中間層がいなくてもあなたのビジネスには関係ない。

以下の記事がツイッターのタイムラインに上がっていた。大企業の海外事業部にいた頃はこういう情報には常に目を光らせていたが、しがない寿司屋となった今では、別世界の話に感じる。

この統計は確かに自分の肌感覚とも合致していて、特に以下の一節は本当にその通りなのだろうなと思った。

HDBC銀行は中間層人口が3億人と言っているがその一部は日給3ドル。

日給3ドルは本当に中間層なのか?という疑問がわかないでもないが、月収90ドルはスマホを買って現代人風の生活ができるギリギリのラインなので、そこを中間層と貧困層の境目にするのはあながち間違ってもいない気がする。

インドでは中間層といってもかなり下位の中間層が大多数を占めるため、マクドナルドのような大企業は、富裕層とかなり下の中間層をターゲットにしたプライシング戦略をとっている。

マックのこの価格設定は悔しい程によくできている。イートインしている客の大部分は一人当たり100円で楽しんでいる(最も安いセットを二人で分けてる)にもかかわらず、私が一人でマックチキンセットとナゲットを頼むと600円オーバーしてしまう。それでも、先進国と同じ味が楽しめる店は限られているので、定期的に行ってしまう。

マクドナルドはかなり綿密なマーケット調査をしたうえで、①ごく一部の富裕層のジャンクフードと②大多数の下位中間層向けのオシャレなデートスポットという二種類の全く異なるポジショニングを確立させている。

でも、もし、あなたが小規模な商売をインドではじめようと考えているなら、統計情報は無意味だ。

なぜなら、年収2000万も、500万も、200万も、50万も、20万円も、小規模なビジネスを行うのであれば十分沢山いるから。もちろん50万以上の層は限られているが、富裕層向けのサービスは供給が少ないため、競合が少ない利点もある。

自分も大企業で新規企画のパワポを作っているときはいつも中間層の人口とか市場の将来性を熱くプレゼンしていた。しかし、自分で商売を始めてみると中間層が何百万いるかなんてどうでもよくて、自分の寿司を定期的に買ってくれる客がキッチンのデリバリー範囲内に何百人(何十人)いるかのほうがずっと大事なことに気が付いた。同じ中間層でも、寿司なんて高すぎると拒否する年収100万の人もいれば、がんばって日給二日分に相当する寿司を買ってくれる人もいる。

中間層という同じ嗜好を持ったグループが存在するわけではないので、超金持ちが常食として頼む一方、貧困層が清水の舞台から飛び降りる気持ちで同じ食事をとるというような状況も十分考えられる。一方同じ富裕層でも寿司を毛嫌いする人もいる。

そのため、統計情報を探るよりも、街を歩き回って、自分がターゲットにしているお客様はどこに住んでいて、どのような生活を送っていて、どうやってその商品を知って、どうしてそれを購入するのか仮説を立てて、試しに売り始めるのが良いと思う。

最初の仮説は間違っている事が多く、あまりに売れなすぎて客がいなのではと不安になり、その理由を中間層がいないせいにしたくなる気持ちはよくわかる、というか、自分もそうだった。

でも、どの層の人を狙ったとしても、あなたが小規模なビジネスを成功させるために必要な人数よりも遥かに多くの人がここには住んでいる。



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