りからの誤解や偏見を打ち破るためには、まず自分自身がポジティブ思考に変わる必要があるのです。
では、具体的に何をしたら良いのでしょう?

  • (選択)新たな目的を設定してそこに資源を集中する、付き合う人を選ぶ

  • (最適化)やりたい事の時間配分を増やす、理想の姿を実践している人をマネする

  • (補償)加齢により失うものを別の手段で補う、協力者に助けを求める

こうやって考えたら、楽しくなりませんか?
幸福感上がりませんか?


4.定年前後は会社が与えた業務を粛々とやれば良い?

個人としてサードエイジをどう生きるかの思考法は理解しました。では、少なくとも定年まではサラリーマンとしてやっていこう、と言う人にとって、会社とどう折り合いを付けたら良いのか?と言う課題は残ります。
本書を読んで、サードエイジの人が活躍するには個人が思考を変えるだけではなく、企業側も柔軟な働き方をサポートしたり、職務開発のやり方を考え直す必要があることを知りました。

企業側はこんな取り組みが必要!

①同じ時間に同じ場所で同じ価値観の人とだけ働く従来型の働き方を変える
→越境学習を取り入れる

②トップダウン型の業務設計を見直す
→ジョブ・クラフティングの概念を取り入れた職務開発を取り入れる

ジョブ・クラフティングとは
従業員が自分にとって個人的に意義があるやり方で、職務設計を再定義し再創造するプロセス

今までは会社がトップダウンで職務を設計、決定して個人に割り当てるやり方だったが、ジョブ・クラフティングでは、個人が自分の強み、情熱、動機と言った事を物差しにして自分にとって意義のあるやり方で業務を再定義することになります。

早期退職制度や60歳定年制の崩壊をピンチと見るかチャンスと捉えるか、それは個人がサードエイジをどう生きていきたいかにより変わりますね。ただ一つ言えるのは「準備をしないと手遅れになるぞ」と言う事です。楽しく効率よく働きたい人は、早めの準備をお忘れなく。


(本書の内容が濃すぎるので②に続く)

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