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最後の最後にスイカをいじめる

ここまで、スイカには欲しい(だろうと思われる)だけの水分と栄養をたっぷりやり、気持ちよいであろう温度を常に保ち、管理をする際にもつるを傷めないよう慎重に慎重に手をかけてきました。収穫まで残り約20日、ここでスイカにとっては思わぬしっぺ返しを加えさせます。

スイカを美味しくするための樹勢のコントロール

交配から、約30日がたち、まだ収穫とはいかないまでも、大きく重たくなってきました。交配から約50日で収穫となるため、残り約20日間です。

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スイカは縦方向への生長が先に行われ、それから段々横方向への膨らみが増していき、丸い形となっていきます。しかしながら、それには個体差があり、縦の生育はそこそこに、早いうちから丸くなっていくものもあります。
写真の通り、一つの同じ株で同じタイミングに交配したものでも、左のように縦長なもの、右のように丸くなっているものがある場合もあります。

スイカのつるを繁茂させ、潅水をたっぷりとやることで玉の肥大が促進され、大きいスイカになる骨格がここまでの30日でつくられました。しかしながら、今までと同様のペースで肥大が続くと、玉本体の肥大に中身の充実が追い付かず、空洞果と呼ばれる、玉の中心が割れたスイカになってしまいます。そこで、交配から30~35日頃につるおろし、つる切り・つる踏みを行い、樹勢を落ち着かせ、玉の肥大を抑えます。その後、収穫の約15日前を最後に潅水を終え、それ以降は水を与えず育てることで、中身の割れていない食感・味がともに優れたスイカにしていきます。

つるおろし・つる切り・つる踏み

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スイカを育ててくれているスイカの株は、スイカの玉から先のつるを好き放題のばしています。このつるが運んだ栄養のおかげで、交配から30日の間、しっかり玉を大きく育ててくれました。
ありがとう。

そんなつるですが、美味しいスイカになってもらうためにお役御免となっていただきます。


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ハウスの側面まで届き、上に伸びてきたつるですが、

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上に伸びているものを地面に下ろしていきます。その際、つるの先の方をお構いなしに踏みながら歩いていきます。これだけで、スイカにとっては随分なストレスです。2~3日でつるの先はかなり萎れてしまいます。

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玉のついたつるは、玉から先に葉を3枚ほど残し、つるを切ります。

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脇芽を一つ切り、

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二つ切り、

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三つと切ります。

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そして、最後につる本体を切り、スイカから先のつるは葉っぱ3枚を残すのみの形となりました。

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内容をまとめるとこんな感じです。

つる切りは、全部が全部同じようにするのではなく、スイカの玉の大きさや、スイカから株元までの樹勢の強さをみて、切るか切らないか、いつ切るのかを判断していきます。

ここまで、空洞果を減らし、味を良くするために、つる切りを行うと書いてきましたが、つる切りも、スイカの株にとっては大変なストレスで、もともと体力のない株だとスイカが出来る前に枯れてしまうこともあります。そうなってしまっては元も子もないので、空洞果にならずスイカを美味しくつくり、株を枯らせないタイミングを見計らう若しくは、つる切りをするかしないかの判断を行う必要があります。

最後の最後まで気を抜けませんが、ここまできたら後は美味しく出来ることを、そして枯れないことを祈るのみです。



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