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共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会

中国のエリートは、共産党員です。共産党員になることがエリートコースであり、出世コースです。そして党員になる資格は、事実上、精華大学か北京大学に入学しなければ与えられません。物凄い学歴社会です。背景には中国に伝統的な儒教的価値観、士大夫(読書階級)こそが社会のリーダーだという孔子様以来3000年(数字が合わないのはご勘弁)の伝統があるのです。官僚主義の出発点は中華エリートの言語マンダリンにありました。  

共産主義も含め国家が理性的に計画的に経営されるためには、優秀な人材が役人(官僚)になる必要があります。官僚になれば国家を後ろ盾にした世界人脈が築けます。築いた人脈は半永久的に個人のものであり、一族のものとなります。役人がもっている様々な許認可の権限は、有形無形の賄賂の源泉になります。豊かになり、エリートになるには、まず共産党員になること、そのためには厳しい受験競争を勝ち抜いて精華大、若しくは北京大学に入学する必要があります。

中国におけるかつての日本を遥かに凌駕する受験地獄がある理由です。今も昔も中国は「科挙」の国なのです。共産主義になろうがなるまいが同じことです。そもそも中国共産党も、日本共産党と同じく、超学歴エリートが作ったものです。そのことを忘れないでください。日本では学歴のない田中角栄でも総理大臣になれたのです。もっといえば一流大学とはいえない成蹊大学出の安倍晋三や法政大学出の菅でも総理になれたのです。そして東大を3回落ちた岸田でも首相になれたのです。そんなことは、中国ではもう絶対にありえません。

アメリカでも学歴に基づく社会分断が拡がっています。ハーバード、スタンフォード、エール・・・といったエリート校は、いずれもリベラルで民主党の天下であり、トランプのような学歴において劣等する無教養な人間を心から蔑視しています。しかし、まさしく、その事から社会の分断が激しくなっていることについてエリート層は無自覚です。ENA出身者が高級官僚を固めるフランスのような欧州の中の中国のような学歴官僚社会においても、黄色いベスト運動のような社会分断があらわになってきました。 

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日本の自由度を学歴社会という視点から比較検討することも面白いことかもしれません。田中角栄、安倍晋三、菅、岸田という学歴エリートでない人物がリーダーになれる国は、そうないのです。 

日本共産党のリーダーたちは、全員、東大か京大卒の学歴エリートであることも覚えておいてください。レーニンによるボルシェビキ革命がそうであるように、共産党による革命はそれが暴力的であれ平和的であれ、学歴エリートによる革命であり、天下取りなのだということを忘れないでください。 

中国共産党の高官たちは、みな、安倍晋三についても、その成蹊大学卒業という学歴に驚いて小馬鹿にしていました。 
だって、そうでしょう。彼ら中国共産党員は、ほぼ全員、精華大か北京大学の卒業生です。しかも、大学でも優秀な成績を収めていなければ共産党員にはなれません。彼らにとって学歴は、自分たちがトップエリートだということを端的に証明してくれるパスポートなのです。共産党員として社会のリーダーになるための最低限の資格なのです。

かの国では、非共産党員が出世するには、スボーツ選手、芸術家、起業家として成功するしかないのです。成功者は華々しく持ち上げられますが、ばくち打ちの世界です。共産党員は、彼らに対して尊敬の念は持っていません。例えるなら、アメリカにおいて黒人が社会的に成功する道と同じです。もちろん、例外があるかもし
れません。しかし、その社会の基本構造において上記のことを頭に叩き込んでおいた方がいいと考えています。   

岸田首相が東大を3回落ちたことも、中国共産党の侮りの対象です。かつて科挙に何度も落ちたエリート崩れだった洪秀全がイエスキリストの「弟」を名乗り、太平天国の乱を起こしたこともありました。中島敦の「山月記」の主人公もそうでした。  

日本では学歴がなくとも出世して、世間の尊敬を集める道はある。そのことがどんなに重要なことかを、日本の社会の風通しをよくしているかを、中国人たちも学歴エリートのリベラル人士も知らないのだ。 
(MLへの投稿から) 

共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会 
共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(2) 
共産党員のエリート意識と中国という学歴偏重社会(3) 
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