トーキョーハーバー

経営コンサルティングの現場から

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プロフェッショナリズムと問題解決の実践

本書は「プロフェッショナリズムと問題解決の実践」という題名の電子書籍であり、内容は文字通り筆者が十年以上の経営コンサルティングの実務を通じて得たプロフェッショナリズムと問題解決を実践する上で留意するべきことをまとめた内容である。プロフェッショナリズムや問題解決に関しては既に偉大な先人たちによる良書が多数出版されているが、それらをどのように実践するかに関して述べられた本は少ないという問題意識から本書を出版するに至った。文字数は約7万字で図表やページなどを含めると200ページほど

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    • ビジネスモデルイノベーション

      イノベーションとは新たな技術によって引き起こされるものであると思われることが多い。確かに近年のデジタルテクノロジーの進歩によって世界は様変わりをしており、これは技術によって生み出されたイノベーションの典型である。しかしイノベーションは必ずしも技術的な革新によってのみ引き起こされるものではなく、新たなビジネスモデルの創造に牽引されることもある。 一つの例としてスターバックスが挙げられる。スターバックスは1971年に「サードプレイス」というコンセプトの元にシアトルで生まれたコー

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      • 経営者の仕事

        筆者は経営者の仕事とは結局のところ、(企業価値向上を目的とした)変化を起こすことだと思っている。このブログでも何度か書いているが、企業の組織は「昨日やったことを今日もやり、明日もやる」構造になっていると認識している。一方で事業環境は刻々と変化をする。顧客のニーズが変化するかもしれないし、競合が新しい製品やサービスを提供するかもしれないし、原料調達が難しくなるかもしれない。あるいは工場の稼働が上限に達するかもしれない。このように市場・競争環境、あるいは内部環境が変化している中で

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        • 昼食代とミッションと行動規範

          先日、当社では従業員の昼食代は金額を問わず、原則として全てファームで負担することとなった。この結論だけからは、この取り組みはある種の福利厚生の一環にも映るかもしれないが、この決断に至るまでに従業員と非常に良質な議論ができたと考えている。その理由はこの取り組みは当社が大切にするミッションと行動規範と密接に結びついているためである。そこで本エントリではこの結論に至った背景と思想を述べていきたい。(当社のミッションと行動規範については下記参照。) https://note.com/

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        プロフェッショナリズムと問題解決の実践

          Rockstead企業価値最大化仮説

          大阪堺市に石田工業株式会社という金属加工メーカーがある。当社は設立が1948年で売上高は4億円前後、従業員は20名程度で、創業家である石田家が経営している典型的な中小企業である。当社の主力は農園芸用具の製造が主力であるものの、そこから派生して”Rockstead”というブランドのアウトドアナイフを製造販売している。Rocksteadのナイフは折り畳みが中心であり、アウトドアナイフというカテゴリには分類されはするものの、趣味性が高く(実用性は高いものの、後述の理由から)どちらか

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          Rockstead企業価値最大化仮説

          経営コンサルティング業界の進化

          世界最古の経営コンサルティングファームは1905年に設立されたアーサー・D・リトルであるとされている。同社の創業者はMITの化学者であったリトル博士であり、創立当初は科学技術のビジネスへの活用を主眼に置かれていた模様であり、やや今日、想像される経営コンサルティングとは異なる性質であったと見られる。 現在の経営コンサルティングの基礎を作ったのは1939年に設立されたマッキンゼーであると考えられる。(正確には1926年に設立されたが、現在のカーニーなどと分離したのが1939年で

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          経営コンサルティング業界の進化

          戦略だけでは不十分

          戦略の定義はさまざまではあるがその一つとして「どこで戦うべきか?」と「どうやって戦うべきか?」の二つの論点に対する答えを出すことであると捉えることができる。ただ一人の経営コンサルタントとしてさまざまな戦略を見ているとつくづく上記の論点に対して正しい答えを出すことと、その戦略が実行され最終的には企業価値が向上することには大きな乖離があることを実感する。言い換えると戦略だけでは不十分なのである。 いくら正しい戦略を描けたとしてもそれが正しく実行されなければ意味はなさず、またそれ

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          戦略だけでは不十分

          選択に関して

          「戦略とは捨てることである」という表現をたまに見かける。筆者は戦略とは基本的には「どこで戦うべきか?」と「どうやって戦うべきか?」の二点を決めることだと考えているために、この表現は前者を示しているだけであり、やや片手落ちの感があると思っている。ただ、何かを選択するとき何をしてているのかを明確化することは極めて重要であると考えている。より大胆に表現すれば「何を捨てているのかが不明な選択は選択ではない」と言える。もしも何を捨てているかが明らかでなく、あるいは明らかであるがそれは捨

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          約束 (契約)を見直す柔軟性

          先般、世界最大のオルタナティブファンドであるブラックストーン・グループを創業したシュワルツマンの著書「ブラックストーン・ウェイ PEファンドの王者が語る投資のすべて」を読んだ。 https://www.amazon.co.jp/dp/B08GP3KFNX/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1 本書は色々な観点から知的に刺激的であったが、そのうちの一つとしてブラックロックの「喧嘩別れ」にまつわる話がある。(著者はもちろん「喧

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          当社のミッションと行動規範

          以前にミッションと行動規範の策定と運用は組織が自律的に動くためには重要であるといった旨のエントリを書いた。 https://note.com/tokyo_harbor/n/n08b5f24e774a 筆者自身が設立したコンサルティングファームにおいてもミッションと行動規範は大事にしたいと考えており、また何人かの採用を始めた頃からそれらを言語化する必要に迫られたため、しばらく前にこれらを策定するに至った。そこで本稿では筆者のファームのミッションと行動規範とその背景にある思想を

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          戦略コンサルティングファームのサービスライン

          マッキンゼー、BCG、ベインをはじめとするいわゆる戦略コンサルティングファームは2010年頃までは提供しているサービスラインに大きくは差はなかった印象である。主要なサービスラインとしては戦略、オペレーション、コーポレートファイナンス、セールス&マーケティング、組織、ITが挙げられ、特に大手ファームであれば少なくともホームページ上ではあまり違いは分からなかったと記憶している。 ところが2010年代以降、上記の伝統的コンサルティングサービスとでも呼べるサービスラインの枠を超えた

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          戦略立案のアプローチ

          一般的に企業の事業戦略を立案するにあたっては市場環境、競争環境を分析したり、自社の強み/弱みの把握に努めることが多い。ただ筆者の経験上、多くの「戦略立案プロジェクト」においては、どうにも「市場分析」をすることそのものが目的となってしまい、本来の目的であったはずの戦略を立案することとの結びつきが失われてしまい、市場分析をすることが盲目的に、あるいはチェックリスト的に行われていることも少なくない印象である。 戦略立案に限らず、ビジネスにおける結論とは行動を決めることである。そし

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          ミッションと行動規範

          筆者は先般立ち上げたコンサルティングファームの前に三つのプロフェッショナルファームに在籍したことがある。そのうちのある戦略コンサルティングファームはパートナーになるまで過ごし、残り二社はかなり短い期間しか所属しなかった。しかし例え短かったととしても三つのファームに所属をするとファーム間での比較が可能となる。そしてその経験を通じて強く思ったこととしてミッションと行動規範の重要性が挙げられる。まただからこそ現在のファームではこれらを重視しているし、していきたいと思っている。 現

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          「コンサルティング営業」

          大分昔に、ある大企業が新たに技術コンサルティングサービスを立ち上げるプロジェクトを担当したことがあった。このクライアント企業の本業は比較的大きなCAPEXを要する事業を展開しており、それには技術的な知見が必要とされていた。この分野では当該クライアントはリーディングプレーヤーであったため、その技術的知見をコンサルティングサービスとして提供する新規事業を立ち上げることを検討していた。 そのためこれは見方によっては「コンサルタントがコンサルティングサービスのコンサルティングをする

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          「コンサルティング営業」

          ビジネスマネジメント

          商売の原則は本来はシンプルなものである。顧客に対して製品・サービスを提供し、対価を得、その際に提供コストを対価よりも下回らせることで利益が出すというだけのものである。要するにいい製品を安く作れば儲かるのである。そして利益を生むためには、顧客のニーズを見つけそれを満たすための製品・サービスを開発し(研究開発)、それを安く作り(製造)、それを顧客に届ける(営業)必要がある。そして自由競争の環境下においては、企業は他社を上回る形でこれらを達成し、顧客に選ばれることが求められ、そこに

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          コンサルティングファームを起業

          先般、幾らかの年数を勤務してきた経営コンサルティングファームを退職し、ビジネスDDに特化したコンサルティングファームを立ち上げた。このファームのコンセプトは「戦略コンサルティングファーム並みの品質を会計ファームよりもリーズナブルなフィーで提供する」というシンプルなものであり、ウリとしては「大手経営コンサルティングファームのPE担当パートナーがデリバリーにもフルコミットする」という点が挙げられる。筆者自身は前職では恐らく日本支社の何十年かの歴史の中で最もビジネスDDを担当したと

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