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Leica M10-D の速写性

ライカのファインダーを覗いた写真家の友人がこう言った。

「現実よりもクリアだ」

ファインダーこそレンジファインダーの命だと言える。レンジファインダーカメラの歴史を創ってきたオリジナルなメーカーにその妥協は一切ない。それはデジタルになっても変わらない。

レンズを通した、あるいは液晶を通した像で被写体を見ることと、明度の高いガラス越しに被写体を見ることは明らかに異なる。

今でこそ、被写体と液晶画面に写る像に遅延差は無くなったものの、体験そのものが根本的に異なるものだ。

M型の撮影スタイルの大きな特長として、撮像フレームの外側まで見えることにより、フレーム外から入ってくる被写体の動きを予測して撮影できる。これはレンジファインダーでなければできないことだ。

”見えている”ということは速写を可能にする。それがライカがストリートスナップやルポルタージュに多用される理由だ。

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Leica M10-D, summicron50mm

逆にビューファインダーのように正確なフレーミングは得意ではない。その分ノーファインダーや、純粋なドキュメントにおいては明らかな効力を発揮する。

最近は全てのカメラがデジタルで写りすぎるからこそ、フレーミングや構図にある種のゆるさを取り入れるのも良いのかもしれない。

そして静かなシャッター音と、良質なシャッターフィールがある。

音と、押した感触は、撮影をする上でとても重要な要素だ。被写体が人物であれば、両者の気分にも影響を及ぼす。M10-Dの音と感触は、それが考え抜かれた上でデザインされているのがわかる。

先日、Leica M4と比べたら、ストロークはM10-Dの方が若干深めだった。好みによるが、個人的には全く問題ない。

M型ライカの速写性は、それがレンジファインダーでることに起因する。

それは他のノートでも記述した通りだ。

ではM10-Dの速写性はどこに起因するのだろうか。

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