より良い人間関係と自分自身を築く「構造会話」
人間関係やコミュニケーションを改善する、効果が実証されている方法は、「構造会話」をトレーニングすることです。
「構造会話」による研究を基盤としたスキルを使うほど、より速く効果的にコミュニケーション方法を学ぶことができます。
トレーニングは、1人でもおこなえるようにレクチャーをしていきますが、できるなら相手と一緒におこなうことをおすすめします。
トレーニングの効果を最大限に発揮するには、自分自身やお互いが、特定のスキルと目標に焦点を当て、献身的に取り組む準備が必要となります。
人間関係におけるコミュニケーションスキルの重要性
人間は、どんなにその人のことを知っていると思っていても、完全に心を読むことはできません。それは自分自身にも言うことができます。
したがって、優れたコミュニケーションスキルの構築は、健全で安定した人間関係や自分自身にとって非常に重要なことなのです。
状況に応じたコミュニケーションスキルを使用することにより、関係の安定性を高め、怒りの感情を減らし、親密さを促進します。
信頼を築く
優れたコミュニケーションには、スピーキングとリスニングの両方が含まれています。
相手や自分自身へのコミュニケーションが良ければ良いほど、信頼関係は高まり、思考や感情を共有しやすくなります。
自分の恐怖や不安を共有するよりも、相手や自分を批判したり貶めたりする方がはるかに簡単です。しかし、その行為は、相手や自分との親密さと、自身の心に対して負担をかけるだけでしょう。
相手や自分と強い信頼関係を築くと、
「何をしたのか?」
「どのように失敗したのか?」
「間違えたのか?」
ではなく、
「どのように感じたのか?」
「これから先、何が必要なのか?」
についてより多く対話し始めるのです。
コミュニケーションは、関係性の変化をサポートします
コミュニケーションは、
「知人から友人」
「友人から親友」
「カップルから夫婦」
個人であれば、
「以前の自分から新しい自分」
など、関係性の変化のサポートに役立ちます。
信頼、健全、構造化されたコミュニケーションの基盤が強ければ強いほど、あなたと相手、自分との関係は、困難な状況を乗り越えることができるのです。
構造会話とは?
構造会話は、3つの主要な構成要素に分けることができます。
それは、ウォームアップ、スキルトレーニング、クールダウンからなるトレーニング方法です。
これらのスキルを実践することで、あらゆる関係において避けられない対立、議論、紛争、自問自答、悩み、ストレスなどに備えることができます。
1.ウォームアップ
ウォームアップは、お互い(もしくは自分)の基本的なニーズが満たされていることを確認することから始まります。
これには、気分転換のアイテムや、お腹が空いている場合の軽食を手元に置き、その日の取り組むべきタスクを確認し、今後のスキルトレーニングの目標について話し合う(思案する)ことが含まれています。
2.スキルトレーニング
スキルトレーニングは、1つのトピックを話し合いながら、特定のスキルに焦点を当てることを言います。
たとえば、あなたが焦点を当てているスキルが「アクティブリスニング」である場合、アイコンタクトや同調的なうなずき、「もっと話を聞かせてください」というような言葉を使用したり、オープンボディランゲージを使用するトレーニングなどに最善を尽くすのです。
トピックは、確定的な「○○のスキルを身につける」というものではなく、「最近の気になる出来事」などかもしれません。
その場合、「最近の気になる出来事」に焦点を当て、それを解決する上で必要なスキルをお互い(もしくは自分)で精査していくのです。
この時、まったく別のトピックや、他の議論によって気を散らしたり、トピックを重複しないことが重要です。
一度に1つの問題を解決し、対処をするということです。
3.クールダウン
最後に、クールダウンとは、まさにその言葉通りの行為です。
相手もしくは自分が、最近行った特定のことに対する肯定的な声明、賛辞、または良い情動の湧くような対話で終了するようにしましょう。
定期的なスケジュール
定期的に「構造会話」の時間を設定しましょう。
良い習慣を身につけ、より迅速にスキルを身に付けることができるように、トレーニングは週に1回が基本となり、少なくとも月に1回が推奨されています。
練習すればするほど、習慣やスキルが早く学習されます。
コードワードを持つ
「コードワード」には、タイムアウトハンドシグナル(「少し休憩しましょう」のサイン)などがあります。個人であれば、「少し休もう」と、自分に声を掛けても良いでしょう。
「コードワード」を確立しているカップルや個人は、スキルトレーニングをする時に役立つ場面があります。
非言語的なサイン、ボディランゲージ、または合意されたコードワードを持つことは、強い緊張感や、効果的にコミュニケーションが取れないと感じる場合に役立つのです。
構造会話の例
ある夫婦の出産後
ある日、生後数ヶ月の赤ちゃんがなかなか睡眠をしてくれないという状況になりました。
夫婦は、就寝前に赤ちゃんにする最良のルーティンやアプローチ方法、真夜中に何をすべきか、日中にお互いをサポートする方法、そして、夫婦のニーズを話し合う時間を見つけることなどについて意見が一致しません。
母親は父親と話しをする準備ができていますが、その度に、父親がストレスを感じていたり、仕事などで忙しいように見えています。
ここに「構造会話」をする余地があります。
母親は、「赤ちゃんの睡眠トレーニング」を試してみたいと考えており、父親は「小児科医に相談」することがより良いアプローチだと考えています。
構造会話は、この2人が前に進むための方法を決定し、お互いを助け合う関係を築くために使用することができます。
「ウォームアップ」
状況を鑑みて客観的に、お互いに基本的なニーズを満たす時間が必要です。子供を育てるということは、非常に喜ばしいことですが、夫婦のストレスにもなります。シンプルにストレスは、お互いのルーティンを混乱させます。
「スキルトレーニング」
睡眠に関するお互いの考えや感情、そして赤ちゃんの睡眠を助けるために、次に何をすべきかを話し合う(聞き合う)必要があります。「リスニングスキル」を向上させるカップルは、相互に同意できる決定を下すことができるのです。
カップルから親になってすぐの2人は、新しい役割と責任を認識しながら、多くの前向きなレベルアップが必要です。
「構造会話」を通じて、お互いのスキルアップを重要視して助け合うコミュニケーションは、悩みやストレスを減少させ、カップルから親への関係性の変化をサポートするのに役立ちます。
お金について意見が合わない
2人は、お金について話すたびに口論になってしまいます。
彼は定期的に外食をし、彼女は買い物リストを作って家で料理をしたいと思っています。
彼は休暇に旅行を計画したいのですが、彼女は家をリフォームしたり家具を揃えたいと思っています。
お互いが「自分を正しい」と感じ、自分がふさわしいと思うように自由にお金を使うべきだと感じているようです。
構造会話は、このカップルの関係性の構造を変え、彼らがお金について話す方法の変化を手助けすることができます。
「ウォームアップ」
お互いに先月の支出などを示し、財政を整理し、支出と貯蓄を確認する必要があります。また、各人が支出の優先順位のリストを書き出すことも重要です。(これは、お金に不安を持っている個人にも適用できます)
「スキルトレーニング」
お互いのお金に対しての考えと、2人がどのように支出と貯蓄、良い習慣を学んだかを積極的に聞く必要があります。その後、彼らはお互いのニーズを理解し、相互に受け入れられるいくつかのパターンで、毎月の予算を設定することをトレーニングすると良いでしょう。
よくあるコミュニケーションの間違い
私たちは、イライラしたり、動揺したり、傷ついたりすると、コミュニケーションの罠に陥ります。
人は否定的な感情を持っているとき、他の人や自分を非難したり、対話を避けたり、新しい問題を作り出そうとします。
「あなた」「きみ」「おまえ」「私」「俺」などの単語を使用し、自分の否定的な気持ちをそこに投影して、改善の試みを無視することは、すべての人間関係や自己を損なう初歩的なコミュニケーションの間違いです。
この間違いを避ける方法を学ぶことで、人間関係の対立や、自己矛盾、議論の頻度と危険度が大きく減少します。
「あなた」「きみ」という単語
上述の通り、人は傷つくと何かに対して激しく非難したり、防御的な反応をする傾向があります。
これは、
「いつもあなたの食べた後のお皿は汚い」
「きみはいつも僕の事に気付いてくれない」
というように、「あなた」「きみ」の単語を使い始めるときです。(1人であれば「私「俺」です」)
これらの声明や、心の中の声は、欲求不満や動揺を感じた瞬間に生じることがあります。
しかしこれでは、全か無かの声明です。
これらの声明は、相手(もしくは自分)にそれを正す余地をほとんど残しません。
「いつも○○だ」
「○○したことがない」
「○○できたことがない」
これは果たして本当でしょうか?
「あなた」や「私」という単語と、全か無かの声明を組み合わせることで、私たちはその対象を激しく非難し、攻撃しているのです。
相手(や自分)に投影する
投影とは、自分が持っている感情を、もう一方、もしくは自分自身に投げかけて非難をすることです。
たとえば、カップルの片方が不安を感じている場合、相手が「浮気をしているのではないか?」「何か不信なことをしていないか?」と非難する傾向があります。
これは、相手にしてみれば「常に相手からの監視下にある」という感覚につながります。このような状況では、お互いの本当の問題について話す機会を退けてしまいます。
修復の試み
「修復の試み」は、議論に対して「緊張から緩和へ戻そうとする時」に起こります。(個人にも当てはまります)
たとえば、制御不能、我を忘れた議論の途中で、相手が抱擁のために手を差し伸べ、愛していることを伝えるかもしれません。
別のパターンでは、「修復の試み」としてユーモアを使用し、真剣さと怒りから愚かさと穏やかに議論のトーンを変えようとするかもしれません。
「修復の試み」は緊張を和らげ、より効果的にコミュニケーションをとるためのシンプルな行動であることを覚えておいてください。
「修復の試み」に対して、無視や暴言を吐くのは大きな間違いです。これにより、「修復の試み」をしようとした人は落胆し、心を閉ざすことになります。
それは個人でも同じです。自分自身の希望を、絶望で返すのは間違いだと理解すべきです。
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