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結果のご報告

第44回講談社・本田靖春ノンフィクション賞(選考対象:2021年4月~2022年3月、非公募)は、『嫌われた監督』(文藝春秋刊)と『冤罪をほどく』(風媒社刊)の2作品が選ばれました。

 おめでとうございます!

 そして、決勝で敗れた私は「四敗の男」を襲名いたします(ノミネート作品は『おもちゃ』でした)。

 自分の手掛けた作品が大きな賞にノミネートされた過去3回(=3敗)、実は受賞作を事前に予測し、毎回すべて的中させてきました。4度目の今回も当てました(笑)。

『嫌われた監督』の凄さは、もはや私が語るまでもありません。

『冤罪をほどく』は、語り始めると止まりません。

 塗炭の苦しみを扱いながら、読後感が爽快。6月1日のノミネート発表直後に拝読し、あまりに心を動かされてしまい、共通の知人を介して、面識のない著者の秦融さん(前・中日新聞編集委員)に饒舌な感想を送ってしまったほどです。(←コレ、ご法度!)

 なにより、秦さんの人間力にはかないません。ぜひ読んでもらいたいので詳細は記しませんが、著者名をあくまで「中日新聞編集局 滋賀・呼吸器事件取材班デスク」として、チームワークの成果であることを前面に出しているところにもお人柄が表れています。

 版元が「有限会社風媒社」なる名古屋の小さな出版社という点でも、今回の受賞は意義深い。知る人ぞ知る良書を発掘して、ノミネートした講談社の同賞事務局各位も称賛に値します。

 また、読売新聞編集委員の高梨ゆき子さん(『命のクルーズ』講談社刊)も、私と同じく、この賞、2度目のノミネートでした。

「安倍時代をどう総括するか?(そもそも総括できるのか?)」

 これが歴史家らの主要な論点として急浮上していく流れの中で開かれた最終選考会。ということで、その検証を試みた2つの候補作(『命のクルーズ』と拙著『おもちゃ』)が、どのように議論で扱われるのか――。

 結果はどうあれ、その一点だけが気になっていました(※選考会は非公開。ファイナリストにも中身が漏れ伝わることはありません)。

 今回は、『無敗の男』で同賞に初参戦した2年前より、倍の時間を結果発表まで待たされました(長かった~)。きっと、「新時代のスタートライン」となるような密度の濃いやりとりがなされたと想像しております。

 選考委員の諸先生方に、敬意を表します。

※この投稿はフェイスブックページ「常井健一の仕事部屋」から転載し、一部加筆しました。


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