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最高裁判所裁判官国民審査(3)

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我々実務家は、最高裁判決は基本的に「調査官」と呼ばれる司法官僚が下拵えをして裁判官が合議をして承認したものに筆を加えるというプロセスを辿ってできていくものだと考えています。  

最高裁の「調査官」は、基本的に裁判官の中で修習時代や判事補の段階で「優秀」だと目をつけられていた人材が裁判所所長等からの推薦を受けてなっていくと認識しています。過去の判例の吟味、検討、政策的判断等を「調査官」が行うのですが、責任は裁判官がとりますので、ある意味、典型的な官僚ですが、司法官僚のことについては、あまり悪い噂はありません。彼らが折り紙付きの優秀であることは、法曹関係者ならみな知っているからでしょうか。   

もちろん、裁判官が自らの思い入れから、判決の結論や理由を左右したり、独自の補足意見、少数意見を付することはあります。最高裁判決もその責任は名前をクレジットしている裁判官が負うのです。「調査官」はいくら判決の実質を書き上げても名前は出ません。但し、我々法曹が判例分析の参考に用いている「最高裁判例解説」という書籍があり、その年に出た主要な最高裁判例の分析・検討・射程を整理しているのですが、そこで解説を書いている「調査官」が判決の下書きをつくったのだという見方がなされています。 
もちろんのことながら、「調査官」に国民審査はありません。

(2012/12/18 MLへの投稿から)

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