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'I' Novel

 2015年、RADWIMPSの18thシングル「記号として/'I' Novel」に収録されている曲。僕が中学3年生のとき、毎朝必ず聴いていた。先日、友人がインスタのストーリーであげていて、久々に聴いてみたけど何歳になっても感じるものがある。
 タイトルは「‘I’ Novel」だが、「“私”小説」、「“愛”のベル」などと読むこともできる。実際、歌詞を読み込んでみるとどちらの意味でも解釈することができる。少し歌詞を見てみよっか。

歌いだし。
『ずいぶん長らく歩いてきたような
そんな気がしていただけなんだ
小説にしたらせいぜい
まだ三行目あたりのこの人生
カバーもまだ 題名もまだ
決まらずに書き始めちゃったから
どこでどうしてどうなってって
順序よく収まりつかないや』


僕たちの人生は小説みたいなもの。毎日、いろんな人と出逢っては別れて、嬉しさも悲しさも全部抱きよせている。いつどんなドラマが起こるかどうかもわからない。そんな人生もまだ始まったばかりだったりする。

『塗りつぶしたい?破り捨てたい?
過去があろうとも汚れのない
物語など僕は惹かれない
あぁ一瞬先の自分さえもう待てないよ
今すぐでも会いたいよ
うかうかしてらんないの』

そう人間なら誰しも暗くて消し去りたい過去を持っているもの。それは小さなことだったり大きなことだったり。「なんであの時あんなことを言ってしまったんだろう」って思い返しては夜眠れなくなってしまい、「なんで僕は、私はあの人にあんなひどいことをしたんだ」「なんでこんな道を選んでしまったんだ」と後悔しては今ある目の前の時間を大事にできなかったり。でも、そんな過去があるからこそ人はきっと優しくなれるし、明日に希望を持つことができる生き物であったりする。

『どっかの誰かが勝手に君のことを
あーとかこーとか言ったり
いつのまにか君のブックの表紙に
名前を勝手につけて
頭きたよ、頭悪いけど
あんたに言われる筋合いはねぇから
とっとといなくなっとくれ
これ電車賃、受け取っとくれ』

自分の人生は自分のものなのに、誰かに勝手にこうだと決めつけられてしまうことがある。僕の親は幸いにもそうではなかったけど、親とか先生など周りに勝手に色々と決められて苦しんでいる人を多く見てきたから、想像はつく。この歌詞は「あなたはあなたの人生をただひたすらに生きて」と背中を押してくれているようで、22歳になった今でも心に響いた。


『どうにもこうにもいかない時でも
どうにかこうにかここまできたんだよ
今自信を持って言えるのは
僕を乗りこなせんのは
こいつの勝手がそうわかんのは
他にゃいないんだ
このおいらにゃ
このポンコツくらいが丁度いいんだ
でもあわよくば、まぁいつの日か
この僕のこと、この僕よりも
より分かって笑ってくれる人と
出逢えるといいな なんて
その時まで待てないよ
今すぐ抱きしめたいよ
この手で温めたいよ』

ちょっと長く引用しすぎた気もするけど。やっぱり大人と言われる歳になっても、どうにもいかないことってたくさんある。それでもなんとか前に進めるのは、歌詞にもあるとおり自分の乗りこなし方を知っているから。なんだかんだで自分ができることは自分が知っているし、自分の喜ばせ方も慰め方も知っている。けれど自分ひとりだとどうしても埋められない穴があったりする。それは生きるうえでの不器用さ然り、寂しさという感情の穴も然り。だから自分をわかってくれる人と出逢って手を取り合って生きていきたいと願ったりするのも当然。僕もそんな人に出逢いたいし、もしかしたらもう出逢っているけど気付けていないだけかもしれない。相手に甘えているだけではダメで、守ってあげられる優しさと強さを持ちたい。

さて、この曲の一番大きな部分。
『例え1ページで終わる命も
1000ページに及ぶ命も
比べられるようなもんではない
同じ輝きを放つに違いない
あいまい 何の気ない
言葉延々紡ぐ暇などない
1ページを生きた少年の本には
誰よりも光る一行が綴られているんだ
そう信じてやまないんだ
もうジタバタしてたいんだ
僕もどれだけ遺せんだ
ねぇどれだけ生きれんだ
時間以外の単位で』

これは読んだあなたにそのまま感じ取ってほしい。僕はあえて何も書かないでおく。

サビ部分。
『飛び出した白い光が
奇跡と合わさって芽を出した
それが僕なら
いいさそれならいっそ奇跡使い果たすんだ
はみ出した君の痛みが壊れないようにと涙した
ひょっとしたら、もしかしたら
君の優しさの影だった
輝いた朝の光が水たまりを蹴って飛び散った
あのどれかが今の君ならいいな』

歌詞って基本的には聴く側が受け取ったままに解釈してもいいと思ってる。おそらく、この白い光と奇跡は、精子と卵子なんじゃないかな。そうして生まれたのがこの僕なら、生きてみせるんだって歌っていると思う。僕はたまに落ち込んで死にたくなってしまうときもあるけど、こう考えれば生きてみるのもわるくない。そして後半はおそらく、さっきの歌詞で出てきた「僕のことを僕よりもわかってくれる人」と出逢ってできた子供のことなのかなと。そうすれば「はみだした君の痛み」、それが「壊れないようにと涙した」、「君の優しさの影」って全てがまとまる気がする。ほら、タイトルの「愛のベル」も結婚のベルだったりして。こうして奇跡が繰り返されていくんだね。僕は、人間って基本的には醜くて好きになれないんだけど、実は綺麗で美しいのかもしれない。

今日はここまで。目覚ましに‘I’ Novelを。
おやすみいい夢みてね。



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