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才能が埋もれない時代ーTikTokから見つかる才能・音莉飴

音莉飴(ねりあめ)」という音楽ユニットを知っていますか?
今Z世代を中心に注目されている2人組の女性アーティスト・音莉飴。

今回はささいなきっかけからアーティストへ転身した音莉飴と、才能が埋もれない時代について考えていきます。

TikTokで一躍ヒット

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高校卒業から、ささいなきっかけで一躍大ヒットを経てアーティストへ転身した音莉飴の2人。
始まりは、Z世代に人気の動画共有SNS、TikTokでした。

元々は音楽SNS・nanaなどを通して既存曲のカバーなどで活動していたメンバーの1人・あかねさん。
そこから、歌を歌っていること、それがとても上手なことが学校内に広がり、高校二年生の文化祭で初めて人前で歌うことを経験します。

高校卒業後も音楽に触れ続けたあかねさんは、趣味の範囲で作った楽曲「陽キャJKに憧れる陰キャJKの歌」を、友人からTikTokに載せることを勧められ、記念程度の気持で投稿したそうです。

そして、TikTokに楽曲を投稿したところ、430万回再生を超える大ヒット楽曲に。

「陽キャJKに憧れる陰キャJK」

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TikTok初投稿のオリジナル曲にして大バズりとなった「陽キャJKに憧れる陰キャJK」
この楽曲はどのようにして生まれたのかを追っていきます。

最初は、音莉飴の1人・あかねさんが歌詞とメロディを作り、土台を完成させました。
その時点では、フリートラックに乗せて自身の声をあてたものでした。

そこへ、同郷で後の音莉飴のメンバーとなるあかりさんが「伴奏の練習をさせてほしい」ということで声をかけ、iPhoneアプリ「ガレージバンド」を使って伴奏を付けます。

そうして出来上がった楽曲が、現在TikTokへ投稿されている完成楽曲なのだそう。

投稿後、様々なユーザーにより楽曲を使用した動画が投稿され、TikTokクリエイター・uruu__o0によるオリジナルの振り付けがブームを一気に加速させました。
その結果、TikTokでの関連動画投稿数が9万6,000件を超えるということに。

音莉飴とは?

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楽曲のバズりをきっかけに、楽曲の土台を制作したあかねさん・伴奏を制作したあかりさんの2名は複数の事務所からスカウトを受け、その中から現在の所属事務所へ入所しました。

また、クリエイターグループ・HoneyWorksからも声がかかり、プロデュースのもと配信リリースにもこぎつけました。

陽キャJKに憧れる陰キャJKの歌」に続き、「アオハル」「陰キャJKに惚れる陽キャDKの歌」などをリリースし、現在も音楽アーティストとして活動しています。

作詞作曲を担当するあかねさんは、その制作スピードが最大の才能だと言われています。
陽キャJKに憧れる陰キャJKの歌」の制作にかかった時間はなんと20分。通常の作詞・作曲の作業は早くても数時間~数日かかる場合がほとんどです。
あかねさんは、作詞と作曲を同時進行で行うという独自のスタイルで楽曲を制作することで作業スピードを非常に早く収めています。

そして、そんなあかねさんの楽曲を仕上げる、編曲担当のあかりさん。彼女もまた、編曲の才能があるアーティストです。
作詞・作曲は0から1を生み出す作業ですが、1を2にも10にも、あるいは100にもできるのは編曲の力量が大きく関わります。
あかりさんの編曲の才能やセンスが、あかねさんの楽曲の魅力を引き出すことにマッチしていたことで、完成した楽曲のクオリティが爆発的なバズりに繋がったのだと思います。

Z世代に「ウケる」

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Z世代を中心にトレンドを生み出す動画共有アプリ・TikTok。そこで大バズりをした音莉飴の楽曲はどのような部分が「ウケた」のでしょうか。

あかねさんが「キャラメルマシュマロいちご飴」のフレーズから作り始めた「陽キャJKに憧れる陰キャJKの歌」。
メロディのリフレインが印象的な上、キラキラ可愛い女の子という印象のある可愛い単語が並ぶ歌詞がJKを惹き付けたのでしょう。

また、ストーリーを感じさせる曲の流れにも注目です。
前半では、陰キャJKがひねくれながら陽キャJKのキラキラした様子をひがむような、諦めているような心情が描かれていますが、後半に行くにつれて自分を可愛く思えるように行動したり、気持ちが前向きになったりしていく様子が見られます。

可愛くなりたい女の子」の味方のような、背中を押すようなこの楽曲。

多感で何かと周りと比べがちな思春期の女の子にはとても魅力的な作品ですよね。
共感や勇気づける要素のある作品は、Z世代の若者に非常に「ウケる」ようです。

才能が埋もれない時代

音莉飴のように、TikTokやYouTubeなど、ネットをきっかけにその才能を掘り出されることは非常に増えてきました。また、それに目をつけて夢を追う若者も増えています。

ネットからクリエイターとしての道へ進むといえば、Y世代X世代ではvineが印象深いかもしれません。
vineは2017年にサービスを終了していますが、2013年のサービス開始から日本においても非常に人気の動画共有サービスでした。
6秒の動画がループ再生される仕様で、ブライアンや大関れいかなどが特に人気のクリエイターでした。2017年のサービス終了後も、vineで人気を獲得した多くのクリエイターはYouTubeやTwitterで活動を続けています。

そして現在はTikTokがvineのようなポジションで、現役高校生を中心に人気のサービスとなり、そこから排出される音莉飴のようなクリエイター・アーティストは年々増えています。

ネットが普及する前のクリエイターや有名人といえば、例えば芸能プロダクションの養成所に入ったり、オーディションを受けまくったり、足で売り込みをしたり、そういったやり方が主流でした。
しかし現在は、自分の持っている力や才能を、ネットを通してなんでも発信できます。
それは、イラストや動画などの視覚的な作品だけでなく、ダンスやスポーツなどの身体能力であったり、音楽などの聴覚的な作品であったり、あるいは伝統品の作業工程、農業の様子などに至るまで、本当になんでも発信できますね。

あらゆる才能が、ネットを通して人目につくことで、埋もれてしまうことが少なくなりました。
オーディションを受けるより手軽に、けれど確実に夢に近づくこともできます。
また、音莉飴のように、自分では気づかなかった才能を誰かに拾われることも。

これからも多くの若い才能が、埋もれずに花開いていくのが楽しみですね。

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