ゲーム好きな男は結婚相手に向くのだろうか。

 林伸次さんがこんなことを書いておられた。
「ゲームに年間、300万円課金する人って普通にいるらしい」

ところで思ったのですが、ゲームが好きな男性で独身者で、良い会社に勤めていたり、お給料が良かったりするけど、婚活とか合コンとかにはいっさい出てこない、「実はすごく良い男性」ってたくさんいると思うんですね。

 ところで、ゲームが好きな男性って、果たして結婚相手としていかがなものなのだろうか。そのことについて、独断と偏見で論を展開していきたい。「独断と偏見」という所以は、主に次のふたつの理由によります。

  ①検討するゲーム好き男のサンプルが少ない(例によって元夫だ)
  ②わたし自身がゲームにまったく興味がない

 さて、結論から言ってしまうようだが、わたし自身の結婚生活の振り返りによると、ゲーム好きの男と一緒に暮らして、よかったことはまったくなかった。

 元夫が結婚後最初にやり出したゲームは、携帯ゲームで、仮想のラーメン店を作るやつだった。わたしはゲームもラーメンもさして興味はないが、大体の男はゲームが好きらしいし、ラーメンとライスさえ与えておけば満足するらしい(ラーメンの件については、従業員の若い男の子談)。ちなみに元夫は、ラーメンの話になると「何系」だとか「魚介あっさり」「豚骨濃厚」だとか「ましまし」がどうとかいつまでも語り出し、嫁をラーメン屋に連れて行く時に「どんなラーメンが食べたい?」と例に挙げる味がついていけないくらい詳細で、果ては飲食店の店内で「車屋の隅でラーメン屋やりたい、あそこの店の味ならコピーできる」とか言い出す困った男だった。大体コピーで勝負できるほど飲食店は甘くないし、それを小耳に挟む店主だって面白くないだろう。とはいえ、ゲームの中なら罪はないし、ゲームもラーメンも好む度合いは人それぞれなので、最初は寛容な気持ちで眺めていた。

 ところが本当に、バカみたいにやり出すんだよね!朝起きれば出勤前にひとラーメン作ってるし、仕事から帰ってくれば、こっちがネコのトイレ掃除してゴハンやってお風呂掃除して人間のご飯作ってえんえん家事しているのに、リビングに寝転んでまた仮想のラーメン屋経営三昧。しまいには、あのゲームのBGMと「へい、らっしゃい!」というセリフが流れてくるだけで、苛々してくる始末。どうせなら、ラーメン屋開きたくなるくらい自分の腕に自信があるんだから、妻にリアルのラーメンでも作ってご馳走してくれたらいいのではないだろうか。課金をしなかったのがまだしもの救いで、これで国民年金すら払わないのにゲームに何百万突っ込み出したら、DVが顕在化する前に別れを切り出しただろうと思う。

 そのうち、プレステ4のファイナルファンタジーの何番目だかにはまり出した(すみません、FFにもまったく興味がないので、何番目だとかもなんのことやら)。これもまたバカみたいにやり出して、プレイが止まらないから先にお風呂に入れば、上がってきてもまだやっていて、ご飯の時間になってもまだやっていて、こっちが食べ始めてもまだやっていて、食べ終わってもまだやってるから先に寝ざるを得ない始末。そうなるとリビングのTVはFFで占領されているから、興味のないゲームの3Dアニメーションを延々見ざるを得ない。そりゃあアニメーション技術が進化してて見ごたえのあるビジュアルになっていることは分かりますよ。でも所詮RPGだから、プレーヤーの操作次第で、なんかヘンなところで回転したり飛び上がったり後ろ向きに歩きだしたりするじゃないですか。

 ある時ふたりで外に飲みに行って、楽しい時を過ごして帰ってきたのに、家に着いた途端、夜中だというのにまたFFを起動させたのには、本当に愛想が尽きた。思わず「バカじゃないの!?」と言ってしまって、言い捨てたまま自室に入ってしまったが、そこで若干反省した。ゲームを好きな人は好きなのだし、夜中に始めたからといってバカ扱いは行き過ぎだし、そこまで激怒するほどのことではない。そこで、バツが悪そうに追ってきた元夫に「そんなに怒らなくてもよかったね」と歩み寄った途端、元夫、安心したのか、「オレを怒らせるつもりか」と逆に詰め寄ってくる始末。そういう、譲歩した分優位と見て押し込んでくる根性が最低なんだよ!とわたしは改めて激怒して、元夫を振り捨てて寝た。

 と、非常に個人的な経験をご披露したが、このゲームバカな元夫に悩んでネットに救いを求めたところ、同じような悩みをお持ちの奥様方が予想以上に多かったことに驚いた。以前もちょっと書いたが、「夫 ゲーム イライラ」とかいうワードで検索をかけると、えらい勢いでお悩みの吐露がヒットしてくるんですよ。勿論、「わたしも一緒にゲームを楽しんでまーす♡」という奥様の回答もあり、それはひとつの解決法というか幸せな関係だとは思うが、結局のところ、問題はこういうところにあるのではないだろうか。つまり、

  ゲーム > 家事・育児
  ゲーム > 妻とのコミュニケーション

になってしまっている旦那様方が結構たくさんいらっしゃるということ。家事育児を奥様方がなんとかしてくれているからゲームに没頭できるのにそれを忘れていたり、「お前と会話するよりひとりでゲームしていた方がいい」という態度を取られたりしたら、そりゃあなんのために一緒にいるのか分からなくなるのも道理だろう。

 という訳なので、「良い会社にお勤めで給料がよい、婚活や合コンに興味がない、ゲーム好きな独身男性」が、果たして「結婚相手」という観点からみて「実はすごく良い男性」なのかどうか、疑問を感じる。家庭生活や女性よりゲームが好きであるという可能性が、会社で費やした時間の他はゲームに費やすタイプであるという可能性が、否定できない勘が働く。お付き合いする分には、楽しいかもしれない。しかし結婚相手としてパートナーシップを築く場合、夫が「仕事とゲームしかしない」男だとすると、それこそ無理ゲーなので。

 というのがわたしの見解なのだが、いかがだろうか。

 しかし、最初にお断りしたように、①と②の理由からの独断と偏見に満ちた見解だし、林さんも、ゲーム好きの男性を「ああ、この人ってとってもいい人だな」と思われた経験が、たくさんおありなのだろうと思う。なので、是非「ゲーム好きの男と結婚したがまったく支障がない」「わたしもゲームが好きでふたりで没頭している」「むしろ妻の方がゲーム好きだ」などという、ラブラブな既婚カップルのご意見をお聞きしたい。

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