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本多孝好さんの作品が今のブームです

なんとなく、〇〇さんの本を読んでいたいな、という時期があります。テンポとか、言葉遣いとか、テーマとか、温度感とか、何をもってその人の作品を求めているのかは謎ですが、特定の作家さんの作品が恋しくなる期間があるんですよね。
その作家さんは時によって様々で、上橋菜穂子さんだったり、西加奈子さんだったり、小川糸さんだったり、江國香織さんだったり、、、挙げたらきりがないんですけど。
期間とかも本当にまちまちで、図書館においてあるものを何か月かかけて全て読み干すこともあれば、一、二冊読んで満足することもあります。

今ちょうど、本多孝好さんがその枠に来ているんですよね。
というとても個人的な話です。
まあ私のnote、常に個人的な話でしかないですけど。

deleシリーズ

特に好きなのはこの作品です。
一年前くらいにAmazonプライムで“菅田将暉”って検索してドラマや映画を見漁っていたことがありまして、笑。その時にドラマを見つけて、観ました。その流れで本の方も読みました。ミステリ苦手といいがちな私ですが、本多孝好さんの作品はミステリ要素はあっても抵抗なく読めます。登場人物とか、多すぎないからかもしれない。あと、設定というか、コンセプトが少し変わっていたりとかする。この作品は、山田孝之さん演じるある事務所の男性が、依頼主が亡くなったら、生前にその依頼主によって指定されたデバイス内の指定されたフォルダを削除する、っていう話です。菅田君はそのアシスタントです。
依頼主のそのデバイスがある一定期間動作されなかった場合、依頼主の生存の有無を確認し、亡くなっていた場合削除する、というその過程で、色んなドラマが存在するんですよね。浅い感想にはなってしまいますが、どんな人でも、その人にしか分からない人生があって、秘密もあって、苦労も喜びもたくさんあるんだなっていうことをしみじみと感じました。

本当にこういう人たちがいたら、私はどんな情報を消してほしいと望むだろうか、と考えました。そして逆に、自分がいなくなった後、誰かに見て欲しいフォルダはどれだろうか、とも考えました。
正確にはそのままではないのですが”一貫性のある自分を演じて、それからはみ出た部分を隠す。そして死んだらそれを削除すれば、そのまま一貫した自分を守れる”というようなセリフが出てきて、すごく、すごくわかるなあと。
自分が他人に見せている自分、他人から見た自分はこういう風であろうという像が自分の中にあって、それを大きく崩すことのないように、生きる感じ。死んだ後に、それを覆したくない部分もあれば、実は知って欲しいかもしれない、みたいな部分もあったりする。

MOMENT, WILL, MEMORY

MOMENTは、ある病院でバイトをしている青年が、死を前にした人のお願いを一つ叶える、というものです。WILLはその続編、といっていいのか分からないですが、MOMENTで主人公だった青年の、幼馴染が主人公のお話です。MEMORYは最寄りの図書館に置いておらず取り寄せないといけないのでまだ読んでません、が、つながっているようです。先の2作で、それぞれの主人公のファンになってしまった身としては、読まねば、という感じです。

FINE DAYS

恋愛系の短編集です。とはいえ、私は単純な恋愛短編っていう印象は持たなかったかな。少し異世界感もあって、個人的には森見登美彦さんとか小川洋子さんとか、この世に存在してそうで、していない、そういう世界を感じました。現実のままならない感じを覚えるような作品もありましたが、最後の一つは光が差すのが見える印象を持って終わっているところが、素敵だなと思いました。

今、ALONE TOGETHERを読み始めています。
個人的ブームが来る作家さんって、ストーリーとかよりもやっぱり、その世界にいたいと思えるか、描かれている登場人物の脳内が自分にとって心地の良いものである (もしくは自分が必要としている思考である) か、が重要な気がします。

本多孝好さんの作品はどの作品も、(今読んだことのある所だと) テンションはあまり高くないんですよね。登場人物たちが少し冷めているような印象があって。その上でそういった主人公たちの思考の中で出てくる、日々や人生を一歩引いて見るようなフレーズとかが結構刺さるんですよね。日常のなかでふと浮かんでは消えていく、漠然とした感情を、拾って言語化してくれるというか。そういう感覚があります。

今回はここまでです。読んでくださった方、ありがとうございます。


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