Story of Kanoso#75「罠の中の地味に怒る」/裏の毎週ショートショートnote
私はディレクターになって、夢だったドッキリ番組を任されるようになった。
「突然!ドッキリクイーン」だ。
私が彼礎テレビ放送に入る前の2002年に始まり、毎週のドッキリ企画が視聴者から愛されている。
今週は「甘い罠」というお題で、ローカルタレントの「ジャストだね伊東くん」を美女に会わせるとして、美女の手前1メートルで罠として網をかけるというものだ。
本番当日。
「こっちだよ~」
「は~い!」笑顔で美女の元に向かう伊東くん。
そして美女の所まですぐとなった所で、伊東くんは網にかかった。
驚く伊東くん。
「甘いんだよ、世の中。よく覚えときな」と吐き捨てる美女。
すぐに私は、ネタバラシのために彼の元に向かい、「ドッキリ大成功」の札を掲げた。
「どうも、ドッキリでした」
すると彼は、こちらを睨み付けながら言った。
「覚えとけよ。夢をぶっ壊したんだからなお前」
罠の中で地味に怒る彼を見て、私は悟った。
「ドッキリは、夢を作れない」と。
(了)(417文字)
あとがき
ホラー展開ですか?大丈夫ッス。彼礎は何でも起こる町なんですから(急にどうした
さて、人々を楽しませつつ、不快にもさせてしまうドッキリの不思議な関係。
持ちつ持たれつなのでしょうか、それとも実はただのこじつけのような関係だった、ということなのでしょうか。
タイトルカットは何だか怖そうですが、別に大丈夫です。
ただの偶然。それと御堂筋線の影響。
梅田の駅と30000系にお世話になりました。
Writen in the commuter train“31806“(Operated by Osaka Metro)
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