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映画『ゴジラ-1.0』の感想
最近上映開始された『ゴジラ-1.0』がなかなかに好評のようである。元々は全然注目していなかったが、やたらと評判が良いので観てみることにした。今回はその感想を書いていこうと思う。
まずこの映画のレビューを調べると評価がはっきりと分かれていることが多い。ざっくりとしたレビューの印象としてはライト層は絶賛し映画マニアは評価が低めという感じである。ではその中で自分はどうだったのか?自分の感想を書くと以下の1文に集約される。
普通、至極普通だった。
結構楽しめるシーンもあるし微妙なシーンもある。絶賛でもなく楽しめないわけでもない、そんな中間くらいの映画だった。巷でいわれているような絶賛意見にも完全には同調できないし、否定意見にもそこまで共感できない感じである。
これは両方の立場を忖度してあえて中間の立場をとっているわけではない。本当に普通なのである。良い点もあるし悪い点もある。ここからは具体的な良い点・悪い点を列挙しつつそれぞれのポイントごとに感想を書いていこうと思う。
『ゴジラ-1.0』の良い点
冒頭のゴジラのアクションシーン
ゴジラのアクションシーンは良かった。特に冒頭のちょっとちっちゃいゴジラが暴れまわるシーンがとても怖い。個人的に一番怖かったシーンがこの最初に暴れていたシーンである。地味な大きさだからこそリアルな嫌さが増しているというか、超巨大なゴジラが街中を襲うシーンよりも不気味さがあった。正直このシーンが観れただけでもこの映画の価値はあると思う。
ゴジラが直接的に噛みついてくるのが特に怖かった。おそらく実際に想像できるからだろうなと思う。ゴジラはいなくてもワニとかは現実にもいるしああいう殺され方をした人もいただろうと思う。妙に生々しい感じが伝わってきて個人的にはとても良いシーンだと思った。
ゴジラが銀座を襲うところ
冒頭の小型ゴジラの方が怖くはあったけど迫力といえばやはりこちらの方があった。なぜ逃げないのかというツッコミどころ満載の屋上から逃げないマスコミが落ちるシーンが特に秀逸で、屋上から建物が崩れ去る怖さ迫力感が見事に伝わってきた。
このシーンは全体的にゴジラが怖いというよりはゴジラによって壊された建物が崩れ去って人間に降り注がれるという二次的被害が怖いと思った。やはり存在しない巨大生物よりも実際に存在する建物の倒壊による被害を描写されると怖く感じてしまう。
終盤にゴジラのテーマソングが流れて船が作戦開始するところ
やっぱりテーマソングは有名だし良い曲なのでゴジラをそこまで知らなくても鳥肌が立ってしまう。このシーンで船が旋回したときに大きく俯瞰で映しているカットもかっこよかった。このあたりのアクションシーンは総じて良い印象。
『ゴジラ-1.0』の悪い点
説明セリフが多いからくどくて冗長
これはわかりやすいというメリットにもつながるけど、説明セリフがやたらと多く、個人的にはくどいと感じた。「何度もそういう描写しなくていいよ……」と感じるレベルで同じようなシーンやセリフがあったりする。シーン単位でもセリフ単位でも細かいところを削れば10分~20分くらい削っても違和感なく構成できるんじゃないかと思う。
説明セリフが多い場合、「セリフの余韻が~」ということで云々言う人もいるけど自分はそういった短くわかりにくいセリフのメリットに着目するという観点ではなく、長くわかりやすいセリフのデメリットが大きいという観点からできる限り冗長さは省くべきだと思う。
演技が微妙
正直、全体的に演技が微妙だと感じた。最近の邦画や国内ドラマに慣れているとそこまで違和感がないのかもしれないけど、あまりそれらを見ていない自分としてはどうしても違和感が多い。教授とか隣のおばちゃんとかは良いと思ったけど全体的にくさいというかキャラ付け過多という感じ。たぶんこういう演技が流行りなのだと思うので、慣れの問題という可能性もあり気にならない人は気にならないのかもしれない(自分は気になる)。
重要な点で説得力が薄い
「なぜ成り行きで2年も同棲してるの?」とか「なぜ元海軍のみんな作戦に参加するノリになってるの?」という感じで今考えても疑問に思う展開がいくつかあった。前者に関して言えば当時の価値観でそこまでするなら結婚しそうなものだし、展開的に結婚してその幸せがゴジラによって奪われてしまったという展開でも違和感がないような気がする。あと子どもの存在が2人の男女が同棲するという違和感を解消するための道具としか使われていない感じがあってもっと何か子ども関連のエピソード入れてもいいんじゃないかと思った(おそらく子どもがいなくてもこの映画は成立してしまうという話)。
後者の「雰囲気的に作戦に参加する感じになってる」というのも重要な点だと思う。元海軍の人が「俺たちにも家族はいるんだぞ」と言ってるのにそこを解消せず、作戦参加自体はなんとなく雰囲気で流されてる感じなのがちぐはぐな感じがする。
なぜなら相当無謀な作戦だからだ。まず計画通りにいくかはわからないし、ゴジラの生態がわかっていない状態なので計画通りだとしてもゴジラを倒せるかわからない。戦艦が簡単に破壊されてしまう巨獣を前に無謀な戦いを挑むなら暴動でも起こして政府かGHQにゴジラ討伐を期待する方がまだ納得できる。そういった感じで生活や家族があるのに雰囲気での参加は説得力が薄いように感じた。一応演説みたいなのはあったけれどやはりそれでもノリで流されてる感が否めないし、納得できるようなものではなかった感じ。
それ以外にも「戦いに行かないというのは幸せなこと」というようなスタンスで若い人を置いて戦いへ向かう佐々木蔵之介がいざピンチの時に若い人が助けにくると嬉しそうなのは違和感があった。「そこは怒るべきじゃないか?」ということである。
「戦いに行かないというのは幸せなこと」というようなことを言って若い人を置いていくときは「ゴジラと戦うこと」と「戦争へ行くこと」というのが重ね合わせられていて、だからこそあえてゴジラとの戦いに若い世代をおいていき「戦いを経験させない」というのが1つのメッセージとして成り立つと思う。しかし後から来てしまったら「さっきのシーンなんだったの?」と思わざるを得ない。
もちろん実際は「ゴジラと戦いに行く」というだけなので若い人が助けに来ても「ピンチの時に仲間が助けに来た」というよくあるアツい演出として成り立ってしまっているけど、どうにもちぐはぐな気がしてしまい助けに来た時もそのアツさより違和感の方が大きかった。
そんな感じで説得力が薄いシーンがいくつかあったという話。
まとめ
冒頭でも述べた通り、良い点もあるし悪い点もあるという作品で端的に普通くらいの面白さだと感じた。ただ作品なんて良い部分が1つでもあれば良いと思うのでそういう点で見る価値自体はあったと思う。アクションシーンは文句なく素晴らしかったと思う。
結論としては『シン・ゴジラ』の方が好みかなという感じ。『ゴジラ』シリーズはほとんど観てないのでこれを機にそのうち見てみようかなとは思った。
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