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最高裁判所裁判官国民審査(1)

最高裁判所裁判官の国民審査についてですが、この制度は世界でも日本独自の極めて希な制度だということをご存知でしょうか。
  
アメリカの憲法学会では、違憲審査制との関係で、なぜ民主主義を国是とする体制において民主的基盤をもたない連邦最高裁判事が、議会において民主的に成立した法律(連邦最高裁によって違憲とされてきた法は「州法」がほとんどですが)を違憲として否定することを正当化できるかということが政治哲学上の大問題として現在でも主要な論叢点になっています。   

違憲審査制だけでなく、これを組み込んだ立憲主義の正当性に関する論叢です。なによりも民主的な選挙で選ばれていない、いわば官僚そのものである裁判官が、なぜ、民主的なプロセスをもって成立した法律そのものの正当性を議論することができるかという議論です。    

ここでアメリカにおける議論を紹介する余裕はありませんが、裁判所の民主的基盤ということは、多くの学者を悩ませてきた問題でした。 

最高裁判事の国民審査という制度は、そういう議論を踏まえ、司法ないし裁判官の民主的コントロールという問題と関わっているのですが、そういう問題意識から生まれた実験的制度が、国民審査でした。 

つまりは、GHQによる日本での民主主義の実験だったわけですが、全くのナンセンスであり、予算の無駄だというのが、この実験の結果だということになりましょうか。

(2012/12/16 MLへの投稿から)
●続き 最高裁判所裁判官国民審査(2) (3)

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