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Tom’s Best Hit 2020 ~Book~

どうも、例年とは違う年の瀬ですが、いかがお過ごしですか?

増田は今年帰省せず、大阪で一人新年を迎えます…
今年の年末年始は一人ということで、この1年をゆっくり振り返ろうじゃないかと。

ということで、“Tom’s Best Hit 2020” を開催したいと思いまーす!!
今年1年で出会った本、映画、アニメ、マンガの中で特に印象深いものをまとめていきます!

大学の授業もオンラインが多く、家にいることが多かった1年。これまで以上に本やアニメなどの作品に触れる機会が多かったので、改めて振り返ってみようと。

ではさっそく!まずは本から!

映画・アニメ・マンガ編もあるので、ぜひそちらも気になった作品を見てみてください!

◆小説◆

山田宗樹『百年法』

技術の発展により、不死の時代が訪れた日本。しかし、法律により百年後に死ななければならない。自分の死が外部に決められ、明確にわかっているという世の中。その死が迫る中、人の心はどう動き、どのような選択をするのか―

いきものがかりのリーダー・水野さんのこの記事で出会った作品。

「死」という究極のプライベートなものが外部によって操作される時代。そこで描かれる人間模様が本当に絶妙。(いい言葉が浮かばない!)

場面展開の仕方、交錯する人間模様の描かれ方が物語に深みを出していて、1度読み始めれば徐々に引き込まれる作品でした。

オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』

人類世界のあらゆるところまで効率化、機械化が進んだ西暦2540年。人間が工場で“生産”され、遺伝子を操作して社会階層が決められ、それに応じた条件付け教育をされる。そのような技術と制度の発展により、人類は不満と無縁の安定社会を築く。そこに現れる未開社会から来たジョン。ジョンの視点で、安定社会への疑問が浮かび上がり――

ディストピア小説の代表作。フィクションなんだけれども、現実と繋がっていて、どこかフィクションと割り切れない部分がある。

ちょうど大学の授業で『マクドナルド化する社会』という本を読んでいたころに偶然出会った1冊。マクドナルド化とは、社会のほぼすべてが効率性や数値に表せることを重視した価値観で支配されているということ。

現実社会のマクドナルド化が進んだ先にこの小説に描かれる社会があるのではないかと、物語にわくわくしながら、恐れも感じた刺激的な作品です。

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この辺から、増田の趣味嗜好がばれてきそう…
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筒井康隆『メタモルフォセス諸島』

放射能の影響により、あらゆる生物が奇形化し突然変異体となった島、メタモルフォセス諸島。足の生えてくる果実、木の枝に寄生する小動物など、奇妙な生物にあふれた島に調査に言った研究者が見たものとは―

このような奇妙なお話が集まった、短編集。筒井康隆ワールド全開!

特に「メタモルフォセス諸島」は結末が超シニカルで、言葉を失うほどに魅了される!!

短編集なので1つ1つの話が読みやすく、それでいて奇妙な世界観がどろどろと感じられる。気持ち悪さがクセになる、悪魔的なお話ばかり。

Amazonのレビューで、「合法的読書ドラッグ」と書かれていました。まさにその言葉がぴったりな1冊!

筒井康隆の短編集は、ほかにもおすすめ!
笑うな』『最後の伝令』『おれに関する噂』なんかも秀逸な世界観…

小林泰三『玩具修理者』

何でも直してくれる玩具修理者。独楽やラジコンカーはもちろん、死んだ猫も…。ある日、弟を死なせてしまった主人公が、死んだ弟を玩具修理者のもとに持っていく。そこで起こる出来事と、その後の顛末とは…!

「玩具修理者」と「酔歩する男」の2編が収録されている短編小説。

思い出すだけで気持ち悪い!笑
ただ、その気持ち悪さがいい意味で非現実感を醸し出し、いい味を出している。

ススっと読み進められる作品で、さらっと読み終わりそうになるが、ラストから目が離せなくなる!SFホラーというジャンルのおもしろさに気付かせてくれた1冊。

そんな作者の小林泰三さん、今年の11月にお亡くなりになられました。
小林泰三作品に出会ったばかりなので、これからどんなおもしろい作品を生み出してくれるのだろうと思っていた矢先。とても悲しいです。
面白い作品を世に残してくださり、ありがとうございました。

そんな小林泰三さん、ほかの作品も秀逸!
アリス殺し』『失われた過去と未来の犯罪』『人獣細工』『臓物大展覧会』・・・
どれもおもしろい作品だったなあ。(作品名からお察しの通り、ヤバい作品もあります…)

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完全に趣味嗜好がばれてますね…
そうなんです、SFとか、きもちわるーい物語とかが、好きなんです…
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◆エッセイ◆

関取花『どすこいな日々』

シンガーソングライター・関取花さんの初のエッセイ集。彼女の曲『もしも僕に』の歌詞の一節「人生なんてネタ探し」の言葉の通り、彼女の日常のすべったころんだ話が盛りだくさん。と思いきや、ときにはじんとくる、心に刺さるお話も。喜怒哀楽が文章から伝わってくる、心温まるエッセイ集。

増田が応援している関取花さんが初のエッセイ集を出したということで!!

こで『どすこいな日々』を紹介するのですが、先に宣言しておく。

関取花さんのファンだから紹介するわけではない!この本がすばらしいから紹介する!!!

曲を書いたり、ラジオに出演したり、幅広く活躍する花さんなんですが、彼女の魅力の原点には、日常のものを繊細に捉え、それを気持ちの乗った言葉にする力があると思う。

花さんの日常の思いや気づきが、本当にきれいで、鮮やかで、あたたかな言葉でつづられている1冊。

笑わずにはいられない1冊なので、電車の中で読むのはやめておいた方がいいですよ(経験者は語る。)

(いま…あなたの心に語りかけています……花さんの曲…1回聞いてみて……ほんとに心が…あたたまるから……)

三好愛『ざらざらをさわる』

クリープハイプのグッズデザインを手掛けるなど、幅広く活躍するイラストレーター・三好愛さんのイラスト&エッセイ集。日常のお話を描いているかと思いきや、気づいたら非日常に飛び込んでいるような、不思議なエッセイ。三好さんのイラストが、その不思議さのアクセントになっている。いわば、“半”日常イラスト&エッセイ集。

関取花さんが連載している記事に、コメントしたら、なんと答えてもらって!!そこで紹介してもらった1冊。

普段、そんなに山あり谷ありのでこぼこした日常を過ごしているわけではない。けれども、よく振り返るとなめらかに日々が過ぎているわけでもない。そんな日常の「ざらざら」を言葉とイラストで描き出した作品。

表紙も確かにちょっとざらざらしていて、装丁も好き。笑
三好さんのイラストに、気づいたら心が引き込まれている――

◆勉強になった本◆

赤坂憲雄『東北学/もうひとつの東北』

「東北学」の提唱者である赤坂憲雄が、東北とは、東北学とは何たるやを示した1冊。民俗学を創設した1人の柳田国男が提唱した、日本は同じ文化、民俗、生き方を共通してもつ民族による国家であるという「一国民俗学」に異議を唱え、東北をフィールドに、日本の歴史に隠された「もうひとつの東北」「もうひとつの日本」をすくいあげる。

〝自分の地域を自分の言葉で語る〟ことの意味を、学問的に示してくれたこの1冊。

普段自分の地域のことを語っているけれども、それが中央の視点から見た地域を語っていて、地域が自分の地域の視点で見た地域を語っていないことが多い。

例えば、新幹線は地域にとって本当に必要なんだろうか?
都市と地域を結ぶのが新幹線だけど、都市とつながったところで、地域にどんな恩恵が生まれる?
新幹線によって都市の観光客が来るから、ダサいと思われないように再開発した結果、地域の個性がなくなるなんてことはよく聞く話だ。

…新幹線については議論のポイントがいっぱいあるけど、この辺でおいておいて、、、

つまり、都市・中心の見方を外れた地域の見方を、東北という地で実践している赤坂さんの調査と考察は、学びというだけでなく、ただ読み物としてもおもしろい!

岸政彦『断片的なものの社会学』

社会学者が出会った人々の人生の中の「解釈できない出来事」に絞って書かれた1冊。社会学研究では、行間を読み、現象を解釈していくもの。しかし、著者の岸さんが経験した「解釈できない」出来事から、日常の本当のあり様が見えてくる。

日常、意識している行動は言葉で説明できることが多い。
しかし、ふと日常を振り返ったときに、「なんで自分はこうなっているんだろう?」「どこでこんな選択をしたんだろう?」というように、言葉では説明できないことが多いことに気付く。

でも、そんな「解釈できない」ことにこそ、人間性、自分らしさが見えてくるのかなーと。

すべてが解釈されてしまうのも、なんかさみしいし。

井上岳一『日本列島回復論』

少子高齢化、人口減少、国際競争力の低下、などなど、日本の未来に光が見えているとも言えない現代。そんな中、日本列島のポテンシャルを、地方に焦点を当てて語った1冊。「山水郷」というこれまでスポットを浴びてこなかった日本のポテンシャルをあぶりだし、斬新な視点で日本を描く。

地方に焦点を当てているので、地方創生バリバリの本なのかと思いきや、筆者の射程はそれ以上に広い。日本全体の問題点、歴史的背景、構造を事細かに分析し、日本全体のこれからを視野に入れて書かれている。

「お金があれば何とかなるけれど、お金がないと何ともならない」という社会を日本は作ってきたとあるが、とても納得。
お金をいきわたらせるために公共事業を地方でどんどん進めてきた土建国家システムだけれども、それが機能しなくなってきた現代において、「山水郷」にもう一度目を向ける意味は大きいのかもしれない。

藤井聡子『どこにでもあるどこかになる前に。〜富山見聞逡巡記〜』

地方都市・富山にUターンした筆者の半生を描くエッセイ。上京したのち、地元富山にUターンした著者。そこで感じたのは、新幹線の開通などでオープンになったまちの反面、郷愁と個性が失われたまちの様子。地方に見られる閉塞感を破ろうとはじまる、著者の<第2の青春>の物語。

完全なエッセイなんですが、<勉強になった本>のカテゴリーに入れました。
というのも、地方のまちの古くて新しい見方を提示してくれた本だから。

地方都市の閉塞感は、地元福井で感じてきた。新幹線の開通やライトレールの整備などでコンパクトシティを実現しつつある富山だと、なおさらその見かけの反面、閉塞感は感じられるのだろう。

そんな地方都市ではあるが、やっぱり愛しているのは自分と一緒!富山を愛す著者が、改めて富山の“よさ”を見つけ、富山を楽しんでいく生き方が、とてもおもしろい!

外から、都市から、中央から見たまちのよさではなく、著者自身の、ローカルの、内からの“よさ”を見つけていく。
そんな<第2の青春>という言葉にピッタリの生き方が描かれています。

滝澤恭平『ハビタ・ランドスケープ』

ランドスケープ・プランナーとして活躍する筆者が、全国37か所の風土をめぐり、地域のランドスケープ(地形、景観、地域環境)と人々の生き方のつながりを明らかにしていく。日常の風景のかけらから、自然と人間の長いかかわりの歴史が見えてくる。

ハビタ・ランドスケープとは、筆者の造語で、生物の生息環境である「ハビタット」(habitat) と、人間が生息するランドスケープ(landscape)を合わせたもの。

この本を読むと、人間の生き方が、自然とのかかわりの中で成立していることを深く感じさせられる。

普段都市に生活していると、自然は排除するもので、人間の生きやすいように自然を開発した環境に慣れてしまう。

だけれども、本来自然とは共生していくもので、自然の力は本当に大きい。そんな強大な自然と人間が共生している風景のひとかけらに、先人の思想、努力が見て取れる。

筆者の滝澤さんのようなまちの見方ができれば、まちがよりおもしろく見えるんだろうなあ、と思うような1冊。この本をもってまちに出かけたい!

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以上、Tom's Best Hit 2020 ~Book~ でした!

最後まで見てくださり、ありがとうございました!
気になる本があったら、一度読んでみて、感想教えてくれるとうれしいです!!

Tom's Best Hit 2020 ~Movie, Anime, Manga~ もあるので、よければそちらもどうぞ!


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