006:元カノや元妻の話は「聞きたくない……!」じゃなくて、むしろ積極的に傾聴せよ。【スピ婚】
前回の【スピ婚】『005:「一生一緒にいたい男」よりも「別れても危なくない男」を選べ。』では、別れた時危ない男の例としてわたしの元夫を挙げましたが、今回はそういった危険な男の見分け方を含め、「彼と付き合う際のリスクポイントを把握しておこう」というお話です。すなわち、「元カノや元妻の話はむしろ聞いとけ」です。
彼が過去に付き合った彼女の話や元妻の話を嫌がる女子って、多いですよね。その気持ちは分からなくもありません。自分以外の女子との親密な思い出話など心穏やかに聞けませんし、元カノを褒め出したり、あろうことかそれと引き比べてこっちにダメ出ししてきたりしたら、元カノに対して複雑な憎悪の念を抱いても無理はありません。
無理はないですが、お伝えしたいことの第一点目は、「むしろ元カノを褒める男の方がいいぞ!」です。彼が元カノへの気持ちに整理をつけていなかったり、未練を残していたりする場合は別ですよ。そんな男の場合は、「わたしが元カノを忘れさせる!」じゃなくて、そこは彼が自力で決着をつけなければいけない部分だから、手を突っ込まなくていいです。また、多かれ少なかれうまくいかなくて別れたふたりの間にはわだかまりや心情的なしこりが残っているので、その範囲で彼が元カノの悪口を口にする分には、そこは人間の弱さとして仕方ないです。
ですが、「元カノを極悪非道のビッチのように描写する」「元カノのどこに惹かれたのか、なぜ付き合いだしたかには一切言及しない」「元カノの好きだったところや長所はなかったものになっている」「別れた原因はすべて元カノにある」みたいなことを彼が繰り返し語るようなら、彼はふたりの歴史を自分に都合よく脳内改ざんしている可能性があります。だって、現代日本、脅迫されたり財産や命の危険があってお付き合いせざるを得ないことはそれほどないので、付き合ったからには彼女に惹かれるポイントがあって、相思相愛だった時期があった筈だからです。さらに「絶対許さない」宣言とか「共通の友人に彼女の悪い噂を流している」みたいな他罰心を露わにしてきたり、その上「お前が同じことをしたら俺は厳しい態度を取る」などとあなたにまで援用してふたりの将来の責任を負わせてきたら、十中八九、別れた時に原因はあなたのせいになって、下手すると懲罰を加えてくる可能性が高いと思います。
(どうもわたしが具体例を出すと、粗野で暴力的な感じになって恐縮なのですが、実際はもっとソフトで巧妙に波状アプローチをしてくる可能性もあります。そのへん、小川たまかさんのこちらの記事が「いるいる!」と叫びたくなるほどリアルです)
ここまでお話してきたのは、「危害を加えてくる危ない男を元カノについての語りから見分けろ」ですが、次にお伝えしたいのは、危害を加えることはないだろうと判断した男についての話、「その男の地雷原や爆発ポイント、爆発した時の帰結を、ヒストリーから学べ」です。
例えば彼が、「元カノのこういうところが好きだった、でもこういうところは我慢できなかった」という話をしたとしましょう。その時あなたがうんうん頷きながらよくよく聞いておいた方がいいのは、「その我慢できないことが表面化した時、彼と元カノはどういう行動を取ったのか」「その問題はクリアできたのか、それとも曖昧に地下に潜りある時また噴出したのか」「最終的にどのような過程を経てふたりは別れるに至ったのか」というようなことです。それによってあなたは、「何をやれば洒落にならない事態が起こるのか」「洒落にならない事態になった時、彼はどんな行動を取るのか」「結果的に自分に降りかかるダメージはどのような類のものでどの程度の打撃か」などを予測することができます。
以前わたしが仕事の後で彼氏の家に行った時のことをお話ししますね。彼氏はふたりの間に軋轢が起こった時、どっちかというと逃げたくなる人です。万歳して、「okay」で、撤退するタイプです。さて、わたしは仕事の用事で1日隣街で動き回りそのまま彼氏の家に足を延ばしたので、いつもならちょっとした夜ご飯の買い物をして向かうのですけど、ほぼ手ぶらで彼の家に着きました。彼氏は家でご飯を作りながら待っていてくれたのですが、調子に乗ってちょっと意地悪なからかいをしつこくしてきたのですよね。「トーコちゃん、君、何にも買ってこなかったのーお?」「beer も買ってないのお?」。悪いことにその時わたしは、ちょっとサプライズでクリスマスプレゼントを買ってきてたんですよね。そこでそれをじゃーん!と出すと、「だから他のものは買わなくていいと思ったんだー?」。ちょっと酷くないですか!?そこでわたしも、とうとう口がへの字になって、べそをかきだしてしまったんですね。44歳ですけど!わたしが泣き止まないのでディナーは恐ろしくダウナーな雰囲気になってしまって、その後彼氏はお風呂にお湯を張ったのですが、それでもわたしが泣き止まないので、ひとりでお風呂に行ってしまいました。まずい、彼氏の評価が下がりそう!
それまで彼氏から聞いていた元奥さんたちとの話で、彼氏は割とトラブルからは撤退するタイプだなあ、というのは感じておりました。以前にも泣いてへどもどされた経験もあります。ですので彼がお風呂場に撤退した時点で、(これはなんとかしないとなんともならない)と決心して服を脱ぎ棄てまして、彼の納まっている湯船の中に乗り込み、涙ながらに心情説明と状況説明をして事態を収拾させました。まあ彼も1回やらかしたことは繰り返しませんし、わたしも言葉で説明しないままに彼氏の罪悪感を刺激するとろくなことにならないと学習しましたので、その後はべそをかくたびにきちんと説明するように努め、段々対処が上手になってきております。
それでも、ティーンエイジャーの男の子みたいな意地悪は、なぜかよくやりますよね。この間「どうしてそういう風に男の子って、女の子に意地悪するの?」と質問しましたら、ちょっと照れたようなばつの悪いような顔をして「女の子のリアクションが可愛いから」と言ってましたが、もう60越えてるんだからやめて欲しいですね。
まとめます。元カノや元妻の話というのは、その男性の女性との向き合い方、接し方、成功事例、失敗事例、情報の宝庫です。そこで起こったことは漏れなくあなたにも起こると考えておいた方がいいです。「わたしだけには〇〇しない」「わたしだけには〇〇してくれる」、そういうことはまずありません。勿論ふたりの間のことはふたりの化学反応なので、生じる結果は元カノや元妻の時とは違ってくるでしょうが、彼氏側の変数というのはそれほど変わらないと思います。彼氏とあなたが掛け合わされて何かのリスクが生じる時、あなたが進むかやめるか、逃げるか留まるか、対処を変えるか貫くか、元カノや元妻の話というのは、その判断をするための大事な材料となるのです。
まっさらな新しい関係とか、異物の挟まらないふたりだけの世界って、ちょっと気持ちいいですよね。甘い夢のようで。でも人間って、リセットはされないんですよね。過去のお付き合いで失敗やつまづきがあっても、そしてそれを経て彼が変わった結果あなたとのお付き合いが始まったとしても、それは過去からの継続であってリセットではない。あなたの人生も過去と地続きだし、彼の人生も過去と地続きです。今の彼をよく知るためにも、今の彼といい関係を築くためにも、過去の彼に目を瞑ることはおすすめしない。
そして過去の彼女や妻は、あなたの敵じゃないですよ。彼女たちは彼の人生や人間性の地層を作ってきた人たちなのですし、彼が今好きで一緒にいるのはあなたである筈です。もし元カノの話を聞いてあなたが不快に感じるなら、その源をよくよく見つめて見極めてみてください。もしかするとその不快源は、元カノじゃなくて彼にあるかもしれません。なにしろ、元カノは彼の語りの中の存在なのですから。
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カバーフォトは、「みんなのフォトギャラリー」より、Retu Fukui さんの写真を使わせていただきました。ありがとうございマス!わんこさんの表情を読むことについてはスキルが足りないんですけど、ちょっとふてくされてへの字ぐち、みたいな感じで親近感湧くので。
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