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十勝まきばの家diaryよりみちlog/ワインの澱(おり)のはなし

ワインの醸造過程とワインボトル内で見られる「澱(おり)」にまつわる雑学です。

発酵中の「もろみ」

ぶどうを潰してできた「もろみ」は酵母菌を加えるとブツブツと発酵を始めます。
1〜2週間位は炭酸ガスが発生し発酵が進み、やがて酵母のエネルギー源の糖分が無くなると共に泡が減っていき、アルコール分が10数%のワインができあがります。
その後はゆっくり発酵し、2〜3週間ほどでもろみは沈殿、液面の上に透明な層ができていきます。十勝はこの時期気温がぐんと下がるため沈殿が促進され、1ヶ月もするとワインと沈殿物に分離します。
十勝まきばの家ワイナリーでは昨年秋の仕込みを終え、年末を迎えるまでにこの分離したものをタンクから分ける澱引き作業をおこないました。

ワイナリーの中でしか見られない澱(おり)

澱引きは、醸造家の技術が必要な作業。
上下にバルブがついたタンクの上部からワインを取り出していきます。澱の分離面までを丁寧に見極め、残った澱は特別なポンプでタンクに集めます。
年が明けてから始まったのは、2次澱引きの作業。
1次澱として沈殿していなかった酵母菌やワイン部分に溶けていた酒石酸も低温により結晶化することから、厳冬期での澱引き作業のタイミングは、自然の摂理に合っていると言えるでしょう。

ワインが安定(熟成)するまでは、ボトルの中でも酒石や色素の澱は生まれます。ワインボトルの底に独特な窪みが施されているのは、澱を一部に集め上澄みを飲むためで、これまでの歴史がそのままボトルの形となっています。

十勝では、ワイン醸造後に不要となった澱は牛の飼料に混ぜたり、良質な堆肥にするなどアップサイクルな取り組みがおこなわれています。

ワインボトルの底の窪みにも理由があったのですね…!

ワインづくりに注がれた、醸造家たちの多くの手間と時間は、十勝まきばの家ワイナリーのワインの味わいのひとつです。

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