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良い店はたくさんあるけれど...(荻窪タウンセブンの配信を終えて)

 「良い店」とはどんな店だろうか。タウンセブンでの時を過ごした後、ふとそんなことを考えた。お客さんがたくさん訪れている店、売上が多い店、はたまた親切丁寧な店...きっとどれも正解だろう。せっかくなので私なりに答えを出してみた。それは「つながる店」、なのではないかと私は思う。

 荻窪タウンセブンがオープンしてから約40年。この番組でも取り上げた日本橋高島屋の開店が1933年だから、まだ40年かと思われるかもしれない。しかし、タウンセブンと荻窪との結びつきは戦後まもない1946年まで遡ることができる。闇市と言われながらも、物資不足に苦しむ荻窪の人々の心とお腹を満たしたのが、タウンセブンの前身である、新興マーケットだ。
 
 そして、まさに百貨店の全盛期、消費者のニーズが単なる物だけでなく、生活の質の高さを求めていくようになった中で、少しずつ新興マーケットも変化の必要性を感じていくようになる。これまでの形を変えて新しい商店街の像を描くことは決して簡単なことではなかったと察する。荻窪タウンセブンはこうしたジレンマや来てくださる方への想いが形となった「夢の商店街」なのである。新興マーケット時代の多くの店舗が今もなおタウンセブンで商売をしているのだから、本当に驚くべきことだ。

 タウンセブンは常に、消費者の方を向き、荻窪民の支えとなってきたし、日常にちょうどいい商品を売り続け、今も商店街としての機能を果たし続けている。そして形は変わってしまったかもしれないが、時代にあった新しい商店街の形を追い求め、今も変化している。

 人とつながり街とつながる。そしてその賑わいを未来へとつなげていく。そんなつながりを持つ店こそ「良い店」なのではないかと思うのである。

 こうしてつながってきた絆とも言えるものはそう簡単に切れることはない。タウンセブンは今後もきっと荻窪のランドマークであり続けるのだろう。(T.Y)

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