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39歳、妊娠する。

なんか体調が悪い……。

年1回の健康診断は受けていたけど、
ちゃんとした人間ドッグは3年ほど受けてない。
高校生の頃から、胃炎、ビラン持ちのため(16歳にして相当ストレス溜めてますね…と医者に苦笑される)年1回必ず受けていた胃カメラも、めんどくささと胃痛が減ったことも相まって、ここ2年受けていない。
相変わらず仕事は忙しいし、管理職になってからストレスも増えたけど、デスクワークが多いから……と、パーソナルトレーニングも通い始めたし、食生活だって健康にも一応、気をつかっている。ただ、ここ数ヶ月の慢性的な頭痛に、食欲不振、腹痛、不眠…。これはもしかして、何か大きな病気かも、となんとなく自分の症状を検索しては悪い病名、深刻な病気が導きされる。39歳、もう結構いい歳ですし。

「よし!」とやっと繁忙期も抜けた春にとりあえず人間ドッグの予約をGW明けに入れる。とはいえ、絶不調というわけでもないし、何事もなく加齢と言われたそれはそれでショックだわ、、、とか思いながら毎日が過ぎていった。

情緒がおかしい……。

人間ドックの予約をしてから2週間、繁忙期を抜けて心にゆとりができたのもあり、体調が良い日が増えてきた。これは結局、加齢と疲れ&ストレスが原因か……。そんなこんなで仕事が忙しくて好きなこともあんまり出来てなかったので、ある日の夕方、会議がなくなったこともあって、思い立って仕事帰り、夫と一緒に映画を見に行くことに。

その週にちょうど公開になった『ザ・ホエール』。
今となっては、またなぜこれチョイスした!?と思ってしまうけど、ストレンジャーシングス にハマってたこともあり、この映画にそのストレンジャーシングス で名演技を見せていたマックス役の子が需要な役で出ていたので(アカデミー賞をとったこともわかり)じゃあ観に行こうとなった。

が、もうなんていうか、予告とのギャップ!!!

イメージとしては、父と娘の絆を取り戻すお話、的な感動作だと勝手に思っていたのに、全くもってそんな単純な話ではなく、
現実を突きつけるというのか、、、
人間のトラウマや人生の生きづらさ、
映画館で観るというよりは
家で色々と考えながら観る映画というか、、、
とにかく内面をえぐってくるというのか、、、、
ブレンダン・フレイザーの演技がすごいとか、、、、
ストレスをさらに増やしてどうするよ!っていう内容の映画でして(苦笑)

もちろん、すごく考えさせられる、現代社会の問題を散りばめられた見る意味のある映画だったんですが、これがね、メンタル琴線に触れまくってしまい、映画の途中から涙が止まらなくなってしまったんです。普段もわりと涙もろいのは涙もろいけど、一緒に見ていた夫がドン引きするくらいの号泣。あまりにも隣の私が号泣しているので、映画終わった後に真剣な顔で「何か良くないことあった?何か病気とか隠してる?」と聞くほど。
そして私は私で、なぜこんなに泣けてくるのか、というのが自分でも説明できず、「疲れてたからかなぁ…」と、ここまでキタか自分のストレス、と、その溜まりっぷりに、自分でも若干引くという。
哀れに思った夫が今日は好きなものをたっぷり食べて帰ろうと提案してくれたので餃子に油淋鶏、チャーハンと中華をたらふく食べた。

▲大好きな町中華のチャーハン。

ところが、夕飯を食べて帰る途中、ふと、私の頭の中にある言葉が過ぎる。「もしやこれは……」最近の体調不良に、さらに情緒不安定としか言いようのない号泣。ただ、結婚して10年(付き合った期間も入れるとトータル20年)あれ?って思うことがあっても全て空振りで結局はなんでもなかった、ということを繰り返してきているので、色々思い当たるところはあるものの「いやいや、年齢も年齢よ?」と39歳の自分を振り返り、まさかね、とその場ですぐに忘れた。それよりもとにかくストレス発散方法のことだけを考えた。

疑惑と確信。

そんなこんなで映画を観に行ってから1週間ほど経って、いよいよこりゃなんだかおかしいぞ、という自分の体への疑惑が確信へと変わる。頭痛や食欲不振からのだるさ、謎の腹痛から微熱まで現れて、どう考えても今までと体調がちょっと違う。体の中で何かが起きてる。

人間ドッグまであと少しだし、ともう一度、自分の今の症状を検索して、かたっぱしから病名を見ていく。検索すればするほど、重い病しか出てこず、暗い気持ちになってきて夫にどう相談しようかと考えれば考えるほど、涙までこみ上げてくる。が、ふと、そういえば妊娠の初期症状ってどうなんだろうか、と思い、試しに検索をしてみた。

妊娠初期症状のチェックポイント
おりものの量が増えた、色が変わった
少量の出血
腹痛・下腹部痛・お腹が張る
つねに眠い、昼間に眠くなる
食欲がなくなった、食欲がありすぎる
めまいやふらつき
なんだか熱っぽい
わけもなくイライラする、気分が落ち込む

https://chirashi.akachan.jp/care/early_pregnancy_imaginary/

おやおやおや……結構当てはまってるんだが? ついこの間、年齢も年齢だし、と全く気に留めなかった”妊娠”の二文字が症状との合致で急に現実味を帯びてくる。いやぁでもさ、確率的に20代でも自然妊娠するのだって簡単じゃないのに……。自分でも疑心暗鬼になりつつ、人間ドッグまでには時間もあるし、物は試しじゃん?と、ネットで買い物をするついでに一緒に妊娠検査薬も購入してみた。この時点では、本当に出来心的な感じだったので夫に何かいう訳でもなく、普通に買うだけ。

さて、検査薬を注文してから数日後、間が悪い事に朝から喧嘩をしているときにそれは届いた。「ヤマト運輸でーす」と、インターフォンから軽快ないつもの配達のお兄さんの声に、ヒートアップしていた話し合いも一旦落ち着いて、「なんか届いたけど」と夫が受け取った大きめの段ボールを開けた。「あー、トイレットペーパーとかもうなかったから…」とここでもさっきの喧嘩のイライラを引きずっていた私は、乱暴に箱の中身を取り出し、妊娠検査薬も手に取り、「なんか最近体調凄く悪くて人間ドッグはもう少し先だけど、症状がなんか似てるから、これ買ってみたんだったわ」と、ぶっきらぼうに(ほんとなんかしょーもない言い方をした)言って「ちょっと検査してくるわ」と、イライラしながらトイレに向かった。「いや、え?は?どういうこと?」と夫は明らかに動揺してトイレまで追いかけてくる。「だから、妊娠してるかもしれないから検査するからちょっと待って」と、トイレのドアを強引に閉めると、妊娠検査薬を取り出し結果を、ジッと線が出る部分を見つめる。
『陽性』
線がね、くっきり出ました。マジかー、というのが本心の一番最初に結果を見た時の自分の心の声だった。やったーとかそういうんじゃなく、もう本当に”マジかー”。でも自分でも驚いたのは、全然動揺してなかったことと、これからどうしよう、と考えて不安にならなかったこと。私、子供産めるんだ、という何か安心感に近いような、そんな気持ちになったのかなと、今思うとそんな気がします。で、無事、陽性反応が出たので、部屋でソワソワしている夫にも「妊娠してたわ」と伝える。あまりに私が落ち着いて伝えたので、さらに夫は動揺。で、あー男の人ってマジでこれいうのかーという1番言っちゃいけないセリフを言いました。
「え?俺の子だよね……?」
お前の子供以外に誰の子供やねん!?クソ忙しいの知ってるやろが!と、ハラワタが、頭が、沸騰しそうになったけど、もうさっきの喧嘩でパワーを使っていたのもあり、「は?じゃあ誰の子なのよ」と今までで一番低い声が出た。さすがに夫もいっちゃいけないことを言ったと気づいたのか、「ご、ごめん、動揺しちゃって……」とすぐ謝ってきたけど、正直今でも許せないくらい傷ついてます。が、そこで感動したり色々話す時間もなく、朝っぱらから喧嘩した代償でもう出勤する時間ということで詳しくはまた夜、と言ってさっさと家を出た。

39歳、妊婦になる?

結局、私が自分の体調がおかしかったことや妊娠の可能性を言ってなかったから、夫にも動揺させちゃって、のちに起こる大変なことも、もしかすると原因の1つになっちゃったんじゃないかと、今考えるとかなり反省。とはいえ体調不良の話をしていたとして、それはそれでストレスにもなるし、動揺しなかったかどうかは微妙だけど。夫が言ったことは許せないけどね。

で、検査薬で陽性、妊娠の可能性が高いとなったので今度はちゃんと病院にいかなきゃいけないと。当時、30代後半になってから、どんどん重くなる生理痛のため、病院にはかかっていて、漢方を処方してもらっていたのでまずはそこに予約の電話をしてみた。
「うちは婦人科なので、検査薬で陽性反応が出た、ということであれば産婦人科にかかってください。でないと二度手間になりますし……」と。え?そうなの?と全くもって予想してなかった返答に電話口で固まる。すっかりかかりつけの病院が産婦人科もやっていると思っていたので、いきなり診てもらう病院がなくなって一気に不安になった。そして、おめでたい事なはずなのに、電話口での対応がめちゃ冷たくて「産婦人科を紹介とかって……」と言いかけて、「してません」と言われ、電話を切られ、そこでも軽くテンション下がる……。産婦人科ってどこの産婦人科に行けばいいの?? しかもこんな初期の段階の、検査薬で陽性出た時に……誰かに相談するにも早すぎるし。で、こんな時は検索!と、とにかく色々SNSやネットを見た結果、皆が一様に書いていたのは”通いやすいこと”。通いやすいってことが1番大事ですよ、とのことだったので、自宅からも仕事場からも近くて安心感のある大きめの病院に予約を入れる事にした。

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