楽園

少女「望むものはすべて与えられるの」

青年「望むもの?」

少女「そう、フルーツが欲しいと願えばたくさんのフルーツが、そしてケーキを欲すれば様々なケーキが与えられる。勿論、肉やお酒も思いのまま。食べ物や飲み物だけでなく欲しかったスポーツカーやブランドバッグ、すべて望むままに」

青年「ここはまさに楽園じゃないか」

少女「でも一つだけここに無いものがある」

青年「無いもの?」

少女「この世界には愛と言うものが存在しない。男と女の愛は勿論、親子や兄弟や友人同士。どんな形の愛も存在しないの」

青年「どんなに物質的に満たされていても愛がなければ虚しいだけ」

少女「すべてが満たされたこの世界に愛などは必要ないわ」

青年「愛がなければ生きる意味さえありはしない」

少女「それなら愛の国へ行けばいい。そこは愛の他に何もない世界。さあお行きなさい。でも、あなたに耐えられるかしら」

青年「こんな場所よりはましさ。僕は行くよ」

少女「せいぜい頑張る事ね。フフフッ」

こうして青年は

楽園を後にして

愛の国へと旅立った

さてあなたは

どちらの世界を選ぶ?

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