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5話:家族計画/D.O. エロゲ概論

 ビジュアルノベルを知って3本目で「家族計画」を読んだと思います。このゲームはR18なので書き方に気をつけようかなと思うのですが、確実にこのゲームには今後私がエロゲに持った印象や概念の全てが詰まっていました。

 攻略はこれが簡単かと思います。愚者の館さんには以降もお世話になりました。

家族計画 攻略 by 愚者の館
http://sagaoz.net/foolmaker/game/k/kazoku.html

 わたしのかんがえるさいきょうのえろげがいろんを説明します。

1.OP曲がKOTOKO

 KOTOKOさんの曲は2000年代初期のエロゲに多く起用されていました。「家族計画」もそのひとつ。そして私が初めて見た萌えアニメが脳内に蘇る。まさに「ムーンプリズムパワーメイクアップ!」状態で、脳内にキラキラが蠢いていましたおどろおどろしい! KOTOKOさんがOPのエロゲはアゲである。

2.豆知識や言葉遊びが多い

 あまりこういうゲームをしたことがなかったので驚いたんですけど、エロゲはライターにもよるかもだけど豆知識や言葉遊びが多い。

新井式回転抽選機→抽選のガラガラ

 あれに名前あったんだ。

「変わった? そうよわたしは変わったのよ! 未知の宇宙エネルギー・マグネトライトロンの聖光を浴びて超越浄土世界への扉をくぐる資格を得たのが二つ前の仏滅の日のことよ! そら変わるっちゅうねん! そうよ私はさそり座の女になったの! いい、わかった!? わかったならあんたが撮った写真とネガを全部返しなさい!」【高屋敷寛】

 テキストの力技の流れが好き。何言ってんのかわかんない。でもこれ私はすごく影響受けていて、よくわかんない言葉をさもそれっぽくつらつらと並べて書きがち。「何言ってんのかよくわかんない」は、褒め言葉だと思っています。

3.主人公がかっこいい

 「家族計画」の主人公の司くんは、屈指のかっこいいエロゲ主人公だと思います。以前なんの気なしにつぶやいた司くんのセリフでいいね数が爆上がりしてびびったことがあります。

 肩身の狭いエロゲームだけど、そこで紡がれた言葉が多くの人の胸に届いて胸熱だった瞬間。エロだし、ゲーム内容的に人をすごく選んでしまう。気軽に勧められない分、本気で心を動かしたときにだけ勧めようと顔を上げられる。その葛藤と勇気ある決断をするまでの過程はまるで、自分がなにかの主人公になった気分になる。高まる水産。

4.考えさせられるテーマ性

 エロゲ内にもいろんなジャンルがあるけれど、私が読むのは叙述トリック、泣きゲー、電波ゲーあたりです。

 叙述トリックは普通に読み物としておもしろいし、泣きゲーは結構シナリオライターさん頑張って泣かせようとしてくる。爆泣きしたあとは「出合ったことがキセキ…」とJ-POP(セロトニン)が脳内にぶちかまされもする。

 電波ゲーはPC古来の文化というかなんというか、受け入れられる層が狭くて、小説とかでは読めないここでしか読めない感がいい。頭がぶっ飛んでる人の話はそれはそれで新しい価値観を知ることができる。ただし倫理が狂ってるのでたまに胸糞注意ですが……。のめり込まず傍観者視点で、心を殺して読むのがコツです。

5.「若本規夫さんご出演作品は神」説

 音ありで読み進めていたら普通に聞いたことのある味のある声……。なんで若本規夫さん!? 俺たちのアナゴさんじゃん!! 大御所がなぜエロ作品に!?

 ということでおったまげたのが若本規夫さんの存在。そして存在感。このゲーム内ではかなりぶっ飛んだキャラを担当されていて、しかも最後にはカッコいいので大好きになりました。もちろんエロなしです。

 その後プレイする作品でもちょくちょく出演されています。学園長とか指揮官とかオカマちゃんとか……偉い人役が多いです。そして気づいたのが、若本規夫さんが出演されている作品はだいたい当たりだと。若本買いでいいと思います。ただしR18作品では名前を変えていらっしゃるのでご注意!

6.ライターの存在が神格化した

 当然っちゃ当然だけど、作品によって全然雰囲気が違うことにやっと気づきました。好みのライターさんの作品はだいたいハマる。師の推しというのもあるけど「家族計画」で、このシナリオライターの山田一さん(のちに有名シナリオライター田中ロミオの別名義と公表される)の作品をもっと読んでみたいと初めて思えました。本と一緒ですね。ファンがつく。ちなみにビジュアルノベルなのでイラストにもファンがつくのがおもしろい。

注意したいのは、エロゲは誰にでも勧めてはいけない

 なぜなら神聖で繊細なものだからだ。

 まじで取扱注意。あまり理解のないまたは合わない人が入ると一触即発、大炎上待ったなしの危険性をはらんでいる。桃源郷には選ばれた人物しか入れてはならぬ。鬼門とはエロゲの門のことである。

 なぜ勧められないかだけど。

・エロがきつい
・フェミニスト大激怒

 これに尽きると思う。エロゲなので当たり前なんだけどエロシーンが入る。私は割とスキップ派。なぜなら次のフェミニストというところにもかかるんだけど、古い時代の作品では結構フェミ部分がどんきつい……。プレイスするのはメンズ9割とか? もっとかな? どうしてもメンズの妄想や願望が入るので、ひたすらに女の子がかわいそうでしんどい。名作ですらエロシーンがグロいなと思う。製作者陣が工夫して頑張っていらっしゃるのは重々承知ですが、パッケージ裏面に載りがちなエロシーンのカットも引く。でもそれでも買うんです、愛があるから。

 エロシーン以外でも、日常で男尊女卑は見られます。「男が女を守る!」みたいな憧れってメンズ的にはアツいと思うんだけど、それをやりすぎてしまうと「これはヤバフェミ〜」って感じになってしまう。

 エロゲをはじめるときにこのハードルは高い。死ぬほど高い。だからどうしても無理な人にはコンシューマー版を勧めよう。PS4とかでできるアレである。

やっと「家族計画」の感想だよ

「ゴムのCMですか」ってタイトルだけど、まじでこれ読んだあとにそういう無粋なこと言う人いたら「ぶっ飛ばす」ってなると思う。

 愛やら大事な人やらをなくし、心になにか闇を抱えた人間たちが集まり、父役、母役、長男役、長女役……と他人が相互扶助のためにひとつ屋根の下で暮らしはじめる物語。

 けれどやはりみんなどこか無理をしていて。そのうちボロが出て、すれ違いが生じて、うまくいきかけた、届きそうだった、“変哲もない日常”が、無慈悲に崩れていくところは絶望的でした。

「本日19時45分をもって、家族計画を終了する」

 父役・寛(CV.若本規夫)さんが口に出してこの宣言をするシーンはもう苦しくて苦しくて仕方がなかった。家族が危険に晒された今の最善がそうだったのだけど、主人公の司は最後まで家に残って足掻こうとした。しかしどのルートでも家は焼かれて、唯一の希望だったみんなの帰る場所も奪われてしまう。

※2021年5月再プレイしました

 まじか。こんなに年月が経っているのに、全然色褪せてないな。

 絆箱が家にあったのでプレイしてみましたが、Windowsの進化についてこられていなくてセーブができない状態でした。それでも愛だけでクリアしてみましたが、青葉に共感したかなー。

理不尽でなにが起こるかわからない世の中にあって唯一、誰もが正当な権利として声高に主張できる……情愛を求める気持ち。
凍結していた多感な感情育成期を、青葉はもっと素直に望むべきだった。
人をがんじがらめにして苛む、そのもっとも過酷な鎖は……自分自身の頑なな心なんだから。
人はその見えない糸にすがらざるにはいられない。

 ……と、メモしてたから残しておきました。

 主人公の司がかっこいいのは、いちばん家族の絆を否定していて、絶対に心は開かないぞ!みたいな感じで家族計画を始めたのに、どんどん周りにほだされていって、みんなを大事に思って動いてくれたところ。それからツイートにも書いたけど昨今の言葉を流暢に操る主人公群とは違い、下手なりにもお腹の底から紡ぎ出すところにグッと来ました。

 茉莉あdけどうも苦手でプレイしなかったけれど、能天気な春花の慟哭、準のオムライス、青葉とおじいさんの真相、家が焼けた時に真純に救出されるシーン。大好きです。

家族計画で学べたこと

「エロゲは文学」ってところかな! 違ったらごめんなさい!

 エロゲは文学というのは割と真面目に思っているけれど、それは人に押し付けたくはないなとも思っていて。好きだから勧めたい気持ちはすごくわかるけれどリスクが大きすぎる。

 だから私は「自分が気持ちよくなれるもの」という考えで内向的にエロゲをやることにした。

 もちろんエロ的な意味ではない。


東京ニート的評価「家族計画」 A+

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