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自毛でシルバーヘアをやってもいいんじゃないか?とふと考えた。

 白髪の家系でさらに若白髪なものだから、多分自毛そのままにしたらわたしの髪は、坂本龍一教授みたいな感じになっているに違いないのだ。30代の半ばくらいから、既に1か月に1回くらいのペースで髪を染めてきた。白髪主っていうのは、そういう風な苦労をずっとするものだ。

 ところが先日ふと考えた。あれ、ひょっとして染めなくてもいいんじゃないか。

 別に、加齢をナチュラルに受け入れよう!とか自然のままの髪色の美しさを!とか、そういうのに目覚めた訳ではない。アッシュとか、赤味のない漂白して晒したような鈍い金属的な髪色にもともと憧れがあったのだが、よく考えたらそっち方向にどんどん行くと、ホワイトプラチナシルバー系の髪色になるよね、尖ったモード系な髪の子たち、女の子も男の子も、銀色の髪してたりするじゃん、というところに行き着いたのだ。

 なぜ、それを自毛を生かしてやってはいけないのか。

 白髪が美容院に行くと、染めることが前提の会話になる。黒い方を白い方に寄せて色を抜いていく話じゃなくて、白い方を黒い方に寄せてどう色を入れるかという話になるのだ。さらに、白髪には色が入りにくいとか、色が入りにくいので明るい色は白髪染めには向かないとかいう話にもなる。だから白髪染めは大抵ダークなトーンだ。いや、むしろ色を抜く方で行きたい。淡くハイトーンな方向に寄って行きたいのだ。

 最近ファッションがどんどん大人げなくなり、さらに女げもなくなって、どっちかというと中学生か高校生の男の子のような格好をしているのだが(メンズ、っていうかボーイズの服を着ることが増えた)、何ていうかちょっと、フランスあたりの粋に年齢を重ねてきれいな白髪で堂々と魅せてくる妙齢の女じゃなくて、むしろ飾り気なく骨っぽい手足と胸板にゆるゆるのタンクトップを引っ掛けてるような、色気のない男の子みたいな方向に行きたい。

 髪を切ってくれる美容師さんが話をすると無気力でダークなことを淡々と語り出す面白い男の子なのだが、その美容院に行き始めた頃彼がロングヘアだったので「〇〇さん、最初髪長かったですよね?」とある時水を向けてみたところ、彼の奥さんが「それ、何目指してんの。どこに行こうとしてんの」とディスってきたので心が折れて切った、という話が出てきて爆笑した。それに倣って言うと、絶賛「ジェンダーレスで素っ気ない男の子みたいなホワイトシルバーヘアの女子」の方向に行きたい。40半ばのおばさんだが。

 以前、彼氏に「夏だし明るい髪がいいと思う♡ちょっとゴールディッシュで♡」と言われて、それはちょっとハードル高いよなあ!と思ったことがあったが、金髪よりは銀髪の方がやりやすいのではないか。周りの大人が何か言ってきたら、「あははー、白髪染めるのやめたんすよ!」と言えばいいのだ。「若い頃から白髪だから、もう面倒くさくなっちゃって!」と。金髪のババアは眉を顰められるかもしれないが、白髪のババアは別に陰口をたたかれることもないと思う、もっと年上の大人たちから。

 おそらく問題は、きれいに真っ白になるまでが汚い、ということだと思う。ごましおというか、逆プリンで伸びたところだけ白い状態なのがだらしない嫌な感じになると思うのだ。でもわたしはショートヘアだし、染めずにショートに次ぐショートで切っていったら、割と早く全部白くなるんじゃないかと思う。あと多分、そうなった時には白黒混じりじゃなくて総白髪になれるような気がする。あとはひょっとすると、顔が若くないとシルバーヘアもただの白髪頭に成り下がる可能性がある、という懸念だけだ。しかしこれはやってみないと分からない。

 であるので、来春までの秋から冬の期間を、格好いいシルバーヘアに着地するための移行期間および試験期間にすることにした。ニット帽を愛用する予定だ。ラスタ帽のような、ちょっとゆるゆるのずるずるのやつでもいいな。移行期間には、シルバーカラーで部分的に染めてもいいかもと思う。

 とりあえず美容師さんには「そっち方向に行こうと思ってんですよ!」と意欲的に説明し、それっぽいカットを頑張ってもらおうと思う。来春には、ホワイトプラチナシルバー系のヘアをした、ボーイズライクな素っ気のない外見のババアになれているだろうか。割と楽しみなのだが。

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カバーフォトは、「みんなのフォトギャラリー」より、けそ さんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございマス!いや、このイラストは男の人の絵なのだそうですが、てっきり女の人だと思いましたよ。ていうか、こういう方向を目指したいです、わたしは!

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