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第3話「深夜徘徊録~物欲が止まらねぇ~🌃」

おしゃれは足元からって本当ですか?

東京の大学に通う学生ならではのブルースに、正面から向き合って行くこの連載。第3話は深夜徘徊録、服への物欲が止まらねぇ編である。

大学生の日課は、基本、深夜に地元の友達とコンビニで屯し、お酒を飲みながら夜を駆ける。今回はそこで挙がった一話題について言及していく。

ある日の夜、服の流行について会話をしていると、僕は猛烈に靴が欲しいという欲求に襲われた所から話は始まる。今現在、世には何万種類もの靴が出回っていて、そこには様々な問題という名の企業戦略によって僕らの購買意欲を掻き立ててくる。例えば

①今の系統とその靴の系統が一致しているのか問題、②どのブランドが流行の波に乗っているのか問題
③履いていてストレスにならない機能性についてどの場面を重視するか問題
④何回も履き続けたいと思えるほどのデザインと配色問題
⑤靴のボリュームとパンツとのたまり具合の相性問題

など言い始めたらキリがない。そしてこれらの問題を同時解決することは、極めて難しく、シンデレラの靴の持ち主を探し当てること以上に難問である。

そんな事はさて置き現状、シティーボーイ界隈で流行っているファッションといえば、テック系やノームコア系といった系統である。加えて、自分の身の丈や印象にあった適切な丈間と身幅、素材感と配色で遊ぶ、といったところに重点が置かれていて、初心者には厳しい非常に世界線が展開されている。また靴の流行は、レアスニーカーなどに囚われすぎない程度で、それらの系統に合わせたスポーティーなスニーカーや少し硬い印象になりすぎない程度の革靴、ボリューム感のあるブーツやスニーカーが流行っている様に思える。具体的なブランドで言えば、SalomonやBalenciagaなどが挙げられ、ファッションの街原宿ではこぞってこれらが履かれており、それはやはりトレンド感は抑えられているからなのではなかろうか。そして色については、やはり白黒は当然のことながら、それに伴い茶や紺、さらには原色系の派手目の色を持っていくことでいい塩梅の差し色感を演出している。それに加えて素材感によって、黒一色でも合皮の黒とポリエステルの黒、本革の黒からヌバックの黒まで、またその日の日差しの加減によっても色が変わる様な、どこかのネットショッピングの女王も納得するほど可能性が、黒には秘められているのである。

正直、これだけでも頭がパンクしそうである。何がおしゃれは足元からなのか、こんな靴一つ選ぶのに時間をかけていたらコーデを組み終わる頃には日が暮れてしまいそうである。そんなことをぐだぐだと話しながら、男梅を飲み進める僕であったが、結局のところは靴単体でどれだけかわいかろうと上に履くパンツと着込むインナー、羽織るジャケットやヘアスタイルによっては結果としてその靴によって違和感を与えてしまうこともあれば、逆に、という言葉があるように遊び心の様な感じにもなる。

結局のところは、その人がどれだけ自分の内面と外見と持っている服とその系統を理解しているのかにかかっている。一言で表すのであれば、「センス」である。つまり、選びっこない。しかし、これだけは言えよう。おしゃれは足元からかも知れないが、靴が見える部分は外見の1割に過ぎない。つまり残りの9割も考えつつ、その内の1割にも妥協しない人こそセンスがある人なのかも知れない。

結局その夜も靴は買わず、その夜は気になっていた靴も朝になればイマイチと感じる様になっていた。

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