GRで夜を撮る
フィルムカメラを使っていた時は、夜の写真を半ば諦めていた。それでもアシスタントや日中の仕事をしている時は、写真を撮る時間が夜しかないから、カメラと三脚を持って夜の街に出ることになる。
今はどのカメラも高感度が強くなって、手ブレ補正も付いているので夜でも簡単に写真が撮れてしまう。
GRも[デジタル]世代のモデルは厳しかったが、現行GRになって夜間耐性が大幅に向上した。むしろ、撮れすぎるから光の無い中でどこまで撮れるのかを試すように夜をさまよう。
夜、写真が撮れるようになると、世界が広がり、撮れ高が2倍になる。
スキューバダイビングのライセンスをとった人が、陸よりも遥かに広い海という世界への入場券を手にするように。GRを手にすることは、夜への入場券を手にするようなものだ。
夜を歩いていると、様々な光に満ちていることを発見する。日中、太陽が出ている時は息を潜めていた光が、突然街の中に現れてくる。特に東京のような街であれば、夜の光の面白さを発見しやすい。
個人的にライカを使う時のムードというのは、日中である。
元々フィルムライカから入っているので、感度は400が限度というイメージが付いているというのもあるが、センサーの特性的にも太陽光とのマッチングを重視していて人工光との相性がさほど良くないように感じられる。アントワンダガタのようなドキュメンタリー写真家で、ライカで夜ばかり撮るような写真家もいるにはいるが少数派だろう。
その点GRは、夜に持ち出しても全く違和感がない。
無機質な(こういうと怒られるかもしれないが、コピー機のような)ボディもさることながら、コンパクトだから邪魔にならないのが大きい。
飲み会の席や、カメラを持ち込むのが重荷になるような体験系イベントなんかでも、ジャケットのポケットにぽんと入れておいても、本来の目的を全く邪魔しない。
たまにカメラを持っているのを忘れて、写真を撮り忘れて夜そのものを楽しんでたということも多いくらい。でもその時は、それでいいと思っている。
夜を撮るための設定は、いたってシンプルである。
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