もうひとつのラブストーリー(39)「裸を見せる?!①」
金曜日の夜に「ちえ」と会う予定もなかったので、早めにお風呂に入っていました。
すると、玄関のドアがガチャガチャ開けられる音がしました。
どうやら誰か入ってきたようです。
鍵を開けて入ってきたということは「ちえ」しか考えられません。
「「トクちゃん」お風呂入ってるの?」
「うん、もう出るからパンツ出しといてくれない」
「じゃあドアのとこに置いとくね」
「うん、ありがとう」
お風呂から出ると「ちえ」が半ベソをかいていました。
「どうした?泣いてんのか?」
「「トクちゃん」、ゴメンね···」
「えっ、ゴメンねってどういうこと?」
「まさか、別れるってこと?」
「ううん、そうじゃない···」
ホッ
「ゴメンね、ゴメンね」と言って泣きじゃっくています。
「なに謝ってんの?泣いてちゃ分かんないじゃん」
「「トクちゃん」、前に「他の男に裸見せたら別れる」って言ったよね···」
「うん、言ったな」
「あれ本気?」
「私、「トクちゃん」以外の男の人に裸見せちゃった···」と言って、また泣きだしました。
「どういうこと?他の男とHしたってことか?」
「ううん、そうじゃない···」
「じゃあ、どうして裸見せたんだよ?」
「見せたってワケじゃなくて見られちゃったんだけど···」
「見られた?なんでだよ?」
「ゴメンね、ゴメンね」
「泣いてちゃ分かんないじゃん」
「あのね、一昨日、会社の旅行に行ったでしょ」
「うん、それは知ってる」
「その時にね、皆で露天風呂に入ったの、混浴の」
「えっ、混浴の露天風呂に入ったの?ってことは男も一緒に入ったってこと?」
「うん、話の流れでね、皆で入ったの」
「それでね、バスタオルで隠してるから大丈夫だと思ったんだけど···」
「ちょっとお風呂から上がろと思った時にね···」
「他の女の子に、ふざけてタオル引っ張られちゃったの」
「それで、バスタオルが取れて、男の人に見られちゃったの···」
「えっ、全部見られたの?」
「アソコは隠したけど、胸とお尻は見られちゃったかも···」
「男の人達が「おー」とか言ってたから···」
「すぐ隠したんだけど···」
「···」
「ゴメンね、やっぱ別れるの?」
「そもそもなんで混浴なんて入ったんだよ!」
「ゴメンね、他の女の子も皆入るって言ったから···」
「それでね、後で男の人達が入ってきたの···」
「はあ···、なんで男も入れるんだよ?」
「他の女の子が、男の人も一緒に入って良いよって言ったから···」
「「トクちゃん」、ゴメンね···」
「皆、お酒飲んでたから酔ってたと思うんだあ···」
「···」
「「ちえ」も酔ってたってこと?」
「ううん、私は、お酒飲んでなかったから···」
「やっぱり別れなくちゃいけないの?」
「う~ん、ワザと見せたんじゃなけゃしょうがないかな···」
「「トクちゃん」、許してくれるの?」
「まあ、嫌だけど、しょうがないか···」
「ホント?許してくれる?」
「分かった、許すよ」
「「トクちゃん」、ありがとう···」
「でも、ペナルティはあるぞ」
「うん、分かってる」
「じゃあ、罰として1ヶ月会わない」
「えっ、1ヶ月も会ってくれないの?」
「それが嫌なら、今日と明日は泊まってくこと、そのどっちかだ」
「じゃあ泊まる」
「仕事帰りだろ?お母さんにちゃんと言えよ」
「もう、お母さんには話してある。「トクちゃん」以外の男の人に裸見られちゃったって」
「それで「トクちゃん」には「他の男に裸見せたら別れる」って言われてるって」
「それで、お母さんなって言ってた?」
「ちゃんと「トクちゃん」に話して謝って来なさいってだって」
「それで許してくれるの?」
「うん」
「ありがとう、「トクちゃん」!」
「そのまま寝たら、服にシワがついちゃうから、俺のパジャマ着ろ」
「「トクちゃん」は、どうするの?」
「俺は、ジャージで寝るから」
「やっぱ「トクちゃん」優しいね···」
「ねえ、キスして」
「ダメ!今はしない」
「許してくれるんじゃないの?」
「許すけど、今はキスしない、そんな気分じゃないから」
「じゃあHもしないの?」
「しない、今日は別々に寝る」
「俺も一晩、頭冷やす」
「今度、混浴なんて入ったらホントに別れるからな」
「うん、分かった」
「もう、泣くな、「ちえ」もお母さんに電話したらシャワー浴びてきな」
「うん」
「だけど平日に社員旅行するなんて変な会社だな···」
「うん、会社の創立記念日なんだって」
「へえー、初めて聞いた」
「でも、「ちえ」も黙ってりゃ分かんなかったのにな···」
「この前、無理矢理キスされた時もそうだったよな」
「バカ正直だよな···」
「「トクちゃん」には隠し事したくないから···」
「もう一つ罰として、今から一緒にHビデオ見るか?」
「「ちえ」も他の男に裸見せたんだから俺もHビデオ見て良いだろ?」
「···」
「ウソだよ···、冗談だから泣くな」
つづく
うつ病で苦しんでいる方達に希望を与える活動をしていきたいと考えています。よろしければサポートをお願いいたします。