仮説と解釈(発展編1)

小説等のテクストの意味には解釈学的循環の問題がある。解釈学的循環とは部分と全体の循環の問題であり、文章表現の書物では、このことを逆手にとって、迫真の描写や稠密なディテールの金細工のようにするために、部分にこだわることを薦めるものがある。物語とは循環の繰り返しであり、物語自体には終わりはなく幾らでも創り出すことができる。終わりがなければいつまでも解析は終わらず意味は定まらない。解釈は物語と同様に、テクストの意味を無限に引き出す行為である。テクストを解釈することは物語のように、言わば別のテクストである作品を作るための糸を作り出す行為である。テクストを書くときは解釈や物語による無限の循環というテクストの深層を表象化することになる。但し、無限の解釈の循環には意味はいつまでたっても現れないことになる。作品の内容である意味は、テクストの深層を土台として現れたメタ的な象徴的次元の比喩という幾何学的構造のあるイメージである。

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