教科書では教えてくれない、「囚人のジレンマ」の本質
みなさん「囚人のジレンマ」という言葉は耳にしたことがあると思います。
解決が難しい問題の多くにはこのジレンマが関わっています。
例えば、、、
将来が心配なので貯金に回すと貨幣が流通せず経済が停滞する
便利だからと皆が自家用車で行楽地に移動すると、渋滞が発生し快適性が損なわれる
次のターゲットにならないよういじめを静観すると、クラスでいじめが存続する
個人が自分の利益を考えて行動すると、社会的に望ましくない状態が生まれてしまうのです。
しかし、社会的な問題の解決を特定の個人に押し付けるのも違いますよね、、、
ゆえに解決が難しい。
囚人のジレンマとは
もはや記載するまでもないほど有名ですが、改めて内容を掲載します。
実はここに重要な情報が含まれています(後述)。
相手が裏切る(=自白する)リスクがある以上、自分も自白せざるを得ない。
二人とも協力(=黙秘する)するのが本来お互いにとって一番得なのだが、その選択肢はとり得ない、、、というお話ですね。
一般的に言われている解決策
解決策として一般的に言われているのは以下のようなことです。
普段からコミュニケーションを取り、相手が裏切ることがないように強固な信頼関係を築きましょう
裏切るのを躊躇するようなペナルティをあらかじめ設けましょう
長期的な関係性を築くことで短期的な裏切りを防止しましょう
繰り返し取引が行われる場合は、しっぺ返し戦略が有効です
一般論として確かに正論だと思うのですが、それって実践可能でしょうか、、、?
あまりに教科書的というか、道徳の授業を受けているような印象すら持ちました。
現実世界にどのように適用すべきかは丸投げです。
それよりも重要なこと
では、重要なポイントは何なのでしょうか?
もう一度囚人のジレンマの設定を見直してみましょう。
囚人A・Bは協力して検事を吊るし上げるべきです。
どう考えてもこいつが二人が反目せざるを得ない状況を作り上げた諸悪の根源。
本当に学ぶべきこと
現実世界においては「検事」が具体的な存在であることは少ないです。
複雑な要因が重なる中で、明らかな悪人というのはなかなか存在しません。
しかし、ここから得られる教訓はあります。
①まず、AかBかで判断を迷った時は、選択肢が既に何かによって制限されていないか疑うべきです。
買うべきか否か。転職すべきか否か。付き合うべきか別れるべきか。その問題設定自体は妥当でしょうか?
②もう一つは、価値判断の尺度が制限されていないか疑うべきです。
例えば、囚人のジレンマの設定では刑期の長短のみが尺度となっています。
年収、偏差値、美しさ、その尺度だけで考えることは適当でしょうか?
いつの間にか視野が狭まっていませんか?
ジレンマに直面した時は、真正面から解決しようとしてはいけません。
解決できないからこそのジレンマなのですから。
まずは自分の置かれている問題の設定自体を疑いましょう。
冷静になることが解決の第一歩です。
以下の本は示唆に富んでおり面白かったです。
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