気の合うピアノとの出会い

25年ぶりの大人ピアノは、来月で3年目に入ろうとしていて、自宅にはYAMAHAの電子ピアノがあり、いつでも練習できる環境だ。

しかし、昨年引っ越した新居は、鉄筋コンクリート造なのに、やけに上下の物音が響く。

上階の生活音がこんなに響くなら、(防振マットを敷いていても)ピアノの打鍵音が階下に響いているに違いない…という不安にかられ、フォルテ(強く)以上の音を弾くのにためらいが生じてきた。

それが理由で、引越して以来、ピアノ教室にある練習ブースをレンタルして、電子ピアノではなくグランドピアノで練習することが増えていった。

通っているピアノ教室は店舗が各所にあるので、例えば、
今日は横浜に出かける用事があるから横浜店でピアノ弾こう。とか、
明日は仕事帰りに〇○店で …といった感じで、その日の自分の都合に合う店舗を選ぶことができる。

各所のさまざまなピアノに触れるうちに、
「〇○店のピアノの鍵盤は重くて弾きづらいな・・・」とか
「○○店は壁の吸音がきつすぎて、音が響かないな・・・」とか
ピアノの鍵盤、ペダルの具合や音の響き方に、自分なりの好みがでてきた。

そして、今日弾いたとある店舗のグランドピアノが、音の響きも美しく、指の感覚と音の出方がしっくりハマり、いつもより上手く弾けて、弾いていて非常に気持ちが良かった。

なんだか初めて自分と気の合うピアノに出会ったような気がした。

気の合うピアノというのは、その時の力量や曲目によっても変わるような気もするが、
私の場合、まだ力量不足なこともあってか、ピアノによって、上手に弾けることもあれば、弾けない場合もあり、ピアノによってムラがあるので、自分の力を最大限に引き出してくれるようなピアノに出会うと、運命の人に出会ったような気持ちになる。

ふと、「羊と鋼の森」というピアノ調律師の青年を描いた(小説をもとにした)映画を思い出した。

ピアニストを目指す姉妹が使用するピアノの調律を行うシーンがあるのだが、姉妹それぞれの弾き方、好み、指の感覚が異なり、調律の方向性に迷うというシーンがあった。

ピアノとは、弾き方、季節、環境、年数や調律次第でも、一台一台、その時々で、全く異なる個性をもち生きている楽器なのだ。


自宅でのびのび練習できないのは不便ではあるが、こんな風に色々なピアノに出会うことは、それはそれで面白いと思うと同時に、
心底、
「自分用のグランドピアノが欲しいーーーー!!!」
という願望が強くなってきた。自分の成長に寄り添ってくれる自分だけのグランドピアノが手元に欲しい。

これから叶えたい夢の一つにかかげたいと思う。

それと、25年前まで私のそばに居てくれたあのピアノは、今どうしているだろうか?誰かに弾いてもらえているだろうか? 家庭事情で泣く泣く手放したあのピアノを、出来ることなら取り戻したいような気持ちにもなった。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、また。

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