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経営のイロハ、起業ビフォーアフター

連載記事【01/34】初回は2つのお話を通しで見てみます!

 起業したい人は、ぜひ見てみてほしい、「生々しい起業家の半生」をこれから連載していこうと思います。そこには、時代を超越した起業と、その後に関するティップスが存在します。
 膠着した30年間を打ち破るのは、これを読むあなたかもしれません。そろそろこの国は目を覚ましてもいいんじゃないかな?

尾崎郁夫さんと私が出会ったのは、2020年頃だったのではないかと思います。最初はfacebookで知人の伝手で繋がったのですが、直接お会いする事になって、自己紹介を聞いて最初は面食らったというか、衝撃的だったのを記憶しています。私と尾崎さんは親子ほどの年の差があります(事実尾崎さんと私の父は同い年です)。しかし尾崎さんの人生そのものが今でいえばアントレプレナーそのもの、大先輩であるそんな尾崎さんの半生、私も書きながらという形になりますが読み進めてみましょう。

 今も現役の尾崎さん、文体を整えようと思ったのですが、このままのほうがお話を聞いているように見えるかもしれないと思いまして、ほぼそのままにしてみました。
 ここに書かれていることが、今の時代とそぐわないのでは?と思った方もいるかもしれません。この世の中には時代の流れに影響を受けるものと、そうでないものがあります。このおはなしは明らかに後者のものです。あなたがやりたい事がなんであれ、一読の価値ありと思います。

これから連載していく事(予定)

1.  “儲かる”ことをやるのではなく、やりたいこと・得意なことを軸にする
2.  事業計画・フィジビリティスタディ(=FS)の重要性
3.  起業の手続や作業は、全部自分で出来る
4.  資本金・運転資金の集め方極意
5.  政府金融機関・銀行との付き合い方
6.  ベンチャーキャピタルは期待するほど機能しない
7.  クラウドファンディングは資金集めになるか ?
8.  最初は恰好を付けない、実質勝負できる武装が必要
9.  情報収集は、ありとあらゆる手を使う
10. 意味のある人材ネットワークを構築する
11. 企画立案の極意・方法
12. 製品アイデア発案の極意・方法
13. 文書作成と文書管理の極意・方法
14. 営業の極意・方法
15. キーパーソンを見つける
16.“それいいね”と言われる「刺さる話」を展開する
17. 中小企業との付き合い方・大企業との付き合い方
18. いわゆるサラリーマンが言うことは、契約して金が入るまで信じるな
    (企業勤務者でもビジネスマンなら良い、この違いを見抜くのが重要)19. プロジェクトチームの創り方極意
20. 製作監理ではなく“一緒に編み出す”
21. 営業や技術の苦労は少し、大半は資金繰りの苦労
22. 出港した以上「空荷」では戻れない
23.“幸せ家族”の生活は少ないが、それでもかなりのことは出来る
24. 経営者は個人に全責任が掛かる、覚悟はあるか
25. 第三者の保証人にはなるな
26. 間違いがあれば全部負わなければならない
27. インチキ・不正は絶対しない
28. 節税しても脱税はしない
29. 競合との対応
30. 知的財産権(特許)
31. 世の中の要素を組み合わせ展開すれば、かなりのことが出来る
32. 所有する必要は無い、使用すればよい
33. 時間が経っても、本当の人間関係やネットワークは、いつまでも活きる
34. 必要充分で展開し、余剰は社会や次世代の若者に還元する
35. 事実と実質3

 ではさっそく本編に入っていきましょう。今回は初回でもありますので、
2番目の項目まで行ってみようと思います。

1. “儲かる”事をやるのではなく、やりたい事・得意な事を軸にする

 3年生の春ころかな、企業に就職希望の学生は就活が始まるのは。毎年、新卒者人気企業ランキングなんかが発表されて、不思議に思う。2022年の情報によると、上位は総合商社が占めてるという。
 総合商社は、入社後に自分の道を選択する余地があるから良いとしても、金融・保険・証券・不動産などが上位に来るのは、別の思惑があると思う。旅行・レジャー・交通・出版なども上位だが、ゲーム機メーカーや公務員が上位に来ると、首を傾げる。
 それらにケチを付けてるんじゃないよ、これは動機の話だからね。
 その分野が、好きで・得意で・希望だというなら純粋な動機だからいい。でも、これは人気ランキングだから、多くの学生が希望している要素が占める。一生安定・高給・事務所の場所が良い・解雇されないなど、私から見れば笑止千万だ。ひところは銀行が人気だったが、今じゃかすりもしない。公務員ってのも滑稽だね、親方日の丸の中に入れれば、どこで何をするかは問わないのかい。息子が就活のときは、銀行7行を受験して全部合格した。変な志望だなと思っていたが、案の定これらは練習用だったと言って、結局どこも行かなかった。総合商社2社に合格し、内1社に入社して、もう4ヶ国に赴任、今は総合商社とアメリカ企業の合弁会社のマネジメントで、大いに商社ビジネスを楽しんでいる。

 さて、企業に就職しないで自営などの事業者はどうだろうか。私の場合は、卒業後に最初から自営で、レーシングマネージャーという、当時の電話帳の分類に無い職業だった。好きな事・得意な事をメシの種にした訳だ。
学生時代から仕事をしていたので、仕事歴はかれこれ55年を超えているが、取引先の大企業従事者・中小企業経営者・才能がある個人など、いろいろな人と職業と仕事内容を見てきた。
 自動車レース界では、私のように最初から起業した人も大勢いるが、成功した人も失敗した人も両方いる。また、自動車レース界以外にも、一旦は会社勤めをした後に離職し、そこから起業した人も多い。
 どちらのケースでも言えるけど、最初から“何か儲かることをやりたい”というメンタリティの人は、大方失敗している。起業セミナーとかスタートアップセミナーも増えてきて、その他にも“儲け話”の誘惑が多い。
 そんな簡単に“儲かりゃ”世話無いよ。“儲かる”ことだけ追えないし、“お待ちしてました”とばかり“儲け”させてくれることは…ないない。“儲かる”ためには、“儲かる”条件を備えなければ不可能だ。
 これからの世の中は終身雇用なんて消滅するし、自営業の難しさは昔からある。しからば、“出来るだけ良い条件を備えて有利な人生を過ごしたい”という意識構造を捨てて改革が必要だ。
大学は就職予備軍じゃないし、貴重な学生時代から就職予備校の生活を送るのは止した方がいいね。必要なのは、自分の得意技を身に付けて、“自分がやりたい事・得意な事”を装備するのだ。
 それが基盤になって、人より巧く出来る事を備え自立した道を歩くんだね。今後のテーマで説明するいろんなハードルを乗り越えて、得意な事を一貫して続けてれば、結果的に“儲かる”と考えた方がノーマルだ。

2.  事業計画・フィジビリティスタディの重要性

 人間の本能的な感覚力や、事象をキャッチするアンテナ力は、どんな場合でも装備した方が良い。“ピンッと来た”とか“閃いた”事は、結構当たってるし、本能が求める事は、ビジネスでも恋愛でも巧く行く要素のひとつになる。それらを装備した上の話だが、ビジネスでは“勘”や“思い込み”だけで決めたら失敗するケースがある。それらを尊重した上で、本当にそうなのかと裏付けを取る作業が極めて重要になる。
 まず「事業計画」をしっかり立て、日を置いてあらゆる角度から見直して修正する。一発で正解が出る事は無い。自分が立てた「事業計画」が、秘密保持できる第三者の目から見て正しいか、成立条件は正しいか、不足要素は無いか、より良い方向は無いかなど、何回か見直す。ここに時間を割く事は、後からモノを言う。

 「事業計画」が固まったら、条件に合致する要素をインプットして 「FS(Feasibility Study:フィジビリティスタディ)」をする。「FS」はピンからキリで、本格的なものを〇〇研究所などに作成して貰えば、極めて高価だけど、自分が起業する場合の指針としては、有効なものを自分で作成できる。
  「FS」は、“起業した場合の実現可能性を事前に調査・検討する”事で、実行可能性調査・企業化調査・投資調査・採算性調査とも呼ばれる。
 必要充分な「FS」はフォーマットが作ってあり、条件の数値を入力すれば EXCEL自動計算で解が得られる。起業を希望したり、そうでなくてもスタディしたい人が居れば申し出て欲しい。汎用フォーマットの提供も可能だ。

 私が作成した「FS」フォーマットは必要充分な範囲だが、起業して利益が出てから本格的に作成したい場合は、〇〇研究所などに有償で依頼すればよい。最初の「FS」で重要な事は、収入・支出・収支を月別に計算し、少なくとも3年間の見通しを観る事だ。それによって、無謀航海の座礁が避けられる確率が高まる。
 収入は、資本金・売上・借入金など収入要素を、出来るだけ少なめに見積って金額と時期を入力する。支出は、事業をする上で最低限必要な費用を出来るだけ多めに見積もって金額と時期を入力する。それの収支(プラスかマイナスか)は、月別の集計と連続した月の累計で示される。 
 計算根拠である副票を作り、EXCEL計算で「FS」と連動させる。収入・支出の構成数字を副票に入力すると、「FS」シートに反映され累計も自動計算できる。
 業種によって若干条件の調整はあるが、「FS」フォーマットを使ったら、たいていの業種に適用できる。おおまかな一般論だけど、月別収支が、創業から1年半ほどで黒字化したら、まず健全な経営と見て良い。
 この場合、累積収支が黒字化するのに3年位は掛かり、その後は真っ当に経営していれば儲けが出る。この途中で悪い方に行く傾向があったり、月別も累積も収支好転にもっと時間が掛かった場合、どこかに不良要素があるので経営を見直す。

 知人の紹介で、土木建築の中小企業が「FS」を作って欲しいと依頼してきた。ゼネコンなどの大手から見て孫請け企業のような存在だ。インタビューで要素を聞き出し、条件調整をしてから「FS」を実施した。
 支出は問題要素が少ないけど、収入が相応に高いのに資金が追い付かない。資本金は限界があり、借入金も大きな調達は不可能な企業だ。そこその営業が成立しているものの、業界習慣の支払条件が悪過ぎて、常時約6000万円の手元資金が無い限り、この事業は、やってもやっても成立しない事が判明した。

 意固地な社長は“それなら借入金を増やす”と息巻き、制止するのも聞かず多くの銀行を駆けずり回った。何と、条件を変えた「FS」を14種類作ってくれと。よしんば、約6000万円の資金調達が出来たとしても、今度は、元金・利息の返済で支出が悪化し、「FS」が悪い方向に狂ってくる。
 ある銀行から1000万円の融資を受けたが、それでは焼け石に水であり、遣り繰りにかえって苦しむことになった。今では、この社長は音信不通である。全部がそうと言えないが、かように、「FS」をしっかりやって経営戦略を立てられるかどうかは、企業の存続に掛かってくる。

今回はここまでですが、いかがだったでしょうか?
このお話し、私が面白いなと思ったのは、単なるハウツーではなく、全部実話に基づいた経験から語られている事です。そして、起業のしかたは教えてくれる本はたくさんありますが、起業してからの生々しい話はというと、華々しい話はあっても、現実的な話は意外とないものではないでしょうか、尾崎さんの話、ここから先が面白いんです。ぜひ続きも読んでほしいなと思っています。

 続きを読んでみたいなと思われましたら、ぜひいいねボタンをクリック願います、ではではまた次回お会いしましょう。




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