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国外逃亡塾~普通の努力と少しばかりの勇気でチートモードな「自由」を手に入れる~

カルロス・ゴーン氏は本書の内容とは一切関係がありません・・・。

こちらも冬休みの「課題図書」。ここでいう国外逃亡とは、ずばり海外大学への進学を指します。(親子留学なども含みます)

おそらく今でも99%の高校では、大学進学=国内大学への進学を意味すると思います。

しかし、私が勤めている学校では海外大学への進学を積極的に推進しており、私はその責任者でもあります。以下にその思いをつづりました。

私は、これだけ世界がグローバル化した中で進路を国内に限ることは自分の可能性を狭めているだけだ、快適な空間から抜け出して(step out of a comfort zone)、未知の環境でチャレンジを続けることでGrit(やりきる力)やResilience(折れない心)といった21世紀を生きていくのに必要とされる「非認知能力」を涵養しよう、と生徒に言い続けています。

非認知能力に関しては、下記にも書かせていただきました。

上記の私の考えと似たような考えを持っている白川寧々さんのことを去年知り、彼女のYoutubeなどを見るようになりました。そして12月末にこちらの本を購入し、彼女が開催するFacebook上のオンラインサロンにも混ぜていただきました。

そしたらなんと、1月2日の正月ムード満々なときにいきなり本人からメッセンジャーでメッセージが入り、そこから数時間寧々さん(アメリカ在住)とチャットでいろいろ情報交換をさせていただきました。

その時の感想としては、「やっぱぶっ飛んでんなー(笑)」といった感じでした(いい意味で)。

ちなみに寧々さんの経歴は以下の通りです。(AMAZONより引用)

起業家。教育革命家。華僑。日中英のトライリンガル。6歳で来日後、日本国籍取得。フェリス女学院中学・高校時代に独学で英語を学び、米国デューク大学に進学。卒業後、米国大手コンサルティングファーム勤務を経て、マサチューセッツ工科大学(MIT)MBA修了。在学中にMITの「創造しながら学ぶ」教育理念を英語学習に取り入れた英語習得メソッド「Native Mind」を開発し、MITソーシャルインパクト財団より出資を受ける。2015年にタクトピア株式会社、2017年に「Future HACK」を創設。グローバルキャリアと日中英の3か国語能力を生かして現在までに世界20か国、累計15、000人の学生に対してアントレナーシップ教育を行う。また、2018年には「教員をグローバルリーダーに。」というミッションのもとに「Hero Makers」を創設。同事業は経済産業省「未来の教室実証事業」に採択された。九州大学、立命館大学、奈良先端科学技術大学院大学、大阪府立大学のコンソーシアムのもとで行われたアントレプレナーシッププログラム、Startup Hub Tokyo主催の起業家育成プログラムなどで、多数の起業家も輩出。現在は「教育乱世」を提唱。著名起業家、教育者、宇宙飛行士などの日本内外のグローバルリーダーや、官公庁、全国各地の教員、企業人、大学生や高校生を巻き込みながら、教育の本質的なシフトを世界的に推し進めるための活動に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 

英語教員や国際教育担当の方でしたら、タクトピアという会社をご存知かもしれません。彼女はタクトピアの共同ファウンダーです。そして、「Hero Makers」などのさまざまな取り組みを通して、教育を変えようとする教育革命家として活躍されています。

「教育革命家」ってかっこいいですね。私も何度もnoteに書いていますが、本気で日本の教育を変えていきたいと思っている一人なので、やがて教育革命家と名乗れるように頑張りたいと思います(笑)

本書のタイトルを『国外逃亡塾』という犯罪色が漂うもの(笑)にした理由を寧々さんは下記のように書いています。

2020年現在の日本の子供や若者世代のために社会が用意した現状や未来が、かなり理不尽な無理ゲーであるという不都合な真実から目を背けるつもりがないからである。

私は個人的には大学や大学院は海外で過ごしたのち帰国して、日本の発展(復興)に尽力してほしいと考えているのですが、寧々さんは「努力の成果が片っ端から摘み取られた上に挽回の機会もないクソゲー」や「少し違うことをしただけで息が苦しくなる無理ゲー」ではなく、「ちゃんと頑張っただけ自由度が上がるシステムである」世界で生きていくこと、つまり海外で生きていくことを強く推奨しています。

その根拠の一つがグローバル賃金という考え方です。

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出典:oecd.statより全労連が作成(日本のデータは毎月勤労統計調査によるもの)

日本一人負け・・・(;´・ω・)

ちなみに日本の大卒初任給が平均20,9万円(2016年)に比べて、オーストラリアは42,4万だそうです。に、2倍・・・。もちろん物価の違いもあるのですが、それにしてもこの違いは受け入れがたいですね。余談ですが、私がオーストラリアに住んでいたころの物価は日本の2/3程度でした。あー、懐かしい(遠い目)。

そして、言うまでもなく、給与だけでなく、日本で働くということは多かれ少なかれ理不尽な扱いを受け入れるということでもあります。どんなに頑張っても這い上がれない非正規雇用や、人権侵害が当たり前、セクハラ、パワハラなどが横行するブラック企業もたくさんあります。

そういう意味では、英語をできるようにして、海外に”逃亡”することは、自由(経済的自由を含む)を手に入れる常套手段だということです。

ただ、海外の大学に進学するためには2つの大きな大きなハードルがあります。それは「英語とお金」です。

まず、一般的に海外の大学に進学するには最低でもTOEFL80程度、英検で言うと準1級程度の英語力は必要です。これを帰国子女ではない、純ジャパ高校生に求めるのはそれなりの高いハードルです。ただ、不可能ではありません。今は私が高校生だったころとは異なり、本当に多種多様で、素晴らしい教材や学習環境が溢れています。良質の無料のアプリもたくさんありますし、安価なオンライン英会話(レアジョブやDMM英会話など)等を駆使して、高いモチベで本気でやればこのくらいの英語力誰でも手に入ると思っています。

お金に関しては個人の努力でどうにもならないので、質が悪いです。実際に私の生徒でも、帰国子女だが学費の問題で国内大学に進学する生徒は多いです。ちなみにご存じない方のために、英語圏の大学の学費は日本に比べても圧倒的に高いです。特にアメリカはやばいです。授業料が年間400万とか500万とか普通です。公立でも州外の学生や外国人学生にはめっちゃ高く学費が設定されています。だから多くの学生が返還不要の奨学金を取るのですが、有名な大学になればなるほど外国人学生が入学時に奨学金をもらうのは難しいです。(地方であれば、日本人学生を欲している大学も多々あるので、結構な額の奨学金を出してくれる学校もたくさんあります)

アメリカ以外でも、イギリス、カナダ、オーストラリアなどの英語圏は日本の一般的な学費よりもかなり高いです。さらに日本より物価が高い場所だと生活費もかさむので、及び腰になるのもある意味当然です。

そこでそんな生徒に私が勧めているのはマレーシアの大学(全授業英語で教える大学がたくさんあります)だったり、台湾の大学だったりします。また、英語力がそこまでないけれど、アメリカの大学に行きたい!という生徒にはコミュニティカレッジ(2年生の短期大学)へ進学をし、その後4年制大学への編入を勧めています。昨年早速コミュカレからUC Berkeley(世界大学ランキングTimes Higher Education2021で世界7位)への編入を決めた生徒も出ました。また、ヨーロッパの大学は英語圏の大学よりも圧倒的に学費が安い(国立大学が多いので、授業料が安価)ので、最近ではオランダやチェコの大学(医学部)にも進学をさせています。

そんなわけでヨーロッパの大学進学に注目してたところ、たまたまベルギー在住のガイダンス・カウンセラー(進路カウンセラー)をされている北川美和さんとつながることができ、昨年生徒たちにZOOMでヨーロッパの大学のガイダンスを開いてもらったりもしました。

本書ではやはりヨーロッパの大学で学費が日本よりも安く、英語で授業が学べ、さらに世界中で引っ張りだこな人材になれるという夢のような大学がいくつか紹介されています。

条件としては、これからの時代を見据えて、「好きなこと×コンピュータサイエンス(CS)」を学ぶことが挙げられています。世界のあらゆる産業は何らかの形でテクノロジーとつながっており、「プログラミングは現代の読み書きそろばんだ」とも言われたりもします。

世界的にITスキルの高い人材が不足している現状を考慮すると、CSを学ぶことで選択肢の数とグローバルモビリティがぐっと上昇し、グローバルに生きていける!というわけです。

ここで、「でも、CSって理系でしょ・・・」とお嘆きの文系の方々に朗報。それは、日本人であれば、普通に外国人より数学ができるという事実。OECDが実施する世界的な学力調査PISAにおいては、日本は常に数学と理科において世界トップレベルにありますし、アメリカの大学入試用統一試験SATの数学は日本の数ⅠAレベル(高1レベル)です。(先日うちの高2の生徒がSATの数学で満点を取ってました。)

「数学ができる=プログラミングの素質がある!」

という寧々さんの主張を真に受けるならば、これはかなり突破口になりえます。前述のように、高い英語力や成功の可能性を有しているが、学費などの問題で海外大学進学をあきらめてしまった生徒にもう一度夢を与えることができます。

というわけで、寧々さんのおかげで自分をアップデートさせることができました。そういう意味では非常にinspiringな一冊でした。

上記のお話に興味がある方は、ぜひ下の動画をご覧ください。ちなみに、対象は高校生や大学生だけではなく、社会人も入っています。(Never too late!)

最後までお読みいただきありがとうございました!


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