摂食障害の生理学的要因(ドーパミンの感受性)
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人間の食欲に関係する遺伝子は多様だが、食欲が強まるか弱まるかは『脳内のドーパミン量』と深い相関関係があることが、fMRI(機能的核磁気共鳴画像撮影)やPET(陽電子放出断層撮影)を用いた実験によって確認されている。ドーパミンのもたらす快感刺激が強ければ食欲は抑制されるが、ドーパミン量が減少してその快感刺激が弱くなれば食欲が増進されるのであり、脳内のドーパミン量は食欲の調整機構の一部を担っている。
人間の食欲のメカニズムとして良く知られているのは、脳の“視床下部”と“室房核”を食欲中枢とする生体ホルモンを介した食欲の調節であり、視床下部からは『空腹ホルモン(オレキシン)』が分泌され、室房核からは『満腹ホルモン(CRH)』が分泌されている。
食欲の調節には、脂肪細胞から分泌される『レプチン』というホルモンも関係しており、レプチンが多いと食欲が低下して代謝が上がりやすくなる仕組みがある。人間の食事を通した満足度はシナプス間隙の『ドーパミン濃度』によってコントロールされており、食欲そのものは脳の満腹・空腹の認識と視床下部や室房核、脂肪細胞から分泌される各種のホルモンによって強くなったり弱くなったりしているのである。
食欲が過剰になくなって食べられなくなる“拒食症(神経性無食欲症,アノレクシア・ネルヴォーザ)”と食欲が過剰に強くなって大量に食べてしまう“過食症(神経性大食症,ブリミア・ネルヴォーザ)”は表面に見える症状は正反対のものだが、拒食症の人の約6割以上に過食症の症状も見られることから、精神的ストレスが関係するその発症の仕組みには類似した生理学的なシステムがあると考えられている。
摂食障害(拒食症・過食症)の発症や経過は、脳内の『報酬系(A10神経と連携したニューロン・ネットワーク)』のドーパミン濃度と関係しているが、特に過食症ではシナプス間隙のドーパミンが少なくなっているために(あるいはドーパミン受容体のD2が少なかったり感度が悪くなっているために)食欲が亢進しやすいと考えられている。ドーパミンによる快楽刺激が少ないために、常に空腹感(飢餓感)を感じやすくなり、ドーパミン受容体が少なかったり感度が悪いために、いくら食べても満腹したという満足感を感じにくくなっている。
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