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【保護者アンケート集計結果】学校外の学びに関する児童・生徒等への支援について

2022年度、東京都では「フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業」という調査研究が始まりました。

都内公立小・中学校等に在籍する不登校児童・生徒のうち、フリースクール等に通う不登校児童・生徒及び保護者の支援ニーズや進路、フリースクール等での活動内容や分類、調査協力金の支給による効果等を把握し、東京都教育委員会の今後の施策立案に生かす。

東京都教育委員会HPより

という目的のもと、2023年度も調査協力金を引き上げて(児童・生徒一人につき、一月当たり1万円→2万円に倍増)、本事業は継続されています。

2022年度の調査報告はこちらに記載されています。

これまでは無かった、フリースクール等に子どもが通うご家庭に対する行政からの経済的な支援に繋がる本施策は、多様な学びを選択しやすい環境づくりへの大きな一歩になったと捉えております。

実際に、当事者の皆さんが、現在の多様な学びや不登校への支援について、どのように感じていらっしゃるのか。
それを知るために、この度、TFNでは、保護者向けアンケートを実施しました。

※今回実施したアンケートは、フリースクール等関係者だけでなく、親の会など広く呼びかけました。回答者は、東京都の調査研究事業の非対象者の方も含まれています。


アンケート内容(学校外の学びに関する児童・生徒等への支援に関する保護者アンケート)

[アンケート対象者]都内在住の、不登校支援を受ける・学校外の学びを選ぶ児童生徒の保護者

[アンケート項目]
①「現在行われている多様な学び支援や不登校支援は十分ある」と感じられるかどうか。
②不登校の子どもたちが「学校外で学ぶための選択肢は十分ある」と感じられるかどうか。
③不登校の子どもたちは、「将来的に在籍校である学校に登校してほしい」と考えるかどうか。
④文部科学省が令和元年に通知した文書によると、「不登校児童生徒への支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではない」とされているが、在籍校や不登校支援センターなどとの対話から(学校復帰を前提としない)趣旨を感じるかどうか。
不登校児童・生徒調査研究事業へのご意見(あれば)。

[調査期間]2023年8月4日〜8月13日

アンケート結果

回答数:182件

※「普段の学び場」を問う質問に対して、
「フリースクール等」が大部分、その他、「自宅」や「教育支援センター」などの回答がありました。

質問1:「現在行われている多様な学び支援や不登校支援は十分ある」と感じられるかどうか。

はい:11.5%
いいえ:76.4%
わからない:12.1%

[理由(一部抜粋)]

● 公の支援は、「学校にいくことが当然」という考えを元に作られていて、学校に戻ること、通えるようになることが目的になっています。
● フリースクール等に通っていない子どもには教育を受ける支援がない。
金額的に高く通いたくても行けない子供もいる。また、多様性にあったフリースクールが少ない。
● もっと、フリースクールが全国的に増えてほしい。一般の学校とフリースクールとの格差を無くす取り組みを文科省にしてほしい。
● 在籍校にオンライン授業などの多様な学び方を認めて欲しかった。
● 登校出来るようにはなっているが、不登校からの精神的な不安定(睡眠障害、勉強にまでは取り組めないなど)は続いており、不登校を克服したとは言えない状況をなかなか理解してもらえない。
● 不登校になると行政からの支援がなくなり、学習管理、栄養管理、健康管理、運動管理の全てが親責任になる。
知的障害じゃないと特別支援学校対象じゃなく、学習障害はフリースクールにいくしかない。フリースクールは勉強させるための場ではないため、学習障害の子を学習させるのは自宅で親ががんばるしかない。

質問2:不登校の子どもたちが「学校外で学ぶための選択肢は十分ある」と感じられるかどうか。

はい:2.5%
いいえ:77.5%
わからない:19.8%

[理由(一部抜粋)]

フリースクールの数も多くはないし、値段も高い。いざ探してもスクールは千差万別で、子供に合った場所がすぐに見つかるのかも未知数。
● 不登校の子供達が安心して過ごせる場所は少ないと思います。うちは見つかるまで2年以上かかりました。
不登校になった瞬間に路頭に迷う親が相談する場が用意されていない。スクールカウンセラーは週1しか連絡がとれず、ハズレの人に当たると週1の面談すらも意味なく終わる。いつでも連絡がとれる不登校相談窓口が必要。
● 自宅で過ごす事が多い子どもには、支援者を自宅に派遣する制度を作って欲しい。不登校特例校が少なく、特に公立校で必要。
費用が当事者負担となるため。自宅から通える範囲と考えると少ないと感じている。
● 選択肢はいっぱいあると思う。ただ不登校になったばかりの時はどうしたら良いかわからない。そこからみんなと同じように出来ない自分を責めながらメンタルが不安定になった。結局親が調べて調べて、そこから繋げて今がある。不登校になった背景は人それぞれで。学校が全ての選択肢ではなく、学校外の選択肢があることを、不登校になる前の段階で提案してもらえたら楽になる子も一定数はいると思う。

質問3:不登校の子どもたちは、「将来的に在籍校である学校に登校してほしい」と考えるかどうか。

はい:4.4%
いいえ:59.9%
わからない:35.7%

[理由(一部抜粋)]

【はい】進学の選択肢が広まるため。
【はい】本人は周りの子供達と同様に普通に学校に通いたいと思っているから。「皆みたいにランドセル背負って学校に行きたい」と発言しており、登校出来ることが自信につながっているから。
【いいえ】また通いたいと思える学校に変わらない以上、一度不登校になったら戻れないと思うが、既存のままで問題なく学べてる子供達もいる以上、勝手に変えるのが良いとも言い切れない。別の学校に行ける選択肢が欲しい。
【いいえ】学校に行きたいのに行けない子は、戻れたら良いと思うが、今の学校教育を受けたくない子は、無理に戻る必要はなく、その子に合った学びの場に行き学習できたら良いと思う。
【わからない】基本、子供の意思に任せます。不登校特例校など自然に戻りやすい場所が増えれば積極的に学校に戻らせたいです。公立の小中学校だと、不登校を受け入れる準備、余裕がなさそうなので、いきなり子供を教室に戻す選択肢しかなく、子どもの精神的負担を考えるとそれには至らないと思います。
【わからない】親は学校を信用していないので、不登校特例校に転校すれば良いと思っているが、子どもたちが在籍校に戻りたいと思っている。

質問4:文部科学省が令和元年に通知した文書によると、「不登校児童生徒への支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではない」とされているが、在籍校や不登校支援センターなどとの対話から(学校復帰を前提としない)趣旨を感じるかどうか。

はい:28%
いいえ:41.2%
わからない:30.8%

[理由(一部抜粋)]

【はい】現在の在籍校の校長先生や先生方は学校外の学びに非常に理解があり、学校外での学びも出席日数としてカウントされているため。
【はい】在籍校との対話で、そのような趣旨は感じるものの、一方で、無理して通わなくてよい=学校でできることはない、と考えておられるように感じる場面もあった。通えなくても、通いたいとは思っている子供もあるし、通うことを望まなくても、家族以外の人とのつながりが本人の回復や支えになることもあるので、通えなくても、子供にあった関わり方を一緒に模索して欲しい。
【いいえ】在籍校からはそんな特別な案件は知らないし、学校に再登校する以外は認められないと何ヶ月も言われ続けました。フリースクールへの入学を検討していることについて真っ向から否定をされました。
【いいえ】学校以外の選択肢を提示されなかった。
【いいえ】学校の先生方は校長含めてとにかく「学校に通うこと」を目標にしていると感じる。
【わからない】フリースクール側はそうですが学校側はそうではない。

質問5:不登校児童・生徒調査研究事業へのご意見があれば教えてください。

[コメント(一部抜粋)]

● 素晴らしい取り組みと思います。学校に行かない選択をした子どもたちにも学ぶ機会が与えられ続けるように、継続的な支援や見守りをお願いしたいです。
● 昨年度は調査協力をさせていただきました。が、アンケートにあれだけ費やす時間の余裕もなく子供本人もアンケートに答える力もなく逆に負担になってしまった。
● フリースクールに行けている子はまだ、幸せだと思う。行けたいけどお金の問題、場所の問題、周りの理解、色々な理由で行きたくても行けない子どもも沢山います。勿論、お金の支援もありがたいけど、こどもの気持ち、そして親の気持ちを話せる場所がもっと、もっと開かれた所にほしいです。本当に苦しいときに話を聞いてくれる所が当たり前にあれば、嬉しいです。
● 都内全域で、学校のフリースクール出席扱いなど、統一して欲しい。一保護者が、いちいち学校側に直談判するのは労力と時間がかかる。
● 子供が不登校になると、あっという間にマイノリティとなり親子で孤立をします。 東京都がこのように大規模な調査を行ってくださる事は、そのような親子に光が当たることだと思っているので、ありがたく感じると共にこれからも積極的に調査を行っていただきたいと思います。

アンケート結果から見えてきたこと

ほんの一部しか抜粋できませんでしたが、多くの切実なご意見が集まりました。
ご協力くださった保護者の皆様、ありがとうございました。

このアンケート調査から見えてきた重要な課題は、「不登校児童生徒数の増加」というよりは「多様な学び方を選択することが難しい状況である」ことです。

TFNでは今後も、各関係機関との対話や、ネットワーク内での情報交換などを続ける中で、心理的負担・経済的負担・居住地域等に関係なく、安心して学び場・学び方を選べる社会に向けて活動してまいりますので、ぜひご支援のほど、よろしくお願いいたします。

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