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「働きたくない」ということについての雑記

内定式を終え、社会人生活を半年後に控えた友人達は口を揃えて「働きたくない」と言います。

どうしてみんな、そんなに働きたくないんですかね。
あ、なんだかとても誤解を生みそうなのですが、私は別に「働きたくないという考えは怠惰だ」とか、「私は働きたくないなんて微塵も思いませんけど」みたいなことが言いたいわけではないです。
ただ、働きたくないという気持ちがどこから生まれるのか、純粋に疑問に感じているのです。

働くことは苦痛だとか、労働に費やす時間は短ければ短いほどいいとか、月曜日は憂鬱だとか、そういった、働くことに対するマイナスなイメージって、どこからきているんだろう、っていうのを、公園のいつものベンチでぼーっと考えていました。

その時に考えていたことを、多分ぐちゃぐちゃでわかりにくいとは思いますが、少しまとめてみます。


ちょうど今から1年前の私は就活真っ盛りでした。
当時の私は、「楽しく働ける人を増やす」みたいなことを言っていました。うわあ、ちょっと鳥肌立っちゃいますね。今思い返すと(あまり思い返したくないですが)、当時の私は、理想ばかり語る、なかなか鼻持ちならない就活生だったんです。

楽しく働ける人を増やしたかったのも、サークルの友達が「プライベートが楽しければ、仕事はつまらなくても構わない」とか、「そもそも仕事って楽しさを求めるものじゃない。だから楽しくなくても不満はない」とか、「社会人になったら人生終わり」とか言っているのを聞いて、なんだか悲しいなと思ったからでした。
いくら仕事だからとは言え、自分にとってあまり面白くないものに、つまらないなあと思いながら時間を費やす生き方は嫌だなと思ってしまったのです。

だから、せっかく時間を過ごすなら楽しい方がいいじゃんの精神で、みんなが自分の強みを生かしながら、生き生きと楽しく働けるような組織づくり(いかにも就活生が言いがちなことですね)みたいなことがしたかったんですよね。まともに働いたことのない学生が何をいうって感じですよね、今思うと。

ただ驚くべきことに、散々「楽しく働ける人を増やしたい」とか言っていたくせに、私自身は働くことを全く楽しめていませんでした。働くと言ってもアルバイトのことですけど。バイトに行くのが嫌でしかたがなかったんです。

もうあらかたのことは慣れてしまって、特に変化もなく、新たに学ぶこともない職場で、同じような作業を毎度のごとく繰り返すことに、楽しみを見出すことができませんでした。業務はそれなりに真面目に取り組むものの、バイトの時間はいつも「早く上がりの時間にならないかなあ」みたいなことを考えていました。唯一の楽しみは店長との会話とまかないくらい。バイトをするのは完全にお金を稼ぐためでした。
かくいう私も「働きたくない人」だったわけです。
つまらないなあと思うことに時間を使う、そんな人生は嫌だなと思っていたけれど、そういう生き方を、アルバイトの場ですでに実現させてしまっていたんですね。


ただ、働くことって楽しい!と思った瞬間もありました。
それが、先ほど書いた苦痛だったバイトと並行して、好きなことをバイトとしてやっていたときのことでした。このバイト先での経験は、私の「働くこと」への考え方を、大きく広げてくれるものでした。

好きなことをバイトとしてやっていた、と言いましたが、端的に言えばデザインのアルバイトをしていました。私はサークルのフライヤーだとかポスターだとかを作るのが好きだったので、それをそのまま仕事にできたら楽しいだろうなあと思ったのと、デザイン学びながらお金もらえるなんて最高じゃんという思いで、デザインのバイトを探して応募しまくりました。

好きなことを仕事としてやるのは、それはそれは楽しかったです。好きなことやってお金もらえているんですからね、知識も身につくし。もはや働いている感覚はありませんでした。社会人になっても、こんな感じで働けたらいいのになと思いました。

しかも、そのデザインのバイト、給料がめちゃくちゃに安かったんです。給料がべらぼうに安かったのにもかかわらず、楽しかったんです。
ちなみにどれくらい安かったかというと、こういうの、あんまり言わないほうがいいのかもしれませんが、長期インターンとかにありがちな、活動支援金とかいう形式で給料が払われたので、週3フルタイムで働いても月3万しかもらえませんでした。

流石にこの水準で生活することは難しいですけど、この仕事を通じて、よくある貧乏で好きな仕事か、金持ちでつまらない仕事かみたいな二択、私は最低限の生活水準を保てるのであれば、前者を選ぼうと思うようになりました。

就活生時代の「楽しく働ける人を増やしたい」という思いも、この実際に楽しく働いた経験からきている部分は多いと思います。


ただですね、3ヶ月くらいして、デザインのバイトも楽しくなくなってしまったんですよね。本当、私は甘っちょろい人間なのです。

なぜ楽しくなくなってしまったかというと、上から言われたものを作っているという感覚が強くなってしまったからでした。
今回はこの特集をやるから、こういうタイトルで、この素材を使って、こんな感じのバナーを作ってくださいと言われて、バナーを作る。自分が作ったものは、社員さんにより大幅に手直しされる。その場では、私からの提案はあまり望まれていませんでした。仕事も、社員さんから割り振られたものを「はい」と言ってやる、そんな感じでした。

今思うと、そういう下っ端的な期間を積んではじめて、いわゆる裁量権のある仕事ができるようになるのだと思います。あの時の私は未熟だったなと少し反省しています。捉え方が違えばもう少し前向きに取り組めたでしょう。

でも、そうやって3ヶ月を超えたあたりから、楽しくて時間がすぎるのもあっという間だったバイトが、次第に「やらされている」「やらなきゃいけないもの」と化し、勤務中に時計を気にするようになってしまったのです。
私はまたもや「働きたくない人」に逆戻りしてしまいました。

好きなことを仕事にする楽しさと同時に、好きなことを仕事にしたからとはいって、楽しいが常に続くとは限らないと言う現実を知ったわけです。


では今現在、私が働くことをどのように捉えているかというと、「働きたくない」とはあまり思っていません。むしろ、働くことを少し楽しみにしている節もあります。
ただ、私は自分がやりたいことを仕事にしている未来を仮定して、働くことについて考えています。つまり、「働きたくない」とは思わない、のあとには「ただし、自分がやりたいことを仕事にできた場合に限る」という注釈がつきます。
なので、このまま今のつまらないバイト先に就職するとなったら、私も友人と同じく、「働きたくない」派になるのだと思います。

本当に話にまとまりがないのですが、こうしてここまで色々思索してきて、思ったのは、やりたくないことをやらなきゃいけない、自分の思い通りにはできない、その「やらされている」って感覚が、「働きたくない」という気持ちを生み出しているのではないかということです。

やりたくないことって、やりたくないですよね。
お手本のようなトートロジーをかましてしまったのですが、働くとなると、時間は制限され、好きなことをやりたいようにはできなくなる。上司の言うことを聞き、お客さんのことを考えなければいけなくなって、自分のやりたいことを、やりたいペースで、やりたいようにやることはできなくなる。

親の影響か、ドラマや映画の影響か、はたまた電車に死んだような顔をして揺られているサラリーマンのおじさんの影響かわかりませんが、人によっては頭の中では、働くこととやりたくないことを我慢してやるというのはイコールで結ばれているみたいで、やりたくないことはやりたくないから、やりたくないことをやる仕事もやりたくない→働きたくないという感情に至るんですかね。
ちょっと何言ってるかわかんなくなってきました。

じゃあやりたいことを仕事にすれば、「働きたくない」問題は解決するんですかね。みんなが時間も場所も、仕事内容も自由に選択できて、自分に100%決定権があるような仕事に就ければ、この世から「働きたくない」人はいなくなるんでしょうか。

難しいですが、そういうわけでもない気がしてきました。全てを自由にコントロールできるとなると、多くの選択肢の中から自分にとって良いものを選び取って、それを誰に言われなくとも行動に移す力が必要になってくるからです。

最近、「それってあなたの感想ですよね」の人とか、Youtuberみたいに、すごく自由を謳歌していて、働いているって感覚が一切なさそうな人をよく見かけますよね。
個人的には、ああいう人たちって、自由を謳歌する能力が高いのだと思います。真っ白な紙を渡されると、なんの戸惑いもなく伸び伸びとお絵描きができるタイプ。

でも世の中には、せめてお題をくださいとか、塗り絵にしてくださいとか、クレヨンか絵の具か指定してくださいとか、そうした方がお絵描きしやすいタイプの人もいるはずです。みんながみんな、真っ白な紙を渡されて喜べるわけではないと思うんです。

眠いのも相まってだんだん何を言いたいのかわからなくなってきたんですが、結局私たちは、自分の思い通りに仕事をして「働きたくない」から解放される代わりに、不安定で全ては自分の責任になるという自由の代償を引き受けるか、もしくは常にやることを与えられて安定をもたらされる代わりに、例えそれがやりたくないことだとしてもやらなければいけない苦しみを諦めて受け入れるか、この二つの選択肢のバランスをとっていくしかないのかなあなんて結論に、私の中では至りました。

取り止めのない、よくわからない文章になっていそうな気がしてなりませんが、そろそろ眠いので寝ます。

働くことって、いくら考えてもよくわからないですね。
だからこそ考え続けてしまうんですけれども。


恐れ入ります。