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子供の「気持ち」を先回りして決めつけない

これは単なる個人的な一意見ですが、世の中がどんどん「内向的」になっているなあと思います。

弊社では常に、「問題を解決する」ということに取り組んでいます。とくに家族同士の、もうどうしようもなくなった難しい問題に関する依頼が大半です。以前は、気持ちの大小の差はあれど、相談者が「家族(子供やきょうだい)が良くなるためなら、自分にできることは何でもやります」というスタンスでアドバイスを求めに来られました。

しかし最近は、「自分にはできないからやってほしい」「そちらは何をしてくれるのか」という、最初から他人頼みの姿勢の方が増えたように思います。

もちろん家族の問題といってもレベルはさまざまですので、まだ問題が起きて間もない時期で、少し頑張れば結果が見えるようなケースにおいては当てはまらないかもしれません。しかし、複雑にこじれてしまった問題に関しては、家族がその問題(=当事者のこと)を「超マイナス」に捉えていることがよく分かります。

とくにお金がかかることに関しては、その傾向が顕著です。問題行動を起こす家族は、存在自体がすでに「負債」であり、そのためになぜお金や時間をつかわなければならないのか、といった様相です。

※漫画『「子供を殺してください」という親たち』8巻でも、そういったケースが登場します。(12/9発売の新刊です。ぜひお読みください)。

前置きが長くなりました。何が言いたいかと言うと、いくら内向的・マイナス思考で家族の存在を振り切ろうとしても、「残念ながら家族の問題は いつまでもついてまわる」ということです。これは、「家族」という関係性がもたらす「負」の側面でもあります。

子供が長く家にひきこもっているなどして、いつ事件になってもおかしくないケースもあるでしょう。家族が逃げる、という最終手段もありますが、よほど冷徹な家族は別として、そう簡単に存在を消せるものではありません。「どうしているか」「また目の前にあらわれたらどうしよう」と不安や恐怖は続くことになります。

ここまで来ると、残念ながら(それこそ警察沙汰にでもならない限り)、他人頼みで「何とかしてもらえる」ということはありえません

先日のnoteでも触れましたが、「初動」は非常に重要です。問題に気づいたときにどうするか。そうならないように何ができるか、ということです。

弊社の経験したケースでよくあるのは、親が、子供の気持ちや考えていることを、「想像」で決めてかかって、接していることです。

たとえば子供が人間関係や進路で悩んでいるときに、「あの子はこういう子だから」「こう思っている(はず)だから」「こうしたい(はず)だから」と、先回りして、対応を決めてしまっています。

経済力の有無に関係なく、「お金」で解決して満足していることも多いです。たとえば、いい学校に行かせる、塾に行かせるといったこともそうですし、本人がやりたい・欲しい(と親が勝手に想像している)ものを、先回りして買い与えている場合もあります。

親の頭の中では「これで万事OK!」とプラス思考のため、お金を遣うことも厭いません。でも実際は、子供の本音を聞くこともなく、また、子供の適性や資質も考えていません。子供はむしろ根っこの問題に蓋をし、適性に合わない生活を送ることになるため、どんどんおかしな方向へ進んでしまいます。

弊社に相談に来られた親御さんにヒアリングを行うと、たいてい、「本人がそうしたいと言ったから」とおっしゃいます。「お金までかけて、本人の希望を叶えてきたのに、どうしてこうなったんだ」と不服そうでもあります。それがまた、親と子供の溝を大きくする要因にもなります。

「何かおかしいな」と親が気づいた時点で、子供が抱える問題はある程度、進行してしまっています。だからこそ「そのとき」に、子供と徹底的に話をする、本音をぶつけあうことが重要です

一方的な押しつけにならないよう、親自身も、これまでの生き方を振り返ってみてください。夫婦で互いの良いところとダメなところを、客観的に指摘しあってみるのもいいでしょう。どうしたって子供は両親の性格・性質を受け継ぎます。どちらのどんな要素を引き継いでいるのか、自分たちの失敗や経験も振り返りながら考えてみましょう。

それを踏まえて、親の「想像」ではなく、本人が「感じていること」「考えていること」に、耳を傾けてください。すぐには答えてくれないこともあるでしょう。親の顔色をうかがって、親が喜ぶような回答をする子もいます。子供の本音を引き出すためには、親も嘘偽りなく(かっこつけもなく)、真摯に向き合うことです。

これができるのは、子供が小・中学校までです。弊社の経験上、心の問題に関しては、この頃までに徴候が出ていることがほとんどです。家族の問題を「手に負えないマイナス」にしてしまわないよう、とことん対応してください。

★『「子供を殺してください」という親たち』 Kindle Unlimitedなら、ただいま1~5巻が無料で読めます。



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