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突然ショートショート「魔法少女と一方通行風呂」/毎週ショートショートnote

 魔法少女だって、たまには遊びたい。というか、普通に遊ぶ。
 今日は、流れる大きな風呂が新登場した大きなレジャー施設へ、友達と遊びに行くことにした。

 汗をさっぱり流すなら、私はやっぱり風呂だと思う。プールもいいけど、何かが違うのだ。

 更衣室で水着に着替え、重い引き戸を引いて浴場に出ると、流れる風呂には男女問わず多くの人が集まっていた。
 時計回りに流れている上に全員が一方通行で進むので、「一方通行風呂」と呼んでもいいかも知れない。

 流れる風呂へみんなで入り、他愛もない会話で楽しく過ごしていた時のことだった。

「きゃあ~!」
「!?」

先の方から悲鳴が聞こえた。視線をやると、そこには怪人の姿があった。

 騒がしくなってきた隙に風呂から脱け出し、物陰に隠れる。
 怖いからではない。
 こっそり持ってきていた防水ポーチから魔法のペンとインクを取り出す。

「変身!」

「魔法少女ドロップインク、参上!お前の好きにはさせないよ!」

 『一方通行風呂』での戦いが、今始まる。

(完)(415文字)


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