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冬は累日

散歩が楽しいのは、春と秋だと思っている。

過ごしやすいし、桜や紅葉が綺麗だ。春や秋に何ともなしに散歩に行くのは割と好きだったりする。(こんなことを言うと、またじじくさい趣味だと思われそうだが……)

ので、冬の散歩というのは私の中では「ナシ」寄りだったのだ。
理由は単純、「寒い」から。

私は本当に寒いのが嫌いで、小学校の頃の将来の夢が「冬に外に出なくてもor冬眠していても成り立つ仕事に就くこと」だったぐらいには寒いのが嫌いだ。(現代はインターネットが発展してテレワークなどという働き方もできるようになってきて非常にありがたい!やった~~!!)

そのため、冬に外に出ることは私にとっては特に目的もない限り「断固拒否」の案件だったのだが、最近は冬の散歩も気に入っている。

というのも、家から駅まで用事があるときに、寒いな~~と言いつつコートを着込んで、マフラーを巻いて、玄関を開けて、室内より少し肌寒い風に「ああやっぱり寒いな」と思う、この何気ない瞬間が意外と好きだなと気づいたからだ。

晴れた日の冬の朝の景色は特に気分が良くなる。

寒いのは嫌いだが、冬の凍てつくような澄んだ空気は好きだ。
特に朝は静かで「その日のおろしたての空気」のようなみずみずしさがある。なるほど、「冬はつとめて」と記した清少納言もこのような気持ちだったのかもなと400年以上前の人間に親近感を抱くなどした。

駅まで歩いている道中に寺がある。朝にそこを通ると、寺特有の荘厳さもあいまって浄化されたような、厳かな雰囲気がある。休日の朝など、人が少ないときに参拝する時間は割と好きだ。木の枝に留まっている雀が震えているのを見て、「お前も寒いよな……」と勝手に同情したり、すっかり葉が落ちてしまった木に小さな蕾がついているのを見つけたときは「春が待ち遠しい」という気持ちにもなる。

散歩中に見つけたお寺。閑散とした雰囲気が落ち着く。

「寒い」という理由だけで敬遠していたら見られなかった景色だなと思った。

そして、「寒さ」を経験した後だとその後に帰ってきた家のあたたかさがよりありがたい。寒い寒いと手をこすり合わせた後、暖房のついた部屋でお茶やココアを飲みながら大福やクッキーで一息つく時間は至福だ。

雪などが降ったりしていると、窓からお茶を飲みながらその景色を眺めるのも趣があっていいなあと思う。ので、もっと寒くなってくれないかな、と寒さが苦手な人間とは思えないことを思ったりするのだ。

この景色の中読書をするのも趣があるかもなあと思って図書館から本を借りたりもしたのだが、活字が苦手過ぎて3ページぐらいで断念した。縦書きに慣れていない現代人はおとなしくネトフリで映画を見ることにする。くそう。

しかしお気に入りのお茶やお菓子を食べながら、お気に入りの映画を見るのもなかなか楽しい。前の記事でも書いたように、最近自炊にハマっているので(もしかして寒さが苦手だから自炊するようになったのか!?)家で鍋を作ってそれをつつきながら映画を延々と見るのも良いかもしれない。

最近はお菓子作りにも挑戦したいと思っているので、ケーキを焼いてそれをおやつにするのもありかもしれない。せっかくなので季節の果物を使ったフルーツケーキ等を作ってみたいな、とひそかに画策中である。それに自分で作ると材料費だけで済むのでホールケーキを一人で食べても家計への罪悪感が湧かない。え?一人でホールケーキ食べるの?とよく人から言われるが私は食べる。クリスマスケーキもホール食いすると決めている。ケーキを食べるときは一人でホールと私の中では相場が決まっているのだ。

とまあいろんなことを書いてしまったが、苦手だった季節も、歳と共に見方や感じ方が変わってくるものだなとやはり思った。
見慣れたまち、見慣れた景色でもこうも変わってくるのだから日常は意外と面白い。

そんなことを思いながら、次に作るケーキのレシピを眺めたりするのもまた一興だ。しかし薄力粉とベーキングパウダーって何が違うんだ?

Written by yuuun

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