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様々なブレスワーク(呼吸法)を理解して、体験してみましょう

ブレスワークは体のみならず、脳にも良い影響を与えることがわかっています。

気分を調節し、注意力と集中力を鋭くし、神経可塑性や、脳のポテンシャルを向上させることができます。

神経可塑性

神経可塑性(しんけいかそせい)とは、個人の経験に応じて脳の接続を変化させる能力のことです。

この能力は、「新しい神経接続」と、「すでにある神経接続の再マッピング」という2つの形があります。

ブレスワーク(呼吸法)による神経可塑性の促進は、心理的柔軟性を向上させ、感情的な反応や、無理なコントロールをしようとするのではなく、問題や課題に対して一時停止して思慮深く対応することができます。

また、不安やうつ症状に寄与する過去や未来についての否定的な考えや感情から離れ、現在の瞬間に思考を引き戻すのです。

ブレスワーク(呼吸法)の研究

「Frontiers in Psychology」

に掲載された研究では、40名が「1分間に4回の呼吸を目標にするセッション」に参加しました。

深く、ゆっくりとした呼吸ができるようになった参加者は、「集中力の増加」と「ネガティブな気分の減少」を示しました。さらに、血液検査では、血液中のコルチゾールレベルが低下していることが明らかになりました。

「Journal of Contemporary Psychotherapy」

に掲載された記事では、不安、うつ症状、ストレスに対処する人々の能力を高めるためのブレスワークの有効性を示す多くの研究を引用しました。

1996年のブレスワーク(呼吸法)の研究

では、心理療法を受けている2つのグループを比較しました。

1つのグループはトークセラピーのみを受け、もう1つのグループはトークセラピーとブレスワークトレーニングの両方を受けました。

結果として、ブレスワークトレーニングを受けた参加者のグループは、不安症状のより大きな減少を報告したそうです。

本心を感じる

ブレスワーク(呼吸法)は、身体的な効果を求めて実践している人が多数います。加えて、一部の人は、主に脳に対しての効果を期待してブレスワークを実践しています。

定期的にブレスワーク(呼吸法)を実践している人々は、しばしば、内なる自分(本心のようなもの)をより意識し、それに同調している感覚があると報告します。

ブレスワーク(呼吸法)の種類

広い意味で言えば、ブレスワーク(呼吸法)とは、意図的に呼吸パターンを変えたり制御するような呼吸運動全般を指します。

古来からのものから数え上げると、膨大な数を挙げる必要があるため、ここでは、古来からのものも含めて、現代でも行われていて、これから学ぶこともできるブレスワーク(呼吸法)と、少し面白いものを中心にご紹介します。

呼吸の認識

これは呼吸法の準備段階として、とてもシンプルに、「意識的に自分の呼吸をチェックする」という練習です。

自然な自分の呼吸に意識を向け、浅い呼吸や速い呼吸をしていないかを確認してみましょう。(たまに抜き打ちチェックしてみると良いと思います)

特に胸のあたりで浅く速い呼吸をしている場合は、意識的に大きくゆっくりと呼吸する練習をしてみてください。

横隔膜呼吸

このテクニックは、肩をリラックスさせ、腹部が外側に拡大するように大きく息を吸い込む呼吸テクニックです。

息を吸うたびにお腹が膨張し、息を吐くたびに緊張が体を離れるのを感じましょう。

例えば5秒など、同じ秒数をカウントして息を吸ったり吐いたり繰り返すと良いでしょう。

呼吸数は4回を1セットが基本ですが、自分の快適な回数や長さで行えば良いと思います。

プラナヤマ(ヨガの呼吸法)

「プラーナ」とはサンスクリット語で「生命エネルギー」「エネルギー」「呼吸」という意味でも使われる言葉です。

「プラーナ」や「プラナヤマ」は、古い文献や現代でも、古武術、ヨガ、中国拳法、タントラのように身体意識を鍛えたり、心と体のバランスに意識を集中して行う運動の中に取り入れられています。

これらに共通する考え方は、「エネルギーというものは、食事からの栄養だけではない」ということです。

私たちのエネルギー源は、あらゆるエネルギー全般を意味していますが、そのひとつが呼吸です。

体の中のエネルギーの循環が悪いと、体調が悪くなったり病気になるとも考えられます。

また、心(脳)と呼吸は影響し合っており、呼吸が安定していると、心もスッキリした状態でいられます。

心がいつも穏やかでいるためには、呼吸の練習が必要です。呼吸の練習は、ヨガの呼吸法としてプラナヤマと呼ばれています。

ウジャイ呼吸法

ウジャイ呼吸法は、習慣的に行ったり、繰り返し行う1人でできる呼吸法です。また、仕事中や歩行中でも、普段の呼吸の代わりに行うこともできます。

ウジャイ呼吸法の効果は、心が穏やかになる、腹部の緊張を和らげる、胸郭内の吸気容量が増えるなどがあります。

ウジャイ呼吸法は、呼吸時に出す音から「海の呼吸」「ダースベイダーの呼吸」とも呼ばれています。

ウジャイ呼吸法のやり方

1.背筋を伸ばし、楽な姿勢をとります。

2.鼻からゆっくり深く息を吸って、窓ガラスを曇らせるように音を出しながら口から息を吐きます。

3.再び深く鼻から息を吸い、音を出しながら暖かい息を口から吐きます。これを数回繰り返します。

4.深く鼻から息を吸い、次は唇を閉じたまま同じように息を吐きます。慣れるまで繰り返し練習してみましょう。

4.で吐く息は、波の音やダースベイダーのように聞こえるかもしれません。練習のポイントは、のどの通り道が少しだけ狭くなる感覚を維持しながら行うところです。

イライラを感じたり、神経過敏状態の時は、ウジャイ呼吸を1分ほど行うと心が落ち着いてきます。

注意としては、体調がすぐれない時は控えるようにするということです。

シータリープラナヤマ

シータリープラナヤマは、クンダリーニヨガの練習で、体を冷やしたり、のどの渇きを癒したりするために行われる呼吸法です。

様々な内臓器官の働きを良くする効果があり、水が手に入らない状態の人々や、炎天下での作業者、登山家たちも同類の呼吸法を行うことがあるそうです。

シータリープラナヤマのやり方

1.背筋を伸ばし、楽な姿勢をとります。

2.ストローのような形に舌を縦に丸めて出し、そのストローで吸うように、息を吸います。

3.舌を元に戻し、口を閉じて息を数秒止めます。

4.鼻から自然に息を吐きます。

最初は、1.から4.を5回~10回繰り返して、慣れてきたらさらに回数を増やしていきます。

また、息を吸う長さも最長6秒ほどにし、息を止める長さも伸ばしてみましょう。

ブラマリプラナヤマ

ブラマリプラナヤマは、その呼吸音から「蜂の呼吸法」と呼ばれています。

自律神経を整え、心を落ち着かせる効果と、緊張状態を和らげる効果、体を温める効果などがあります。

ブラマリプラナヤマのやり方

1.背筋を伸ばし、楽な姿勢をとる

2.両手の親指で軽く耳を塞ぎ、身体中の力を意識的に抜きます。特に顎、舌、歯のまわりの力を抜くのがポイントです。

3.上下の歯は軽く閉じ気味の状態にし、舌の先を上の歯の後ろに置くようにします。

4.鼻からゆっくりと長めに息を吸います。

5.喉からハミングのような音を出しながらゆっくりと息を吐きます。無理やり音を出そうとせず、自然に音が出るようなイメージが重要です。


意識的に力を抜くことに慣れてきたら、4.~5.を繰り返してみましょう。

火の呼吸、ベローズの呼吸

ヨガでは、火の呼吸とベローズの呼吸という2つの急速な呼吸テクニックがよく使われます。

これらは、消化器と呼吸器の健康を改善し、ストレスを軽減するために行われるテクニックです。

ゆっくりとした深呼吸の反対ですが、急速な呼吸法も脳と体にプラスの影響を与える可能性があります。

火の呼吸は、鋭く素早い空気を吐き出すときに息を吐くことに焦点を当てており、ベローズの呼吸は、迅速で力強い吸気と呼気を行います。

スダルシャンクリヤ・ブレスワーク

このブレスワークはスダルシャンクリヤというヨガの伝統から来ているそうです。

様々なパターンで呼吸を操作して、交感神経系を抑制し、副交感神経系を活性化し、脳波を変え、心拍数と血圧を改善し、ストレスホルモンをリラックスホルモンに置き換えます。

スダルシャンクリヤには、不安、うつ症状、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに対する有効性に関して、70以上の研究が存在しています。

ホロトロピックブレスワーク

ホロトロピックブレスワークは、20〜60分の急速でリズミカルな呼吸法が特徴です。

この呼吸法は、LSDの代替品として作成されたもので、意識状態の変化と感情的なカタルシスを誘発するように設計されています。

かなりディープな呼吸法とも言えますので、学ぶ時には注意が必要かと思います。

ヴィムホフブレスワーク

ヴィムホフメソッドは、雪や氷の中などの寒い条件下での瞑想法と呼吸法です。

ヴィムホフメソッドにあるコールド・トレーニングには、呼吸法を行いながら、冷水シャワーや氷水に両手をひたすなどがあります。

ご興味のある方は、本や検索などをしてみると面白いかもしれません。

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