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2022年よかった展覧会

2022年は160本ほど、美術館とギャラリーに行きました。
上半期80本、下半期80本とバランスよくまわれた2022年を振り返ります。

よかったの定義

ワクワクするか、印象的か、没入感があるかなどです。

よかった展覧会12選

生誕110年 香月泰男展@練馬区立美術館

2022年2月6日(日)~2022年3月27日(日)

洋画家・香月泰男の大回顧展。シベリア抑留などの体験を描いたシベリア・シリーズをまとめて見られるいい展覧会でした。復員3年後に描き始めたところがミソで、やはりこの記憶を後世に残さないといけないという思いが、この漆黒の絵になっているのかと思いました。ところどころに描かれた本人の手記とともに伝わってきました。

フェルメールと17世紀オランダ絵画展@東京都美術館

2022年2月10日(木)~4月3日(日)

フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」。天使の画中画の修正後、海外初お披露目だったこの展覧会。天使がいた方がいいとかいない方がいいとか意見も割れましたが、フェルメールの屈指の名作と言い切れます。また、フェルメールと一緒に来るフランドル絵画にも傑作が多く、展覧会全体としても見応えのある展覧会でした。

没後50年 鏑木清方展@東京国立近代美術館

2022年3月18日(金)~5月8日(日)

https://www.momat.go.jp/archives//am/exhibition/kiyokata/index.htm

待ちにまった鏑木清方の大回顧展。話題の三部作ももちろんよいのですが、自分的な目玉の「ためさるゝ日」2作並んでの展示は、ため息しかでませんでした。2021年の福富太郎コレクション展でも、数展見られました美人画、特に男性画家が描く女性の可憐さを描かせたら第一人者。そんな清方美人をまとめて見られる機会を与えてありがとうございますって感じです。

シダネルとマルタン展@SOMPO美術館

2022年3月26日(土)〜6月26日(日)

アンリ・ル・シダネルとアンリ・マルタンの二人展。どちらかというとシダネルは前から好きだったので、今回はそちら目当てでした。1枚紗がかかった独特の彼の画風を満喫できるシダネル推しにはたまらない展覧会。室内向けの淡いシダネル作品と会場で映えるくっきりとしたマルタン作品が対象的な絵が印象的でした。

牧歌礼讃/楽園憧憬 アンドレ・ボーシャン+藤田龍児@東京ステーションギャラリー

2022年4月16日(土)〜7月10日(日)

ノーケアーでした。50歳を前にして絵を始めたアンドレ・ボーシャンと50歳に右手から左手に筆を持ち替えた藤田龍児という似たような境遇の二人展。刺さったのは藤田龍児の方。抽象画に近い前半と変わって左手で描いたノスタルジーな絵がツボりました。期待してなかった驚きという点ではこういう展覧会は数多くまわらないと、できない体験かなとも思いました。

「Mozu アートワーク −小さなひみつのせかい−」展@横浜高島屋

2022年8月11日(木・祝)〜8月29日(月)

今どきのジオラマですね。ミニチュア作家のMozuこと水越清貴の個展。コンセントを開けると小さい部屋が広がっているという作品で知られているかもしれませんが、そんな作品が会場を埋め尽くします。見どころは、部屋の再現度、本棚の本やら、店舗のPOP、PCのモニターの画面やらの電気系のところまで細かすぎる心配りが素晴らしい展示でした。

ライアン・ガンダー われらの時代のサイン@東京オペラシティ アートギャラリー

2022年7月16日(土)〜9月19日(月・祝)

イギリスの現代アーティスト、ライアン・ガンダーの個展。去年、パンデミックのためにオペラシティ所蔵品で代替開催された展覧会に続き、満を持しての個展。解説片手に見ないと理解できない、まさにコンセプチャルな現代アート作品が並びます。解説を読んで、なるほどなって思える作品が多く、現代アートも意外と距離が近いなって思える楽しい展覧会でした。

線と言葉・楠本まきの仕事@弥生美術館

2022年10月1日(土)〜12月25日(日)

モノクロの線画で知られる漫画家・楠本まきの回顧展。京都で去年開催された展覧会の巡回。楠本まき本人も会場展示の監修に参加し、漫画の世界観がでている空間構成でした。タイトルにある線と言葉の通り、ビジュアルはもちろん、その紡がれた言葉にも。はっとさせられるものが多かったです。彼女の仕事のこだわりも展覧会の見どころのひとつでした。

レポート記事書きましたので、参考までに。

大蒔絵展-漆と金の千年物語@三井記念美術館

2022年10月1日(土)~11月13日(日)

MOA美術館、徳川美術館、そして三井記念美術館の三館共同開催で行われた展覧会。大蒔絵展の名の通り平安時代から現代の蒔絵が並びます。こうやって蒔絵だけ見ていく展覧会だと、時代と共に、技巧的な見どころと一緒に、意匠も時代の流行で変わっていくところもわかりやすかったです。総括的な蒔絵展ではあるとともに、入門的な展覧会にもなっていました。

junaida展「IMAGINARIUM」@PLAY! MUSEUM

2022年10月8日(土)〜2023年1月15日(日)

絵本作家・junaidaの個展です。junaidaといいつつ京都在住の日本人。ただ画風は、外国を思わせるような細密な街角のモチーフが多いです。会場には、そんな絵本の原画や絵画がボリューミーに並びます。絵本の原画はストーリーを追える展示になっていて、建築家の張替那麻が担当した素敵な空間デザインも手伝って没入感を高めてくれます。

ヨシダナギ写真展「HERO&QUEEN」@西武池袋本店

2022年11月4日(金)~2022 年11月23日(水・祝)

写真展で一番鮮烈だったのはこの展示。アフリカの少数派の部族の撮影などで知られる写真家・ヨシダナギの個展。今回はアフリカの少数民族に加え、後半は、国内外のドラァグクイーン。通じて言えるのはファッショナブルさ、色鮮やかさ、ポージング、ロケーションなど全てが完璧で、みんなかっこいいです。まさにその展覧会名通りのHERO&QUEENでした。

ベルクグリューン美術館@国立西洋美術館

2022年10月8日(土)~2023年1月22日(日)

ベルリンにあるベルクグリューン美術館。建物の改修に伴い実現したコレクション展。主にピカソとクレー、マティス、ジャコメッティの作品が展示構成。美術館の元になった画商のベルクグリューンのコレクションですが、センスがいいです。青の時代からキュビズムなど、代表的なピカソの作風を俯瞰できます。クレー、マティス推しの人も必見の展覧会です。

2022年予想のおさらい

竹内栖鳳は残念ながら行けませんでした。10選中2展覧会が今記事に入ってました。残りの8つもよかったのですが、惜しくもこの記事には入りませんでした。

過去の振り返り記事はこちらから


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