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回帰しない彗星のように

だいぶ間が空いてしまいました…
あれからいろいろとありまして、
二号店「星の時間」の棚を持ったり
PASSAGEパートタイム店長をしたりもしたのですが

そのあたり経緯はまたの機会にして…

tokibooksはスタートより約1年
月ごと(ざっくり)にワンテーマ選書をしてきました。

ざっくりと書いたのは…店主の性格がざっくりなのと1カ月内でワンテーマの本を
売り切るのは難しく、
延長したりテーマを足したりと
よく言えば自在に正確に言えば適当に(怠惰に)やっておりました。
(本当に性格が出ますねこういうの、でも私の書店なので私の好きなように
やるという経営方針だけはブレずに…)


そして2023年6/末(今日)から夏いっぱいまで(ざっくり)は
「彗星」、正確には「回帰しない彗星」です。

テーマ内容がTwitterに書ききれないことも
あり
久しぶりのnote更新となりました。


6月~7月なので、最初はぼんやりと
梅雨=雨や雨のシチュエーションが出てくる本を選書しようかな…
と考えていました。

梅雨なので、有名な小野小町の歌から「ながめ(長雨)せしまに」を
テーマタイトルにしようかな…と。

「花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせし間に」


ですね。

とはいえ実は雨のテーマの本をそんなに読んでおらず、
何かピンと来ていない自分がいて迷うままグダグダと日々は流れ、
もう梅雨終わりそう!と焦っておりました。


そういえば…
毎年初夏前には京都旅行に行くのがわが家の定番なのですが
2021年の同じ時期に
小野小町ゆかりの寺と言われる随心院に行ったのを
iphoneのメモリーが教えてくれて、そう
そういえばこのお寺でぐっときた文章があったのです。

随心院

想いを寄せてくれたあの人は
いま、どうしているのだろう?

随心院にある「文張地蔵」の中には恋文がぎっしり。
その仏像は実らなった恋のラブレターを供養するためのもの。
それも、小町が渡したくて渡せなかったラブレターではなく、
相手からもらったラブレターを
供養するものといわれている。

もしかすると、そのとき、
小町は自分に想いを寄せてくれた人のことを
思い返していたかもしれない。
そして、「あの人はいま、幸せでいるだろうか」と
想いを馳せていたかもしれない。

付き合って寄り添うこともなく
一度きりの交点を経て、
流星のようにすれ違っていった恋の行方はいまどこに。

あなたも、かつて想いを寄せてくれた人のことを
思い出してほしい。
そして、その人の幸福を静かに願ってみてほしい。



…これだ!と思いまして。
ふと、ふと思い出す、
一生関わるような、人生を左右するようなそれではなく、
物語や小説だとして伏線にもならない、
ちょっとした事象で、
お互いがお互いの人生のモブで、インターミッションではあるのだけど…

空気や湿度やにおいではっと思い出す、
あの人やあの出会い。
何かあった人もなかった人でも、そういうのでもそういうんじゃなくても。
太陽に近づくのは一度きり、二度と回帰しない放物線や双曲線を描く軌道の彗星のように。

「流星」でもいいんですが、
それぞれが違う軌道を歩んでいて一瞬すれ違う、みたいなイメージなので
「彗星」としました。

そんなふと交差する出会いがテーマの本、
あとはシンプルに
星や宇宙がテーマの本(夏だしね)を選書しようと思いました。


想い出すのは…

50歳になっても私もバックパック一つで旅に出たいと思わせてくれた
ドーバー海峡の近くのユースホステルで同室だった女性。

セントラルパークでぼんやりしてたらご飯をごちそうしてくれた人
(not パパ活)

雪で立ち往生した山形県大山駅から特急が停まる駅まで
私と見知らぬおばあちゃんを
拾って送ってくれた鉄道カメラマン。

…etc

いま思うとずいぶん危なっかしいですね…

”付き合って寄り添うこともなく
一度きりの交点を経て、
流星のようにすれ違っていった”
ちょっとした出会いたちに想いを馳せながら
選書していきたいなと思います。



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