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三叉神経障害(三叉神経痛、顔の痛み)の鍼灸治療

疫学:顔面皮膚感覚の異常、口腔鼻腔粘膜感覚の異常、咀嚼筋麻痺、味覚障害などが見られる。第1枝の障害は前頭部に、第2枝の障害は頬部に、第3枝の障害は下顎部に出る。しかし、脊髄(延髄)空洞症や延髄外側病変(ワレンベルグ症候群など)においては、痛覚温度覚のみが障害される解離性感覚障害型を示すことがある。三叉神経痛の場合は、主に第2、第3枝領域において、数秒の激烈な痛みが発生する。

原因:鼻腔内や頭蓋底などの腫瘍、動脈瘤、帯状疱疹、膠原病など。三叉神経痛の場合は三叉神経根部の小血管圧迫による神経血管説が有力。心因性も少なくないとされる。

注意点:動脈瘤や腫瘍による圧迫との鑑別が必要。

一般的な治療法:薬物による対症療法。三叉神経痛の場合は薬物投与以外に、三叉神経から圧迫血管を分離させる手術(ジャネッタ法)が行われることがある。

当院の治療法:基本的には顎関節症の治療と同様、咀嚼筋への刺鍼と、頸部への刺鍼が中心となります。腫瘍など器質的病変が見られない場合は、数回の施術で容易に完治するケースが多いです。器質的病変が見られない三叉神経障害の主な原因は、三叉神経周囲の筋肉のコリ、またはうっ血と推察され、実際に、刺鍼で血流が改善すると症状が消失します。顎関節症(食いしばり、歯ぎしり)がある場合は斜角筋や胸鎖乳突筋が収縮したり、交感神経が優位になって、自律神経に異常を来すことがあるため、顎への刺鍼も必須となります。ちなみに、これまで顔面痙攣も原因不明とされていましたが、顔面神経起始部の血管による神経の圧迫が原因となっていることがわかり、手術によっても治癒する例が見られるようになっているようです。

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