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料理製造マシン

 レストランで食事をしていると、友人が店員に「シェフを呼んでくれ」と言った。何を言うんだろうと思っていると、やってきたシェフに友人が言った。
「このトンカツ最高にうまいですね。どうやって作ってるんですか?」
 どうせ秘密だろうと思っていたら、「料理製造マシンで作ってます」とあっさり教えてくれた。
「料理製造マシン?」
「はい。その機械に食材を入れて設定を合わせると、1分後には料理ができあがっているのです。もしトンカツの注文が多い場合は、豚まるまる1匹を入れて1分もすれば大量のトンカツができあがるので、店の回転率もあがってシェフたちは大助かりですよ」
 シェフは一礼して戻っていった。今どきはそんな機械があるのかと感心していると、また1分後にシェフがやってきた。
「先ほどトンカツを褒めていただいたので、これはほんのお気持ちですが、サービスです」
 友人の目の前にできたてのおいしそうなステーキが置かれた。それを食べた友人が、「これ何の肉だろう」と言った。
「牛肉?」
 俺は友人に聞いた。
「いや、牛じゃないな。なんか今まで食べたことがないような肉だ」
「なんだよそれ。ちょっと怖いな」
「怖いというと——」
 シェフが話し始めた。
「最近このあたりで子どもの誘拐事件が頻発してますよね」
「たしかにそうですけど……。ま、まさか、こいつが食べてる肉って、その子どもの……」
 俺が友人のほうを見ると、友人はすかさず言った。
「いや、違う。これは人の肉じゃない」

 結局、その肉が何だったのかは未だにわからないし、誘拐された子どもも誰ひとり戻ってきていないらしい。

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