見出し画像

[遺伝子の話]トマトが赤くなると天才は青くなる

 今回の元ネタは、「あずみの」さんというnoteの方です。
 記事の紹介をさせていただこうと思ったのですが、これがちょっと難解。
 かといって、つづめて話すと、間違ってお伝えする危険があるので、割り切って小説仕立てにすることにしました。
 雰囲気は伝わると思うのですが、事実については真に受けないで、どうか元記事をご覧下さい。末尾にリンクをはります。
 この話は、フィクションです!

*************

「生まれた子どもが、天才か脳性麻痺か、そのどっちかだという一族があるらしいぜ」

「そりゃあ、すごいね。すごいけど、英語で言うと両方ともギフテッドだから、遺伝子はほとんど同じなのかも」

「へえー、そうなんだ。ギフテッドって、贈り物のギフトか?」

「そう。どちらも天からの授かり物だということだろうね」

「その受け止め方はいいなあ」

「天才の多くが自閉症なんだって。ただ、自閉症の中でも天才は、ごくごく一部なんだけどね。
 キミの話は脳性麻痺だから、それとはまた別のことなんだろうけど」

「うーん、詳しいことはわからんが、おもしろいと思ったのは、その一族の間で、子育ての極意が伝わってるんだな」

「天才の育て方?」

「そうとも云えるが、どちらかというと、脳性麻痺にさせない育て方だな」

「えっ、天才か脳性麻痺かは、育て方で分かれるの?」

「全部が全部じゃないと思うが、その一族では、そういう事例が多かったんだろうな。だから、家訓のようなものが伝わってる」

「どういう内容なの? 胎教とか? それともオカルト的なこと?」

「それが食べ物なんだ。その一族では、子どもに食べさせてはいけない食べ物が言い伝えられているんだ。それが特殊なものじゃなくて、トマトとチョコレートとコーラ」

「特殊なものじゃないと云うことは、迷信とかじゃなくて、実例があったということだね」

「コーラが出てくるくらいだから、そう昔の話じゃない。
 家訓があるのにどうして失敗したと思う?」

「一族以外の人が、与えてしまったとか?」

「そうなんだ。母親がヨソからやってきた嫁さんで、年寄りが忙しくて目が行き届かないと、ついうっかり与えて悲劇が起こるらしい」

「悲劇か……。天才になれるはずの子が脳性麻痺になってしまったなら、そりゃあショックだろうね。不幸とは云わないにしても」

「これは特別な一族のことだし、子どもの話だけど、遺伝子疾患全般にもヒントになりそうだと思わないか?」

「というと?」

「遺伝子の中に何かの才能のコードが含まれていても、スイッチが入らないと、その能力は目覚めないって云うじゃないか。たぶん、遺伝子性の病気も同じじゃないかと思うんだ」

「それはそうみたいよ。問題の遺伝子を持っている人がすべて発症するわけではないと。そんな話は聴いたことがある」

「ということは、だ。遺伝子を書き換えなくても、スイッチをオフに出来れば、遺伝子の病気だって治るかもしれないぜ」

「可能性はあるだろうけど、ともかく健康的な生活をしなさい、というだけじゃ説得力はあまりないと思うよ。そこは生活習慣病とは違うからさ」

「そこなんだが、今回の話、食べ物が出てきたろ?」

「トマトとコーラとなんだっけ?」

「チョコレート!
 いや、それはあくまでその一族の子どもには危険な食べ物ということで、平気な人には平気なわけだ。トマトなんか、トマトが赤くなれば医者が青くなるという諺まであるくらい、栄養のある食べ物だからな」

人によって、栄養になる食べ物と毒になる食べ物があると。そう、云いたいのかい?」

「その通り! その話の中では、糖鎖という言葉で説明されていたんだよ。トマトやチョコレートやコーラだけが問題なんじゃなく、そこに含まれている糖鎖が主犯だとな。糖鎖には、いくつかの種類があるんだ。
 つまり、遺伝子疾患のスイッチも、その人が食べてはいけない糖鎖をたくさん食べたことでオンになったと。オレはそう推理した!
 逆に言えば、食べ物に気をつけることで、オンになった病気のスイッチをオフに出来るかも知れない。
そういう理屈だ」

「もし、それが実証されればすごいね。栄養学の常識も変わるし、薬なしでも治る病気がたくさんありそうだ。
 今どの程度までわかってるの? 自分にとってどの糖鎖が良くて、どの糖鎖が毒になってしまうのか……
 教えておくれよ。まず自分の体質がどのタイプなのかを判定するとか?」

「察しがいいなあ。その一族の人は、四つのタイプに分類してた。それぞれに好ましい食品と毒になる食品を表に書いて整理してた」

「じゃあ、かなり判明してるんだね!」

「…………」

「どうしたの? その表、書き写してきたんでしょ?」

「そうしておけば良かったと、悔やんでも悔やみきれない」

「ケンカでもしたの?」

「お前、フリーエネルギーの装置を発明したら殺されるって話、聴いたことないか?」

「あるよ。典型的な陰謀論だよね」

「あれは陰謀論なんかじゃない!
 おれがコンタクトをとってたその人も、突然、消えてしまったんだ!」

「医療の利権団体が手を回して闇に葬ったとでも?」

「それ以外に、何か考えられるか?」

「うーん、キミが、ひつこくつきまとったとか……」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?