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ベンゾの減断薬に関心を持つ医師たちの情報 いろいろ

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ベンゾジアゼピンについて医師の考え方を集めたり、取材していきます。
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#離脱症状

各論07 減薬:Step 1-2

ものすごく単純化して申し上げれば、最初の減量後、その次の受診時までに小袋を一度も使わなかった患者さんはA群に属している可能性があり、小袋を何度か使った患者さんはB群に属している可能性があります。

「A群に属している」、「B群に属している」と断じずに、「可能性がある」というスペーサーを挟むのは、まだ減量の初期段階に過ぎないからです。A群だと思っていたのに減薬が進んでみると離脱症状が現われてB群あ

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各論06 0.1mgずつ減らす

減断薬のメリットとデメリットを理解し、同意を得られた患者さんのデパスの1日用量を、0.1mgずつ減らしていきます。 

その患者さんが就寝前にデパスを0.5mg服用している場合でも、3食後に1mgずつ(計3mg/日)服用している場合でも、0.1mg減らして下さい。 ちなみに、0.1mg減らしても離脱症状が認められないことが確認されたら、もしくは離脱症状が現われた後にそれが消失したら、また0.1m

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総論01 ベンゾジアゼピン離脱症状

総論01 ベンゾジアゼピン離脱症状

ベンゾジアゼピンの離脱症状について定義しておきましょう。 

毎日服用していたベンゾジアゼピン系の睡眠薬を中止したら眠れなくなった。 

これは、必ずしも離脱症状ではありません。 

睡眠薬ですから、不眠に対して処方されていたはずです。睡眠薬は対症療法に過ぎませんから、服用を中止すれば、服用開始前と同レベルの不眠が現われます。これを離脱症状とは呼びません。 

服薬中止によって、服薬開始前よりも

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総論02 個人差

総論02 個人差

前述のような機序でベンゾジアゼピンの離脱症状が起きるのであれば、一定期間、一定量の睡眠薬なり抗不安薬なりを服用した後に中止した患者さんの全員に、離脱症状が起きそうなものです。 

しかし実際にはそうではありません。 

デパスを含むベンゾジアゼピンの減薬・断薬を実行に移す際に留意しなければならないのは、離脱症状の出やすさには大きな個人差があるということです。 

例えば、ある患者さんが長期に渡って

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各論01 治療より予防

各論01 治療より予防

長期服用(ベンゾジアゼピンの場合、数週間以上の服用は長期服用と見做すべきであるとご理解下さい)することで依存が生じ(るリスクが高まり)、傾眠や健忘、転倒といった副作用も起きやすいデパスですが、なぜ患者さんはそのような薬を長期服用しているのでしょう。 

主治医が処方を開始し、継続しているからです。 

初めから処方しなければ、或いは処方しても頓服や服用期間を限定して処方すれば、そもそも依存は生じな

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総論00 緒言

総論00 緒言

現在広く用いられている睡眠薬や抗不安薬(いわゆる精神安定剤)は、その大半が、ベンゾジアゼピン受容体作動薬(以下ベンゾジアゼピン)と分類される、共通の化学構造と作用機序を有する薬剤群に属します。 

デパス(一般名:エチゾラム)やアモバン(同:ゾピクロン)はベンゾジアゼピン構造を有しませんが(このため「非ベンゾジアゼピン系抗不安薬、睡眠薬」と呼称されることがあり、時に「だから安全な薬である」と誤解さ

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