美しい君がいる、君の美しさというようなものはない
「美しい花がある、花の美しさというようなものはない」という有名な一節は、昭和の文芸評論家、小林秀雄の作品「当麻」の一節である。その文章中では、ざっくりといえば「美しさ」という観念に囚われるべきではないという意味合いで使われているけども、色々と考えさせられる一節だと思う。たとえば、「花の美しさ」は音楽や絵画といった芸術で表現することができるかと問いを立てたとき、僕は「ノー」と答えるだろう。「花の美しさ」は普遍的なものではなく、花を直接的に目の前で観察した本人が「美しい花」と感