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【1,000字小説】東京駅八重洲口の夢物語

リハーサルなんてない。
ぶっつけ本番のこの大都市。
東京。

2022年12月30日金曜日。
中本さんとは、3日前に年末年始のやりとりをした。
outlookでもなく、こんだけデジタル化した2022でteamsでもLINEでもslackでもない。わざわざ肉声で。
「今年も大変お世話になりました!」と。この1年コロナ禍が長すぎるほどつづいて。店舗ビジネスの小規模の飲食チェーン店は大打撃らしい。先々月飲みに行ったときに笑って話してたなかもっさん。
「さすがに、ながすぎっすねぇ。笑 今月末で2店舗 神田店と池袋店を閉めるんすよ。コロナ前の水準比85%が多くて」と。SaaS系IT企業に勤める俺に、ブラックニッカのハイボールを飲みながら話をしてくれた。

なかもっさんは、元々赤坂のTV局系の番組制作会社に大卒で入っていた。顔は、賀来賢人と横浜流星を足して2で割ったみたいな雰囲気の人。現場で出役の人たちを見るとGAPがすげぇな。って日に日に感じて、6年目でやめた。一度、品川のカレー屋でスタッフとして働きだした。そこで今一緒に、小規模飲食チェーンの店舗運営をする、加藤さんに出会ったみたい。
とこの話はなかもっさんからいつも俺はされるから覚えてしまった。クライアントに金融系企業やメーカー企業がほとんどのSaaS系企業につとめる俺に。この手の飲食の話は正直ピンとこない。かつ興味もあまりない。

なかもっさんとは神田の相席屋の出入り口で互いに2人組みで酔っぱらったノリで仲良くなった。俺の相方となかもっさんの相方をシャッフルして行くも。その日は相席屋は惨敗だった。俺となかもっさんならもっといけたよなぁ?とアフタートークで仲良くなって、今にいたる。
だから、なかもっさんとペアで相席屋に行ったことはない。

「こんど相席屋いきましょう」と年末の挨拶の電話で締めにこの話をした。メールでのやりとりもない正直うちの企業規模からみると粒ほどのレベル感だと思う。ましてや、仕事上での取引もない。完全プライベートの仲で会社の携帯でそんなやりとりをした。GRANTOKYOタワーの麓で彼女の美絵と待ち合わせ時間の10分前になった。会社の携帯の電源を切った。2022の業務も今日が最後だからだ。明日の大晦日は美絵と箱根の温泉に入りに行く予定だ。年越しプランはそんな具合。

相席屋にいくことは年明けないだろう。
なかもっさん。良いお年を。

※フィクションとノンフィクションのリアリティー賞

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