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独身看護師と出世


独身=出世


30代後半の先輩からこんな話を聞いた。

看護学校時代の同級生が、直近の師長面談で今後のキャリアについての話をされたらしい。
そこで、管理職になりたいのか、ジェネラリストコースへ進みたいのかの二択を迫られた。さらに師長はこう続けたという。
「あなたは独身だし、このくらいのところでどちらに進むのか決めるべきだと思って。」
彼女は独身なんだから仕事をしろと言われたようでなんだか納得がいかず、嫌な思いをしたという。

率直な私の感想は、そんな言い種はないと思う。

もちろん、病院側が使いやすい人材を然るべき役職に就かせようとするのは経営の観点からいえば当然だし、理解はできる。それに、出世は基本的には喜ばしくおめでたいことだ。30代になり自分のキャリアについて考えるのも当然だ。

だけど前述した師長の言葉。何となく棘を感じるのは、もしや私も独身のアラサーだから?
この言葉に違和感を感じてしまうこと自体、もう独身への偏見なのかもしれない。
だとしても、『30代独身看護師=出世コース』という根拠のない謎の方程式は、少なからずどこの病院にも存在しているのではないだろうか。

実際師長や主任がほとんど独身なんてことはないし、家庭があると出世できないなんて状況は今のところ聞いたことはない。(子供が手のかからない年齢になっている人が多いという事実はある。)

ライフスタイルは自分で決める

私が違和感を持った部分はきっとここではない。
独身=仕事と安易に結びつけられているところがどうにもこうにも嫌だ。

時間や能力を加味して適任な人が納得した上で役職に就けば良い。師長だって、彼女を適任だと思ったから何の気なしにそう言ったに違いない。

きっと彼女は、独身というだけでステレオタイプのライフスタイルを押し付けられた気分になったのではないか。
少なくとも、私がその状況に置かれたならそう感じるだろう。
選んで独身でいる場合もあるし、そうじゃない場合だってある。人にはそれぞれ事情と意思があるにもかかわらず、安易に発された言葉が彼女を傷つけた。

どうして結婚したいのか、どうして独身なのか。
管理職になりたいか、なりたくないか。

全てに(無意識的であっても)意志があり、自分で決めることだ。本当に毎日色々あるし、どうにもならないこととか、ままならないことばかりだ。でも、どう生きるかってことだけは、どうしたって自分で決めたいよね。

まとめ

何となく閉塞的な、結婚や独身に対する悪い意味で古風な考え方が色濃く残る医療業界を感じた今回の話。自分もまた、自分にとってのステレオタイプを無意識に押し付けているかもしれないことを忘れてはいけない。そして、自分のライフスタイルは、自分で決める。これだけは譲らないでほしいと思った今日この頃だ。

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